「愛には、苦い涙がつきものよ」
この言葉を読んで、そうだよねと感じる人は少なくないのではないでしょうか。
会いたいのに会えなくて。ひどいフラれ方をして。好きになってはいけない人と恋に落ちて。彼に浮気されて。不倫の恋から抜け出せなくて。苦しくて切なくて報われなくて、今日も一人、涙を流す。それでも恋をせずにはいられない。人間って本当に不条理な生き物ですね…。
冒頭の一文は1915年の今日12月19日に生まれたフランスのシャンソン歌手、エディット・ピアフの名言です。よく知らないという人でも、彼女の代表作の『愛の讃歌』は美輪明宏さんや桑田佳祐さん、宇多田ヒカルさんなども歌っているので、曲自体はどこかで耳にしたことがあるかもしれませんね。
恋多き女、ピアフ
没後50年のピアフは、生涯を通して恋多き女と言われた女性。十代でナイトクラブの歌手となり、数々の男性と恋に落ち、二度の結婚をしたと伝えられています。
人生最大の恋の相手はボクシングの世界チャンピオン、マルセル・セルダン。彼には妻子がいましたが、2人は初めて会った時から惹かれ合い、ピアフは2日ごとにセルダンへラブレターを送ったそうです。
しかし、ある日、セルダンが乗っていた飛行機が墜落して2人の恋は突然幕を閉じます。
失意の中、セルダンのために書いたという『愛の讃歌』をステージで歌い、大喝采を受けたピアフ。そんな苦しい恋を経験した彼女の言葉「愛には、苦い涙がつきものよ」は、とても説得力がありますね。
人生で自分の半身のように感じられる相手と恋に落ちるなんて経験は、そうそうできるものではないでしょう。けれどもその恋を通して世界が広がり、人としても女性としても磨かれるのは事実。だから、たとえ大切な恋を失くしたとしても悲嘆に暮れたりしないで、自分がそこまで相手を深く愛せたことに誇りを持てばいいのだと思います。
つらい恋に効く名言
ここでつらい恋、特に失恋に悩んでいる時、心に効きそうな著名人の名言をいくつかお届します。
・『失恋って、当の本人は苦しい苦しいと言っているけれど、本当は終わった恋をいつまでも思い出して楽しんでいるような所があると思う。本当に苦しいなら、一秒でも早く忘れる努力をするはずだから。』(宇野千代/小説家)
確かに…。嫌な記憶しかなかったら、みんな、どうにかして忘れようとするだろうけれど、恋愛には良い思い出もたくさんあるから、なかなか心から追い出したりはできないんですよね。要はつらくてもジタバタしないで、過去の出来事を反芻しながら待っていれば、いつかは時間が解決してくれるということなのでしょうか。
ピアフ同様、恋多き女と呼ばれた宇野千代さんの言葉、深いですね。
・『上手に別れられるなどということは、まったく稀なのだ。そういうのは、ちゃんとうまくいっていたら、別れたりはしやしない。』(マルセル・プルースト/作家)
上手な…って、いったいどんな別れ方なのでしょうか。笑ってさよならして、その後も後腐れなく友達として付き合えるような別れ方なのか。それとも、傷つけ合っても数年後に相手があれは最高の恋だったなと、ふと思い出すような別れ方なのか。
いずれにせよ、20世紀を代表する作家プルーストでさえうまくできないと言っているのだから、私たちが上手に別れられないのは仕方のないこと。付き合う時も別れる時も、なりふりかまわず相手にぶつかっても、それもまた一つの正解なのかもしれません。
・『女性が綺麗になる方法は二つあります。「いい恋をすること」と「悪い恋をやめてしまうこと」です。』(浜尾朱美/ニュースキャスター・エッセイスト)
この言葉も正論そのもの。女性は恋をするときれいになれると言うけれど、あまりにも苦しい恋をすると疲れで早く老けてしまう場合も。せっかく恋をするのなら、美しく若返るような恋をしたいですよね。
とはいえ、現在進行中の恋愛が“良い恋”か“悪い恋”かを見極めるのって難しいもの。そんな時は、こちらの名言を思い浮かべてみてはいかがでしょうか。
・『あなたのマスカラではなく、口紅を汚すような男と付き合いなさい。』(キム・カーダシアン/テレビパーソナリティ、女優)
大好きな人と一緒にいるのに、泣いてばかりいるようならば、その恋はそろそろ終わらせたほうがいいのかも。ハリウッドセレブの1人でゴシップ雑誌の常連だというカーダシアンの言葉には、真理があるような気がします。
つらくて苦しくてどうしようもない時、数々の恋を経験した著名人たちの名言に触れてみては。少しだけ心の傷が癒され、前を向こうという気持ちになれるかもしれませんよ。