恋愛科学研究所所長で医療アナリストの荒牧佳代先生による映画コラム。生物学的観点や、女性ならではのクリエイティブな感性から、作品に込められたメッセージを解説していただきます。
セルフマネジメントとは、自分の行動や体調を適切に管理する“自己管理”です。
私はよく映画のトークショーなどで、「映画は自分の心を静かに内観できる大切な時を与えてくれる」とお伝えしています。今回の『ベイマックス』は、まさに自分の心のセルフマネジメントをしてくれる素晴らしい作品です。
それでは、『ベイマックス』の魅力を順にご紹介していきましょう!
◆少年少女の心には小さな傷がいっぱい
恋愛に目覚める前の少年少女の頃は、男女性別関係なく、いろんなものに好奇心のアンテナが反応する多感期です。男女の性が活発化する思春期とはまた違う、人間のパワフルさや素晴らしさがその時期にはたくさんあります。
ですが、主人公のヒロはそんな多感期に両親を亡くし、ストーリー中でも最愛の兄を事故で亡くしてしまいます。自分を見守ってくれていた家族を失うなんて、これ以上の悲しみはありませんよね。少年少女の頃は毎日が楽しそうに見えても、実は(家族を失ったヒロのように)自分ではどうすることもできない、外部からの理不尽ともいえる出来事に小さく傷ついていたりします。
なぜなら、子どもは自立していない分、とても無防備だからです。
◆傷ついた心は友達と分かち合うもの?
そんな人の心とカラダの傷をケアする“愛”を配ろうと研究し、毎日ベイマックス(ヒロの相棒となるロボット)を改良し続けていたのがヒロの兄タダシ。
ベイマックスは、ヒロにこう伝えます。「心とカラダの痛みは分かち合いましょう」。
でも「分かち合うって何?いらないよ」とヒロは突っぱねます。男の子だから、自分でなんとかしたいと思うんですね。
私も男の子を育ててきたのでわかりますが、基本的に男という性はとにかく何でも自分でしないと気が済まない性(サガ)を持ちます。
言い換えると、自分で何でもこなさないと社会で生きていけない性なので、幼い頃からの自立心は、大人に守られていても旺盛です。
◆ハイテクは全世界をも支配できる力
また、男の性は競争力がものいう性です。前に突き進むため、本能的に勝ちにこだわるケースが多々あります。
ヒロも禁止されている、闇の賭けが生じるロボット対戦で勝つことにうつつを抜かして、兄に怒られます。しかし、それでもやめる気がないほど夢中になっています。
人間は腕力だけでなく、脳力という高等な賢さを持つ動物。なので、コンピューターやハイテクノロジーを使っての“勝ち”は、一対一での勝ちだけでなく、全世界という集団への支配力へと変えられます。
ハイテクに関して天才的な威力を発揮する少年ヒロは、そんな世界をも征することができるかもしれない力の持ち主。実はその莫大な威力を持つ“力“こそ、人間がもっとも求めてやまない“力”なのです。
◆社会を救えるのは“力”か“優しさ”か?
世界をも征する “力”を得た人の周りには、その“力”を使って金儲けしようと企む、欲望渦巻く人が集まってきます。
その反面、“力”を単なる金儲けではなく“愛ある力”に変えて人々を守ろうとする人間も集まってきます。“力”を持つ人間は、正義にも悪にもなる危うさがあります。
ヒロの兄タダシは、自分のテクノロジーの力を、人々の心とカラダを守る“愛ある力”へと変えようと努力した研究者です。ヒロに人の愛とは何か?を教えたのもタダシです。
ヒロは天才的な才能を持つ少年だからこそ、その将来を案じて自分が得た“力”をどう使えば、人々のためになるのか?を教えたかったのでしょう。
生前よりヒロにハイテクの素晴らしさを伝え続け、ヒロの才能をさらに開花させようと頑張っていた兄から託された使命を、ヒロはどう捉え、世界に羽ばたいていくのか?
ベイマックスとの触れ合いを通し、ヒロの心は、支配する“力”と大きく包み込む“優しさ”の狭間で葛藤します。その、もがき苦しみながらも仲間と共に前に進もうとする姿は、人間社会で “力”と“優しさ”のバランスの取り方を日々模索し続けている人の心に、多くの共感を呼ぶと思います。
心とカラダのセルフマネジメントに関する“力”と“優しさ”のバランスこそ、人間が人間社会でもっとも大切に考えなくてはいけないことかもしれませんからね。
天才少年ヒロが“愛ある力”に目覚める瞬間を、ぜひお友達や恋人、ご家族と一緒に劇場の巨大スクリーンでご覧ください。
将来、結婚して子育てを経験するかもしれない独身女性や、すでにお子さんを育てている既婚女性にも、大人として子どもに愛や真の正義とは何か?を伝えられる素晴らしい作品です。
自分が少年少女の頃に感じていた正義という名の純粋な心にもきっと響くでしょう。
【STORY】
兄が遺した優しすぎるケア・ロボットに秘められた、驚くべき“使命”とは…?
謎の事故で最愛の兄タダシを失った天才少年ヒロ。深く傷ついた彼の心を救ったのは、人々の心とカラダを守るために兄が開発したケア・ロボットのベイマックスだった。兄の死の真相をつかもうとする二人だったが、彼らの前に未知なる強大な敵が立ちはだかる。ケア・ロボットとして人を傷つけることを禁じられているベイマックスに、大切なヒロを守り切ることはできるのだろうか? そして、兄がベイマックスに託した、驚くべき“使命”とは…?
【みどころ】
ヒロの心の成長を追うストーリーは涙なくして見られないのですが、日本文化への愛がギュッと詰まったノスタルジックな世界観も見逃せません。『ベイマックス』には、アニメーション界の権威であるアニー賞の美術賞を、日本人で初めて受賞した世界的なイラストレーター、上杉忠弘氏がコンセプト・アートとして協力しています。
制作前のリサーチで来日したドン・ホール監督とクリエイターメンバーは、それぞれ日本の文化に感銘を受けたそう。特に光は印象的だったと言います。
「僕らが見た日本の光はとても美しかったんだ。ネオンの光も含めてね。東京はとてもモダンでクールなテクノロジーがあり、サンフランシスコの特徴的な土地と混ぜ合わせることで、とてもクールで興味深く、新しい独創的な世界が作れると思ったんだ」
その言葉通り、今回の夕焼けはまさに日本の光のイメージを反映して描かれ、私たち日本人がノスタルジーを感じるビジュアルとして仕上がっています。監督は「このポスターは、夕焼けの光が二人を照らすことによって、ヒロとベイマックスの絆をより際立たせているんだ。日本に影響を受けた美しい光と、ストーリーに込めた想いを感じて欲しい」と続けています。
12月20日(土)全国ロードショー
監督:ドン・ホール/クリス・ウィリアムズ
製作:ロイ・コンリ
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
(C)2014 Disney. All Rights Reserved.
★オリジナルグッズプレゼント★
とってもかわいい『ベイマックス』特製ポーチを3名様にプレゼントします!
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ご応募期限:2015年1月12日(月)
荒牧佳代(あらまき かよ)
恋愛科学研究所所長、恋愛科学カウンセラー。脳内ホルモンと個人の性格や行動を関連させたロジックでさまざまなテーマを分析する恋愛科学(行動科学)のプロフェッショナル。2013年、avex(エイベックス)×DocomoのBeeTV「声感☆ラブメッセージ」全12話監修。2014年、Yahoo女子向けニュースアプリ「ポストピ」にて業界通のタレントとして恋愛記事をチョイス!コメント付きでピックアップ中。「Yahoo、ツヴァイ、ブックビヨンド(学研)」3社の新メディアブランドプロジェクト【恋活サプリ】にて毎週金曜日コラム更新、当プロジェクトより電子書籍「モテに興味ある男、モテに興味ないフリする女」も出版。他、テレビ・ラジオ・ネットTVゲスト出演、Webサイトのコラム執筆、雑誌特集企画監修、恋愛&婚活セミナー講師、映画トークショーなど多方面で活躍中。