旧暦には、明確な季節区分があります。
【春】1月・2月・3月
【夏】4月・5月・6月
【秋】7月・8月・9月
【冬】10月・11月・12月
先週お伝えしたように、今年は9月と10月の間に「閏9月」が入る年。そのため、平年よりも秋が長く、秋の風物詩である「名月」が3回も楽しめます。実は、これがスゴイことなんです!
それでは順を追って説明しましょう。
まず「名月」とは、旧暦8月15日の「中秋の名月(十五夜)」と、旧暦9月13日の「十三夜」のこと。秋のお月見といえば、十五夜に次いで翌月の十三夜も眺めるのが古くからの習わしで、どちらか一方のお月見しかしないことを「片月見(かたつきみ)」といって、縁起が悪いと忌み嫌いました。
というわけで、平年の名月は2回だけ。ですが、今年は閏9月が入るため、9月13日が2回あります。名月は計3回となり、十三夜は2度出現することになるのです。
前回、2度目の十三夜(閏9月13日)があったのは、天保14年(1843年)。今年は、なんと171年ぶりに2度目の十三夜がめぐってくることになります!
こんな特別な年は、きっと一生に一度きり。まさに、閏9月13日の十三夜は「奇跡の月」。その月が見られるのは、11月5日です。月の出は15時40分、月の入りは翌日の3時53分(東京)。空が晴れてくれれば、ほぼ一晩中お月見が楽しめます。
このようなチャンスは、私たちが「今を生きている」からこそ得られたもの。171年という時の長さに思いを馳せれば、月との対面がより感動的になりそうです。
名月の十三夜に限らず、毎月めぐってくる十三夜(旧暦13日の月)は、仏教と縁があります。13日が虚空蔵菩薩の縁日だからです。
旧暦の時代、十三夜は虚空蔵菩薩と結びつけられて、信仰の対象とされていました。虚空蔵菩薩は、月の化現(けげん)と考えられ、尊像の背には月輪があり、知恵と福徳を授けることで知られています。昔の人は、十三夜の月に手を合わせ、知恵や福を授かろうと祈りをささげていたわけです。
11月5日の夜、171年ぶりの特別な十三夜の月には、光とともに虚空蔵菩薩のパワーが湛えられているはず。たっぷりと月光を浴びれば、これからの恋愛や人生に必要な知恵を受け取ることができるかもしれません。連載第8回で紹介した「飲月」をするのもオススメです。
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