先日公開された映画『怒り』は、映画自体の評判も去ることながら、妻夫木聡さんと綾野剛さんの濃厚な絡みが話題となり、いわゆる“腐女子”需要の観点でもクオリティが高かったようですね。
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いつの時代も美しい男性による禁断のラブシーンは、女子たちの隠しきれない好奇心を刺激してくるものです。
腐女子じゃなくても読める!ソフトBL
とはいえボーイズ・ラブと言われるとどうしても背徳感があるというか、男同士でひたすらあんなことやこんなことを繰り広げていて、ちょっと人前では読めない漫画…といったイメージではないでしょうか。
もちろんど真ん中のBL作品は、いきなり読むにはハードルが高いかもしれません。ですがボーイズ・ラブの儚くも美しい独特の世界観は、現実の恋愛にくたびれてしまったときなどにそっと癒してくれる、一服の清涼剤のようなもの。
そこで今回は腐女子カテゴリに属さずとも読める、ソフトなBL作品をご紹介します。ありきたりの恋愛漫画に飽きてしまったという方、興味はあるけれどBLには手を出せなかったという方、ぜひこの機会にお手にとってみては。
『失ショコ』に通じる切ない片思い
まずご紹介したいのは、『失恋ショコラティエ』の作者でもある水城せとなさんによる『窮鼠はチーズの夢を見る』。ごく普通のサラリーマンであるノンケの大伴恭一(妻帯者)と、その大学時代の後輩でゲイの今ヶ瀬渉との恋愛模様を描く作品です。
今ヶ瀬は非常にイケメンですが、恋愛対象は男性で大伴にずっと想いを寄せており、あるキッカケから大伴に体の関係を迫るように…。
と聞くとキワドいシーンばっかりの漫画に思えるかもしれませんが、これ、あくまで純愛です。何しろゲイの今ヶ瀬がノンケの大伴に必死で恋する姿は、そこらの恋愛よりよっぽど切ない。
『失恋ショコラティエ』にも通じる、報われる見込みの薄い片思いの風景は、恋をしている人ならどっぷり浸かってしまうはず。男同士であることを越えて、今ヶ瀬に共感せずにいられないのです。
男同士のカップルに対する周囲の反応も描かれ、一筋縄ではいかないわけですが、次第に大伴が今ヶ瀬を受け入れていく様子は、水城さんのアーティスティックな絵柄も相まって非常に美しい物語を織りなします。
恋をしたら性別という枠に捕らわれる必要はないのかもと思わされるあたり、BLへの導入にオススメ。ちなみに『俎上の鯉は二度跳ねる』という続編も出ています。
大正ロマン×美しき男たちの恋
こちらは『ふしぎ遊戯』でお馴染みの渡瀬悠宇さんによる意欲作。大正時代の名家を舞台に、その家の美貌の長男・蒼磨と心優しい書生・正崇との間に生まれる愛憎と破滅の物語です。正崇は予備校に通うため上京し、書生先である家を探している中で車に轢かれそうになった女性を助けます。
すると、その車に乗っていた青年から名刺を手渡され、そこから運命の歯車が動き出すのです。
長年の構想期間を経て発表された作品というだけあって、BLと言っても主役が男同士なだけで、軸足は重厚な人間模様を描いた大正ロマンといった趣き。時代設定も手伝ってか、思いのほか男同士のラブシーンに抵抗を感じないかもしれません。緻密な絵柄にも作者の気合いを感じます。
上巻ラストから蒼磨の抱える闇が明らかになっていき、なかなかにヘヴィな展開が繰り広げられるのですが、この作品もまた登場人物の心象が丁寧に描かれているので、ナチュラルに物語に入っていけるはず。
その先にたまたま男同士の恋慕が生まれただけで、根底には深い人間愛を感じさせられます。上中下巻でボリュームたっぷりなので、連休などに一気読みがオススメ。
男子高校生が織りなす胸キュン物語
最後は2016年に劇場版アニメも公開された中村明日美子さんによるシリーズ作品。草壁光と佐条利人という2人の高校生男子による恋物語。ピアスに金髪の光と眼鏡の秀才・利人というカップリングは、男男だろうとたとえ男女だろうとグッとくる鉄板ギャップですよね。
そこはかとなく自分が同性が好きだと気づいている利人と、むしろ女慣れしていて無防備極まりない光は、ごく自然に惹かれ合って恋に落ちていきます。途中では2人が通う高校の音楽教師(♂)も絡んできたりするのですが、おおむね主人公たちの若さたっぷりな恋愛風景を穏やかに眺めていく漫画なので平和に読み進められます。
この作品においては、とにかく自然体で男子同士のカップルが成立しているので禁断感は少なく、BLを読んでいるのだという意識すら希薄になるかもしれません。
でも2人の間にはそれなりに嫉妬や気遣い、葛藤があって、そこここに挟まれるちょい甘なシーンで思わず胸キュン。光の物怖じせず、欲求に従順な恋愛スタンスは少しうらやましくもあります。
中村明日美子さんと言えば『Jの総て』など、同性愛もなかなかにハードに描いてきた作家さんですが、ここではその繊細で美しい絵を存分に活かし、絵を見せるかのように2人のきらめく青春が展開していきます。これも入門編にもってこいです。
終わりに
以上の3作品は、いずれもBL以外の作品でも著名な作家さんが手がけているものなので、ストーリー自体の魅力も強いのが特徴。物語として楽しめるものだと、男×男のベッドシーンもドキドキ読めてしまうものです。
もし読んでみてツボにハマるようなら、他の作品にもチャレンジして腐女子の扉を開いてみるのもいいかもしれませんね◎