大人になると、素直に恋愛をすることが難しくなりますよね。結婚もよぎるし、相手の気持ちや自分の打算を疑ってしまったり…。そんな自分を感じるとき、視点を変えるのにオススメな恋愛漫画があります。
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大人の恋愛がしたくなる?
数年前に公開された映画、『娚の一生』は、榮倉奈々さんと豊川悦司さんという、美しくて色香あふれる2人による“足キス”シーンが話題となりました。この原作は西炯子さんによる同名の漫画。繊細な絵柄が特徴的な傑作です。
主人公のつぐみは、容姿には恵まれていますが、不毛な不倫経験を経て、もはや可愛げを失いつつある30代。あるとき彼女は亡くなった祖母の家に移り住むのですが、そこにいたのが、かつて祖母に想いを寄せていたという50過ぎの大学教授・海江田醇で、つぐみに一目惚れした海江田からの猛アタックを受ける…というストーリー。
年上の男性に“異性”を見る
美人だけれど、30代半ばで仕事バリバリで、恋愛にはややトラウマがあって。「あぁー、確かにこれは結婚できない女スペック」と言わざるをえないつぐみ。海江田はそんなつぐみに文字通りぞっこんになるのです。
そりゃあ、15近く年下なら、向こうからしたら若くて可愛いに違いありません。40歳から見て35の女より25の女がいいというのはあっても、五十路超えたら35も25も大差ない(はず)ですよね。そんな年上男性を”異性”として見てみることで、自分の中の若さ、可愛らしさが改めて開花するのかもしれません。
50代とはいえ、海江田は独身で色気の漂う大人な男ですから、あの手この手で口説かれるつぐみは読んでいて羨ましくてたまりません。分かってます、トヨエツが独身でそのあたりにいるはずはないんです。
でも、ここにちょっとした年の差マジックがあって、15歳、20歳と年上の相手って、それだけで妙な魅力を感じさせるもの。今時分の50代は世代的に物事に貪欲で肉食というのもあるかもしれませんが、経済力もまあまあある場合が多いですし(特に独身なら)、包容力は抜群ですよね。
人生経験も豊富なので、時に諭してくれることも。海江田も、つぐみにベタ惚れなくせに基本スタンスは説教モードなのがまた素敵。間に混ぜてくる甘い言葉がたまらないのです。甘えるのが下手、という女性でも、きっとそんな瞬間には素直に心を委ねられることでしょう。年上との恋愛は、女としての価値を再発見させてくれるものだと思います。
過去の自分がもたらす恋もある
同じく西炯子さんによる『姉の結婚』。これまたアラフォー独女・ヨリのヒリヒリするリアルを描く一方で、彼女を一途に愛する王子様のような存在が現れ、胸キュンが止まらない作品です。
ここでの王子様はヨリの中学時代の同級生・真木。子供のころは太っていたのが、大人になって驚きのイケメンに成長して現れるのです。
当時ヨリは、体型のせいでいじめられていた真木を叱咤激励し、真木はそれがキッカケでずっとヨリのことを想ってきた…というまさにお伽噺な展開。ですが真木は結婚していて…。胸キュンと切なさが交互に押し寄せる大人のラブストーリーです。
でもこれを読んだら、きっと自分の中学時代の出会いを振り返ってしまうはず。自尊心や経験値に覆われていない時代の自分を知っている相手ならば、本当の自分を愛してくれるような気がするのです。
ジレンマに悩むくらいでちょうどいい
つぐみもヨリも、とどのつまり、愛されることに自信が持てない女性たち。自分自身を好きになれず、だから自分を好きだという相手を信じられない。だけど、相手に他の女性の影を見るとヤキモチを焼いてしまって…このジレンマは、思わず共感してしまう人も多いのでは。
大人になれば、どこかで自分を愛せない瞬間だってありますよね。それも度が過ぎると厄介なのですが、誰かに愛される自分を信じたい気持ちとのジレンマに悩めるくらいなら、それはむしろ大人の女としての魅力のように思うのです。
そしてちょっとずつ相手の気持ちを信じていけばいい…そんなことを俯瞰して眺められるのが、『娚の一生』『姉の結婚』という2つの作品。大人の女になって、今一度「愛される」ということを考えてみたいとき、読んでみてほしい漫画です。