「王子様」みたいな男性っていますよね。整った容姿、素敵に見えてしまう職業、パーフェクトな気がする経歴…思わず恋に落ちそう。でも、それって本当に王子様なんでしょうか?作詞家として華やかな世界もたっぷり見てきた緒田茉莉が、様々な男性を分析していきます。
【王子様なんていないんだよ Vol.1】~プロローグ
私の恋愛が上手くいっていたら、きっと作詞なんかしなかっただろう。
「どこかに私のすべてを受け止めてくれる王子様がいるハズ」と、我ながらずいぶん長い道のりを歩いてきてしまったと思う。あるとき「二度と人を好きになんてならない!」と思うほどの失恋をして、泣き続ける私にあるアーティストが言った。
「あなたは作詞家なんだから、その涙をお金に替えなさい」
恐ろしいほどの金言である。
歌詞に登場する人物をよりリアルに感じて欲しくて始めた人間ウォッチングが、いつの間にかずいぶんプロファイルされていた。いろんな人がいて、いろんな恋がある。かなーり偏っているけれど、恋をするあなたのお役に立てたら幸せです。
ヘアメイクの男
ヘアメイクの男は概ねカッコイイ。すごくイケメンというわけでもないがヘアスタイルはもちろん、服装もおしゃれで、いわゆる雰囲気イケメンが多い。ってことは・・・モテる。そしてモテ男のなかでもなぜかトラブルが多い。今回はそんなヘアメイクな男のプロファイル。
ヘアメイクという仕事は空気が読めることが大切。ヘアサロンの美容師さんも、タレントの専属ヘアメイクもそこは同じ。お客様の気持ち、状況、話す話題、距離感、考えることはたくさんある。ヘアメイクをしながらすごく頭も使う仕事だ。
お客様にとって仕上がりはもちろん大切だが、楽しく過ごせたかも重要。お金を払って気持ちも髪型もリフレッシュしに来ているのだもの。
タレントやアーティストのヘアメイクとなると、さらに繊細な配慮が必要となる。テレビの生放送やコンサートの前の緊張した人を一番近くで最後の準備をするのがヘアメイク。より輝くように仕上げることによって、安心感や自信につながったりもする。そんな分野には女性的なヘアメイクの男がとても多い。異性だと思うと緊張したりするものだが、口調や物腰が女っぽいと警戒心が薄くなり、打ち解けるのも早いらしい。
芸能ネタの流出元はヘアメイク!?
当然のことながらヘアメイク、おしなべてコミュニケーション能力が高い。しかも髪や顔に触れるのが仕事。異性に髪や顔を触れられるなんて、ヘアメイク以外では彼氏か歯医者さんくらいなもんだ。何度か触れられているうちに、巧みな話術もともなって人は心を開いていく。ついついプライベートなことも喋っちゃう。
ってことで芸能ネタが流出元はヘアメイクなんてよくある話だったりする。
デキるヘアメイクは口が堅い!もだえるほど美味しいネタも墓場まで持っていくのがカリスマヘアメイクの男なのである。
カリスマまでは行かずとも、髪や顔に触れられて、楽しく会話もでき、綺麗な自分にしてくれる。この時点で王子様度はかなり高い。
でもよーーーーく考えて、それは仕事で、あなた以外にもしていること。あなたを担当してるときは「私のことだけ見てくれてるもん」って思うでしょ?鏡に映るその男の顔は真剣でキュンとくるかもれないけれど、彼らは忙しいので頭の中では、次の仕事のこと、ギャラの交渉、食べ損ねたお昼ご飯のことでも考えてると思ったほうがいい。
なのに抜群のコミュニケーション能力で、季節のご挨拶のハガキには手書きのメッセージ、サロンに行った3日後くらいにはアフターフォローの電話なんてしてきたりする。
・・・あぁ、また自分だけ特別だと思っちゃってたよ。
ヘアメイクの火曜日進化論
仕事とは言え、こんなことを続けられるのはサロンの定休日が火曜であることに起因していると私は思う。火曜日が休みのヘアメイクが、土日休みの彼女に対応するには甲斐甲斐しくマメマメしいケアが大切なのである。私はこれを「ヘアメイクの火曜日進化論」と呼んでいる。
それでも「休みが合わないのは難しい」とイケてるヘアメイク、弱音を吐くこともある。あ、もし今、「私なら大丈夫」と思ったあなた、気を付けて。それだって演技かもしれないよ。まず先に自分の弱ったところを見せる。それって他人の懐に入るには大切なスキルだもの。
手先の器用なヘアメイクの男は、心も器用な男。心して立ち向かうのだ。
(※2016年8月9日 10:15 公開記事)