過去の恋の痛手が忘れられなくて、なかなか新しい恋に踏み出せない…そんな人は少なくないでしょう。
そういった気持ちを乗り越えるにはどうしたらいい?今回は心理学を用いて心を強く持ち、前を向くための方法を考えていきます。
Case1:ひどいフラレ方をしてから…
「初めてつきあった人に、『他に好きな人ができた』とフラれました。前日まで楽しく会話していたのに、突然『わがまま過ぎる』とか『人としてどうかと思う』と言われ…気に入らないところがあるなら、その場で言ってほしかった。自分の人格まで否定されて心が折れました。
その後、別の人に告白されたけど、私なんてどうせ嫌われると思って、ちゃんと返事をせずにいるうちに気まずくなってしまいました」(24歳 女性)
「また同じように傷つきたくない」
「どうせ男なんてみんな同じ」
「自分に自信が持てなくなった」
そんなふうに考えてしまうのも、無理もないというもの。気持ちは本当によくわかります。
これが俗にいう広義での「トラウマ」ってやつ。かつて心が深く傷ついたことが原因で、新しい一歩を踏み出したくても踏み出せない、という因果律を、心理学の大家フロイトは「原因論」で説明しています。
『恋ができない自分』になりたい私!?
それとよく対比されるのが、アドラーの「目的論」。『アドラー心理学』なる言葉は最近あちこちで耳にするので、ご存知の人も多いかと思います。
『嫌われる勇気』という書籍が近年ベストセラーになったし、既に読んだ方もいるでしょう。
アドラーによると、この場合「傷つくのが怖くて動けない」のではなく「本当は心の奥に、動かない目的がある」のだと言います。
例えば「一人のほうが気楽」とか。
失敗したときのために「自分には自信がないから仕方ない」という言い訳を必要としている、とか。
つまり、恋人のいない生活を自ら選んでいるのだ、と。
うーん、手厳しいけど、そう言われるとそうなのかも…という気も。
当事者である本人としては「本当に、傷つきたくないだけなのに」と泣き言のひとつも言いたくなりますが、アドラーの「目的論」はそんな甘えも許しません。
でも、ただ厳しいってわけではないんですよ。
アドラーはその行動の本来の目的を素直に認めて「もっと素敵な自分」へのステップアップを図ろうよ、と言っているんです。
記憶を捉え直してみる
例えば、Case1 の場合なら
・恋人から自分自身を否定されること
・恋人から嫌われること
を避けようと、「恋ができない自分」を自ら作り上げている状態。
突き詰めれば「相手に合わせなければ嫌われてしまう」と、まず自己否定ありきの、決して幸せとは言えない生き方ですよね。
そして、「私は嫌われてしまうような人間だから、恋愛がうまくいかなくても仕方ない→だからわざわざ勇気を出してまた恋をしなくてもいい」と現実的な努力を放棄している、とアドラーは言うのです。
うう、厳しい。
ここでアドラー流に発想を転換してみると
・受け入れてもらえるかどうかは、自分ではなく相手の問題(他人がどう思うか、ということは、そもそも自分でどうにかできるものではない)
・「他人からどう見られるか」よりも「今のままの自分に何ができるか」
簡単に言うと、こういうことになります。
彼にどう思われるかばかりを気にするのは、結局「自分にしか興味を持てていない」ということ。
今の自分を卑下したり逆に無理持ち上げたりせず、現実のままどれだけ相手を愛せるか、というところに尽きるのかもしれません。
自分が思うように生きていい!
Case1の場合、立ち直るための考え方の一例としては
「元カレには嫌われたけど、彼が私をどう思うかについては彼の自由。彼に嫌われる=自分は無価値、というわけではないのだから、これからは自分が思うように生きて、そこで惹かれ合った人と関係を作っていこう」
みたいな感じでしょうか。
傷ついた心がちゃんと癒えるまではそんな気にはならないかもしれないし、本当に恋が怖いんだからしょうがない、って考えることもあるでしょう。
でも、いつまでも今のままじゃ…って少しでも思うのなら、自分が変わろうとする勇気はやっぱり必要なのかもしれません。
気持ちも新たになるこの時期。恋に臆病になっているみなさんは、アドラー心理学を参考にここらで気持ちを切り替えてみるのもいいのでは?
恋も人生も、どう転んだってトライ・アンド・エラーの連続。その中で自分らしく生きる背中を、そっと支えてくれるんじゃないかなって思います。
(※2016年05月09日 10:45 公開記事)