この時季になると、よく耳にする「おひな様をしまい忘れるとお嫁にいけない」という言い伝え。
子どもの頃は、ふ~んと聞き流していても、アラサーくらいになると、もしかしてあれが原因だったのかしら…なんて思ったりもするのでは?
あの伝説には本当は、どういう意味が込められているのでしょうか?
「ひな祭り」ってどんな日?
「神宮館高島暦」をはじめとした「こよみ」シリーズを手がける出版社の神宮館によると、「ひな祭り=桃の節句」は、暦の上での節目である五節句の一つで、正式名称は「上巳(じょうし)の節句」。
上巳とは3月の最初の「巳(み)の日」を指す言葉で、中国では忌日(いみび)とされ、邪気や穢れが襲ってくる日と考えられていたそうです。
そうした災難を避けるために川で身を清める禊(みそぎ)の習慣があり、これが日本に伝わってきたのだとか。
その後、日本では、紙で作った形代(かたしろ)で自分の身体をなでて穢れを落とし、川に人形を流して厄を祓う「流し雛」という風習が定着していきました。
現在のひな祭りは、この流し雛と平安時代の貴族の「ひいな遊び(人形を使ったままごと)」が起源となったもの。
江戸時代頃には庶民の間にも定着し、5月5日の端午の節句を男の子の節句とするのに対し、3月3日の上巳の節句は女の子の節句として親しまれてきました。
ひな飾りを片付けるのは3月4日!
ひな飾りは、前日(3月2日)に飾る「一夜飾り」は縁起が悪いとされていて、桃の節句の2週間前頃から飾るのが一般的。ですから、そういえば飾ってなかった…と、今日、無理に飾るのはかえって良くないかもしれません。
また、ひな飾りをいつまでも出しておくと婚期が遅れるとされていますが、実際は「片付けのできない娘は良いお嫁さんになれない」という戒めと考えられています。
あら…「良いお嫁さんになれない」のであって、「行き遅れる」わけじゃなかったんですね。ということは、もしまだ結婚できていなくても、それは、おひな様のせいではなかったのかも…?
ひなあられは占いのツールだった?
ところで、ひな祭りには欠かせない「ひなあられ」。昔の人々は、炒った時のはぜ(はじけるの意)具合でその年の吉凶を占っていたそうです。
良くはぜると吉で、あまりはぜないと凶…って面白い。これ、できるものなら試してみたくなりますね!
ちなみに、やはりひな祭りに食べる「草餅」は、邪気を祓う効果がある「よもぎ」を使ったお菓子。「甘酒&白酒」には、長寿を願う意味合いがあるとのこと。
スーパーで売られていたからと、ただ漫然と食べるのではなく、本来の意味を知ってから味わえば、自然と共にあった昔の人々の生活を追体験しているようで、ちょっと豊かな気持ちになれそうですよね。
明日は3月3日。オトナの女でいるのもいいけれど、この日は女の子に戻って、ひな祭りを楽しんでみてはいかがでしょうか?