2010年「Yahoo!知恵袋」に投稿された、このお悩み相談をご存知の方は少なくないでしょう。
「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。」
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ワニに食われ、頭に弓矢が突き抜け、銃を抱えて名誉の戦死を遂げる…。
手の込んだ「死んだふり」をする妻と、それに付き合いつつも意図がわからず困惑する夫。
ユニークでどこかハートフルなこの夫婦は話題になり、ボーカロイド曲やエッセイマンガが生まれ、とうとう今年、実写映画化されました。
夫婦のバランス感覚
結婚して、そろそろ3年目を迎える加賀美じゅん(安田顕さん)は、実はバツイチ。
前の結婚は3年で壊れたため、「3年目のジンクス」に囚われてナーバスになっていました。
妻・ちえ(榮倉奈々さん)の「死んだふり」は、ある日、唐突に始まります。
毎日、手を変え品を変え、死んだふりをし続けるのはなぜなのか。
自分に対して「何かをしてほしい」からこんなことをするのではないか、とじゅんは思い悩むのです。
でもやがて、ちえの言葉や行動ひとつひとつに、大切なメッセージが込められていることに気づきます。
『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』は、「優しさ」とは何か、その意味を深く考えさせられる映画です。
結婚3年目を迎える2人の生活は、奇妙でありながら、とても愛情にあふれているのがわかります。
妻の個性的な愛情表現を夫がちゃんと受けとめ、夫婦としてバランスが整っているから、釣り合いのとれた関係を築けているのです。
あなたは「損している」と感じる?
社会心理学者J・ステイシー・アダムスは、1965年に「エイクティ理論」を提唱しました。
自分が行った仕事や努力の投入(Input)に対して得られた報酬や結果(Outcome)と、他者のそれとを比較して「不公平だ」と感じたとき、人はこの状態を解消しようとする心理が働くという理論です。
経営戦略のひとつとして応用されるこちらの公平理論は、実はカップルや夫婦に対しても適用できます。
「こんなにいろいろ努力しているのに、思ったほど感謝されない」と感じたことはないでしょうか?
さらに幸せそうなカップルを見て、不公平感を募らせていませんか?
「不公平感」を覚えると、人は次のような「解消行動」に出ます。
「もっと気持ちを返してよ!」と要求したり、あるいは「努力するのをやめよう」と思ったり、不幸な恋愛をしている人を見て自分を慰めたり、ときには「この人は自分にふさわしくない」と思って別れる、なんてことも。
これらは、幸せになるための行動とはいえませんよね。
では、どうしたら「自分は損している」と感じないカップルになれるのでしょうか?
カップル独自のバランスを見つける
ポイントは2つ。
まずは、各々が認識している努力と結果を見比べてみましょう。
努力のすべてが報われるわけではないし、伝わりきらず、誤解を生んでいるケースもあります。また、理解することで改めて相手への感謝が生まれるでしょう。
お互いに偏りがあると思うならば、無理なくできる努力のラインを話し合って模索してください。
このような擦り合わせを通して、「損している」と感じることがなくなっていきます。
2つめは、「他者」と今の自分たちを比べるのをやめることです。
隣の芝生は青く見えるもの。うらやましがったところで現実は何も変わらないし、ただただ気持ちがささくれるだけです。
それならば、昔と今を比べてどれだけ2人が成長できたのか、そこにこそ注視するべきでしょう。
まとめ
上手くいかないカップルが抱きやすい「不公平感」と、それを解消するために必要なこと、ご理解いただけましたでしょうか?
なんで自分ばっかり…と思い悩んでいるときは、案外、相手も同じ想いを抱いているかもしれません。
小さな努力や優しさを見過ごさない2人になれれば、じゅんとちえのように、笑いにあふれたカップルになれますよ!
ぜひ、試してみてくださいね。