【恋する薬膳~迷える女子へ贈る優しいレシピ27】
薬膳に使う「生薬」と聞くと、謎の乾物や粉を思い浮かべる方が多いのでは? きっと苦くて、おいしいとは言えない味がするんだろうなぁと感じることでしょう…。
こちらもおすすめ>>ドライな気持ちに火をつけろ!心と体をゆるめる「お手軽ドライカレー」
ところが、一番身近な生薬として、イタリアンでもよく使われる松の実ちゃんがいるのです! 今回は比較的、手に入りやすい松の実と、爽やかな香りの大葉を使ったジェノベーゼの巻。
松の実や大葉にはどんないいことがあるの?
松の実は、マツ科の五葉松の種子です。昔から仙人の食べ物として長寿を願い、食べられてきたと言われています。体を温める温熱性食品に分類され、滋養強壮効果があると伝えられ、咳、頭痛、便秘などの症状に用いられます。
一方、大葉はスーパーで年中見かける存在ですね。爽やかな香りに素晴らしい効能があるとされ、滞りを解消し、気を巡らせる効果があると言われています。
その香りの成分には防腐効果があると昔からよく知られています。お弁当に飾りも兼ねて入れる方もいるのではないでしょうか。
豊富に含まれるカロテンの含有量も、他の野菜と比べてかなりの量なので、免疫力アップにも効果を期待できます。いいことづくしの最強コンビですね。
松の実たっぷり!大葉の爽やかジェノベーゼ
≪材料≫2人分
〇大葉…20枚
〇松の実…10個くらい
〇にんにく…2粒
〇オリーブオイル…たっぷり
〇塩…適量
・パスタ…適量
≪作り方≫
[1] フードプロセッサーかブレンダーに〇の材料を全部入れ、ソースを作ります。
[2] ゆでたパスタにソースをからめれば完成!
☆ソースは味見をしてお好みで大葉を足したり、塩やオリーブオイルを加えたりと調整してくださいね。
爽やかな恋の始まり
むかしむかし、自分に自信がない女の人が一人で暮らしていました。飲み会も苦手、婚活パーティーなんて怖くて行けず、日常には出逢いゼロ。
そんなある日、彼女がネットを見ていると一匹の犬の里親募集が目に入りました。
もうすっかり成犬で推定4歳、雑種の女の子のその瞳は、まるで鏡を見ているかのように自分の目にそっくりでした。
気がつくとその子について問い合わせていました。会ってみると妙にしっくりきます。
女の人は犬と一緒に暮らし始め、名前は「ローズ」とつけました。彼女はどんどん笑顔が増えていきました。
ローズと散歩をするようになってから、毎週土日の朝だけ、道ですれ違う男の人がいました。
その人はジョギングをしているので、あっという間に通り過ぎてしまいます。
女の人は恥ずかしいような、くすぐったいような気持ちになり、心がキュッと締めつけられる感覚を覚えます。
毎回、その瞬間は恥ずかしくてうつむいていましたが、実は女の人の週末の楽しみでもありました。
半年くらい経ったある日、ローズが「ワオン!」と男の人に向かって声をかけました。正確には吠えたのですが、なんと男の人は足を止めてローズに話しかけてくれました。
「毎週お会いするけれど、初めて話しかけてくれたね。ありがとう」
そして女の人に「この子は女の子ですか?」と聞きました。
「はい…」と照れながらうつむくと、ローズはしっぽをブンブン振って応援してくれているようです。じれったくなって代わりに声をかけてくれたのかもしれません。
その日から毎週男の人と話すようになり、週末は近所のジェノベーゼがおいしいイタリアンへ食事に出かけるようになりました。
家の近所に、こんなにおいしいジェノベーゼが食べられる所があるなんて、恋に落ちなければ一生気づかなかったかもしれません。そこは二人のお気に入りとなり、しょっちゅう通いました。
いつしか会う回数も増え、気づくと二人と一匹は一緒に暮らすようになったのです。
長年一人ぽっちだった女の人は、ローズをきっかけに諦めていたはずの恋に落ち、おいしくて爽やかなジェノベーゼにも出会います。
人生、何が起こるかわかりません。幸せは思いがけないところからやってくるもの。
春が来る前に、まずはおいしいジェノベーゼを味わってみませんか?