気鋭の僧侶でありベストセラー作家でもある小池龍之介さんが、悩める女性の悩みにお答えするコーナー「恋愛成就寺」。恋に振り回される女心を諭す的確すぎる回答は、腹落ち感をもたらした後、ボディブローのようにじわじわ効いてきます。
(K・R 東京都・31才・会社員)
会う度に態度が変わる彼。すごくやさしくしてくれる時もあれば、冷たくされる時もあり、彼の本心がわかりません。
お酒を飲んでいるときや気分のいいときには「好きだ」と言ってくれることもありますが、ちゃんと告白されたこともありません。メールの返事も来るときと来ないときがあり、私から連絡しないと何週間も音沙汰なくなってしまう状態です。合コンに行ってたという話も聞きますし、他の女性と親しげにしているのも目にします。
こんな関係がつらくて、もうケリをつけようと思って「私のこと好きなの?」と聞くと、好きだと答えてくれますが、彼が私のことをどんなふうに考えているのか、まったくわからず不安です。どうすれば彼との関係を進展させることができるでしょうか?
現代の男の子に多いタイプですけど、プライドが高くて傷つきやすい人にとって愛情を表現するのは相当至難の業なのです。自分から愛情を示すよりも相手から愛されたいと思っている男の子が多いんじゃないかなぁという気がします。
あまり愛情を示していなかったり、やさしくしてなかったりする、つまり努力をしていない状況下でも、女の子が自分のことを好きでいてくれたり、自分の愛情を求めているように見えたりしたときにプライドが満たされる。自分のほうが勝っているという感じ、と言い換えてもいいかもしれません。相手に影響力を行使している自分が気持ちいいんですね。知らず知らずのうちにそういう気持ちよさにあぐらをかいてしまうということがあるんじゃないかなぁと感じます。
それは、好きじゃないということですか?
プライドを満たすことを優先しているだけで、イコール相手を好きじゃない、とは言い切れませんよね。
愛情表現をすごくしてくれる=愛されている、という方程式は成り立ちますか?
一概にそうともいえません。
「愛してる」とすごく言ってあげたり、プレゼントをこまめにあげたり、メ─ルをこまめに出してあげたり…なぜそういうことをしたくなるのかを、よくよく考えてみると「もしかしたら彼女が自分から離れていっちゃうのではないか?」「自分が好きなほど相手は自分のことを好きじゃないんじゃないか?」とかそういう欠乏感があるときに、人はしばしば相手に積極的にアプロ─チするんです。
これはすごく残酷な事実で、その反対のことはよく「釣った魚に餌をやらない」っていう言い方をしますけど、裏返せば「釣れていない魚には餌をたくさんやる」というわけで。
やさしくしてくれないのは「釣った魚」だと思ってるからですか?
現代の男の子たちって、付き合い始める前ですら餌をやりたがらない傾向があって、それはもし餌をやったのに釣れなかったら、すごく傷つくからなんですね。
ガラスのハ─ト。
非常に高いプライドがあって、積極的にアプロ─チしたにもかかわらず、プレゼントをあげたにもかかわらず、自分になびいてくれなかったら…そういうのをせずに断られた場合よりも、がんばったのにダメだったときのほうがより自分に価値がないといわれているようなものでしょう。
そういう意味ではプライドが高くて傷つきやすい人ほど、いかにがんばらずに相手に愛されるかっていうことを求める傾向があるわけです。
言い訳する余地を残しているんですね。
それに、がんばったら、愛されているのは自分じゃなくてそのがんばりだって思ってしまう。プレゼントをあげて相手が喜んでくれたら、愛されてるのは自分ではなくプレゼントだっていう気分になってしまったり。
努力して愛の言葉をかけてあげても、愛の言葉が評価されているだけで、自分が愛されているわけじゃない、なんてことを感じなくてもいいように、いかに餌をやらずに愛されるかっていうのをがんばっちゃうわけです。
愛の言葉がないのは、自信がないからですか?
そうですね。
プライドの高さと自信のなさっていうのは実は全くイコールなんですよ。
恋愛に限らず、あらゆる場合に。 現実の自分がすごく傷つきやすくて弱いので、その弱さを覆い隠すための幻想のようなものとして、理想的な自分という夢をつくりあげます。
現実よりもはるかに高い自己像を作り上げるっていうのがプライドっていうものの本質ですね。
つづく
他の女の子に手を出したり、目を向けたりするのは、どうしてですか?
メールをくれないのも、面倒だからとかじゃなく、わざとなんですか?
実は、草食系男子はプライドが高い?
彼が態度を変えることはあるのでしょうか?
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