気鋭の僧侶でありベストセラー作家でもある小池龍之介さんが、悩める女性の悩みにお答えするコーナー「恋愛成就寺」。恋に振り回される女心を諭す的確すぎる回答は、腹落ち感をもたらした後、ボディブローのようにじわじわ効いてきます。
(H・E 愛知県 29才・会社員)
毎日の生活の中で結婚につながる出会いがある気がしません。インターネットや雑誌には、趣味の集まりに参加しろとか、友達に紹介してもらえと書いているので、試しにちょこちょこはやってるのですが、ハズレばかりです。
そうそうちょうどいい感じの男性とばったり遭遇するとは思えません。結婚情報サービスへの登録も考えましたが、そういうサービスに登録する男性でいい人がいるとは思えなくてやめました。
このままだとひとり淋しく老後を迎えかねません。かといって、多少目をつぶって身近な相手(会社の人とか)と結婚するのもいやです。結婚したいです。どうすればいいですか?
そもそもこんな「ハズレばかり」なんて書いてる時点で、男性からしてみたら「絶対こんなやつと結婚したくない!」って思いますよね。
そういう、人を品定めするような視線は、自分も商品みたいに扱われているような気分にさせられて、嫌じゃないですか。
婚活っていう思想自体が、いかに自分が楽しく生きていくために理想的な商品をゲットするかみたいな。
そのためにいかに効率的に労力を投資するかというような話になっています。
結婚したいというよりも、理想の結婚生活が欲しいんじゃないでしょうか。
まぁとにかく一回結婚してみたら。あんまりいいものじゃないってわかるかもしれない(笑)
もう疲れますよ本当。疲れた(笑)
婚活ブーム自体が「お受験」やブランドものみたいに「みんなが持ってるから持たなきゃ」みたいな空気感がありますよね。
そうですね。自分に一生愛情を注いでくれる人っていうのが最強の商品なんですよ。一番みんなが欲しいものですよね。
いまみたいに消費市場が飽和していて、本当にこれが欲しいって思えるようなものがなくなりかけていたところに、一生の伴侶というものが新たな商品として投入され、とても魅力的に映っていて。
しかも他の商品だったらお金を払ったら買えるけど、これは他のファクターを色々そろえないと買えない特殊な商品で、いわば希少価値の高いブランド品みたいなもので、余計みんなが欲しがっているので、すごく欲しい!ってなっちゃうんでしょうね。
ただ、結婚っていうのは恋愛関係以上にものすごくいっぱいがんばらなきゃいけないことがあって、結婚すればいろんな問題が解決するんじゃないかって思い込んでる人が多いんですけど、解決するんじゃなくて新たな問題がいっぱい生まれて、それを解決するために毎日努力を続けなきゃいけない生活が始まるってことをちゃんとわからないといけない。
ありのままの私を一生愛し続けてくれる彼というのは絶対ありえないということ?
無理ですね。
40過ぎても結婚したくないっていう男性なんかも、そういう努力したくないっていう人なんですかね。
そういう感じかもしれません。
女性にとって結婚はひとつのゴールというか、一生にわたる安心感をくれる、みたいなイメージを持っている人は多いと思いますが、そんなことありえないということでしょうか?
絶対とは言い切れないですが…
努力をしないでもらえるかもしれないと思っていたらそれは絶対実現しないですね。
お互いがお互いにちゃんと栄養を与え合う関係をうまく築いていくことができれば、おじいさんおばあさんになっても仲良くお互いを受け入れあって最後まで一緒に添いとげられるかもしれないですね。
「思いやりを持ち続ける」みたいなことになるんですかね。
そうですね。ポジティブにこうしたらいいっていうことを提案するとしたら、結局ある種使い古されてきた素朴な言葉に落ち着くと思うんですね。
そんな複雑なテクニックとか全然なくて、むちゃくちゃ単純な、ただし努力を要する。
結婚を長続きさせる魔法はないんですね。
「3秒でできる魔法の言葉」とかじゃなくて「10年間努力して築き上げる積み木」とか。
まぁそんなタイトルの本はきっと全然売れなくて「3秒でできる」とかのほうが売れると思うんですけど。
みんな努力したくないですからね。「30年がんばって愛される」っていう本を出しましょうか。
全然売れないと思いますけど(笑)
つづく
“結婚しても恋人気分”は幻想?
ドキドキできる人との結婚は矛盾をはらんでる!?
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