大人気ライター・石井ゆかりさんによる、女性の心に寄り添う個人占い。恋愛や人生の悩みにお答えします。
とんさん(22歳女性)
最近、自分の感情がわかりません。辛いことや悲しいことなどを経験する度に「本当にこれは怒るようなことなのか」「本当にこれは悲しむようなことなのか」と自問自答していくうちに、自分が本当は何を考えてどう思っているのかがわからなくなってしまいました。怒りや悲しみを向ける相手が親しければ親しいだけ、その兆候がみられる様に思います。特に、悲しい筈なのに悲しいと思えないことが苦しいです。どうしたらこの状況から抜け出せるのでしょうか。アドバイス頂けたら幸いです。
とんさんへ
それは「本当に起こるべきこと、悲しむべきこと」です。
とんさんは一般的な12星座占いでは天秤座に当たる方で、
木星、土星という星も風の星座にあり、
客観性を重んじる、思考の勝った方です。
ですがそれ以上に、水の星座に5つもの星を持っている、
強烈な「感情型」の人でもあるのです。
圧倒的に激しい感情や人に対する深い深い愛情を、
心の中に一杯に抱えていらっしゃる人です。
しかし、その感情は確かに、
ちょっと隠れた、押し入れのような場所に押し込まれている感じがあります。
人一倍たくさんの感情を、深い山奥のダムのような場所に隠しているので、
そのダムが限界を超えて決壊すると、とんでもない状況に立ち至る、
ということも、考えられなくはありません。
こと、人間関係においては、
理性的であろう、客観的に正しくあろう、
と考えてしまう事が多いかもしれませんが、
もしまんがいち、それが「不当な感情」だったとしても、
感情というのは、正しくないからといってなくなるようなものではないのです。
更に言えば、「正しい感情」というのも、ありません。
感情は絶対的で、そもそも、理屈に照らしてどうこうするようなものではないからで
す。
秘められた感情を生きる、ということは、
とんさんにとって、とても大事なテーマだと思います。
たぶん、とんさんは無意識に、
ご自身の感情が激しすぎるほど激しいことを知っていて、
いったん、それが流れ出ることを自分に許してしまえば、
その感情が自分を飲み込んで一気にどこかへ押し流してしまうのではないか
という恐れを感じていらっしゃるのだと思うのです。
その恐れは、ある意味では正しいと思いますが、
恐れのあまり感情を「封印」してしまうとしたら、
とんさんは自分の中にある豊かな感情という「もう一人の自分」を
きちんと生きないままにすましてしまうことになると思います。
それは、少し危険なことかもしれません。
「生きられなかった自分」は、
形を変えて、人生の思いがけないところで姿を現し、
ときどき、その人を困らせることがあるからです。
とはいえ、「感情を生きる」ためにはどうしたらいいか、
というと、具体的にどんな方法があるか、難しい所ではあります。
ごく親密な、共感的な誰かに、
密かに気持ちを語ることができるなら、いちばんイイと思います。
正しいか正しくないか、というリクツのトラップから離れて、
ひたすらに「気持ち」を吐露できるような、
ごく密かな、密閉された場があればいいのではないかな、と思います。
おそらく、感情を感じ、感情を生きるということと、
「どう行動するか」ということは、
完全一致させる必要は無いと思うのです。
「激しく怒っており、悲しんでいる」
という心のありかた自体を否定しなくても、
他者への適切な対応はできるのではないかと思います。
どう感じるか、ということと、どういう行動を選択するか、ということを、
別々に考えることができるようになると、
感情表現や行動の選択自体が
今までよりももっと自由に、ラクに出来るようになるのではないか、
という気もします。
とんさんの膨大な熱い感情や愛情は、
人間関係においてマイナスに作用するケースばかりではないと思います。
むしろ、相手がそれを何よりも必要としている場合だってあるはずです。
信頼できる相手に、試しに、
ご自身の激しい感情を、理屈抜きでぶつける練習をしてみてはいかがでしょうか。
私たち人間は、いつも、
他者の感情を必要としながら生きています。
とんさんは、人に与えることのできる「情」を、
人一倍豊かに持っている方です。
石井ゆかり
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