人は「しぐさ」や「表情」によって知らない間にメッセージを与えたり、受け取ったりしているそうです。日常的についやってしまうクセやリアクションの意味を科学的に読み解いていきましょう。
第1回は、20~30代の女性50人を対象とした、ついやってしまう「しぐさ」にまつわるアンケートの結果を発表。そして、心理学者の渋谷昌三先生に聞く“視線から相手の本心を読み取るヒント”をご紹介します。
無意識の状態で、ついやってしまう「しぐさ」や「クセ」。みんなはどんな時に、どのようなしぐさをしているのでしょうか?
◎最も多かった意見は「腕組み」です。
「何もすることがない時、腕の置き場がなくて組んでしまう。」
「寒い時も腕を組んでいる。癖になってしまっている。」
「話を聞く時や電車待ちしてる時…携帯いじる時とか~考えてみれば結構してるもんですね。」
確かに腕組みしている人、よく見かけますよね。
◎次いで多かったのは「髪を触る」しぐさ。
「つまらない時や興味がない話の時。」
「恋愛の話をすると特になる。」
気がつくと毛先を指でくるくる。何で触りたくなるんでしょうね?
◎「話す時に相手の目を見ない」や、「貧乏ゆすり」をしてしまうという意見もありました。
「何もしてない時やテレビを見てる時、貧乏ゆすりをすることが。」
「人見知りが激しいので、仲良くなれるまではなかなか相手の目を見られません。」
人の目を見て話すと緊張するという人は、結構多いようです。
◎少数ですが、こんなしぐさをしている人も。
「人の話を聞いている時、頻繁に頭を上下にふって頷いてしまう。」
「落ち着かない時に指先をいじってしまいます。」
自分ではわからなくても、誰かに指摘されてクセに気づく場合もあるかもしれませんね。
「相手の気持ちがわからない」と思っている人は多いことでしょう。でも、人の心は“何気ないしぐさ”に表れているもの。しぐさを読むことができれば、人づき合いはずっと楽になるそうです。人の心をつかんで人間関係を円滑にするためのヒントを、心理学者の渋谷昌三先生に教えていただきました。
目の動きはその人の心理状態や性格をよく表します。なぜならば、もともと目は情報を取り入れ、フィードバック(リアクション)する役割を担っているからです。
私たちは誰かと一緒にいる時、相手の印象や表情、手振りなどを見て相手の心理状態や、自分に対してどんな感情を持っているかなどを推察します。人間は相手に関する情報の80%を、視覚から得ると言われています。「見る」という行為は、情報収集の重要な手段なのです。
一方、相手に関心を抱くとつい見つめることがあるでしょう。驚くと目を見開いたり、興味が持てない話をされると視線をはずしたりします。このように感情を目で相手に伝えることが、フィードバックにあたります。
視線の合わせ方には2人の関係性が強く反映されています。相手が自分をどう見ているか、視線で判断できるのです。
・視線をはずさない
相手を警戒しているか、挑発的な感情を抱いています。初対面でなければ、敵対視している可能性もあります。
・視線を合わせない
相手に興味がない、または否定的な感情を抱いている可能性が高いでしょう。会話の途中で視線を合わせなくなったら、「あなたの意見に賛成できない」「話を切り上げたい」というサインです。
・視線を適度にそらせながら合わせる
相手に対して悪い感情は持っていません。にらんだりせず、たびたび視線を合わせてくるなら好意を持っているか、意見に同意していることがわかります。
・すぐに視線をはずす、横目で見る
相手に嫌悪感を抱いていると考えられます。横を向きながら視線だけ合わせてくる場合は、軽蔑の意味もあります。特に見下ろすような横目は、軽蔑の度合いが高くなります。
人の感情は言葉だけでなく、声の調子やしぐさ、態度にも表れます。心理学用語ではこれを「符号化」と言い、符号を読み取ることを「読解」と言います。心理学者メーラビアンは、人が会話の相手からどのように情報を取り入れているかを、次のように公式化しました。
コミュニケーションで知覚される態度
=言葉×0.07+音声×0.38+顔×0.55
この式によると、人は相手の情報の半分以上を顔の表情から読み取り、40%近くを声の調子、話す速度などから読んでいることになります。そして意外にも、言葉からは10%以下。言葉だけで本音を伝えるのが、いかに難しいかがわかりますね。
なお、動物行動学者のデズモンド・モリスは、著書「マンウォッチング」の中で、人間の7つの動作を信頼できる順にあげています。その順番は
1.自律神経信号⇒汗をかく、顔色が変わる
2.下肢信号⇒脚の動き
3.体幹信号⇒姿勢
4.微妙な手の動き
5.意図的な手の動き
6.表情
7.言語
つまり、最も信用できないのが表情や言葉ということ。表情や言葉は「yes」でも、体が横を向いていたり、貧乏ゆすりをしていたりしたら、本音は「No」と考えたほうがいいでしょう。
彼氏が嘘をついている?と思ったら、いきなり問いたださずに、しぐさに注意してみるといいかもしれませんね。汗のかき方や顔色、手足の動きなどから総合的に判断すれば、相手の本心が見えてくるはず!次回は、しぐさや手振りから深層心理を見抜くポイントをご紹介します。
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