気鋭の僧侶でありベストセラー作家でもある小池龍之介さんが、悩める女性の悩みにお答えするコーナー「恋愛成就寺」。恋に振り回される女心を諭す的確すぎる回答は、腹落ち感をもたらした後、ボディブローのようにじわじわ効いてきます。
愛情表現できない男性が増えているのはどうして?
女性は昔は愛されたい病みたいなのが強かったと思うんですけど、それは女性の社会的地位が低くて自信を持ちにくい状況下に置かれていたことと関係があると思うんです。
同じように、最近は男性が自信を持ちにくい状況になっているようです。
自己実現しなきゃっていう脅迫概念を小さい頃から植え付けられている一方で、どうしたら自己実現するのか全然わからないので、やってることに対して充実感を覚えられない状況におかれているような気がします。
仕事でも、本当に自分にしかできない仕事をやらなきゃいけないと思い込んでいる。
でもそんなすごい仕事に就ける人なんて百人に一人。本当の自分らしさとか、そんなの見つかんないですからね。
昔、男性がある種の自信を持っていられた理由は、立派だって思われるための条件がわかりやすくて、がんばれば割と誰でも達成しやすい条件だったじゃないですか。
大学出て、就職して、終身雇用制の中で働いて、結婚して、マイホームを買えば一人前、立派な男といわれるようなレールがあった。
女性の場合、男性から愛される、そして求められている、くらいしか自分の生きがいを感じる方法がなかったと思うんですけど、男性はそういうひとつひとつのことをちゃんとこなしていればよかった。
今はそうやってレールに乗ってがんばっても、自己実現してないからダメだとか、本当の自分じゃないからダメだとか、そういういろんなプレッシャーがある。
自分らしさ、そんなもの探そうとしたって不可能でしょ、っていうようなものを満たしていないと評価されないという時代になっているのかなと思います。
自分らしさを追い求めてる男性はなかなか自信を持てない?
そうです。悪いことに、そういう「自分にしかできない仕事」や「自分らしさ」を求めている男性のほうが魅力的に見えたりするんですね。見果てぬ夢を追っていたりして。
夢とか、自分らしさとか言ってる男性とか、本当はやめたほうがいい気がする。夢って追うとかじゃなくて、実際いま夢を実現していればいいですけど。
夢を追うっていうのはつまり、現実の自分では達成できないような落差のあることを夢見ている。夢を見ているというのは現実の自分を受け入れていないので、さっきの現実を受け入れないプライドの高さと密接に結びついている。
バイトにいってもそこの店長が自分の哲学と合わないとかすごく偉そうなことを言って、辞めてきちゃったりする。
夢を追いかけてる俺様っていうようなプライドの高さがあるので。もし、ついママになってしまって「いいのよ、家賃払ってあげる」なんてこと言いだしてしまったらもう破滅に向かうしかない。
夢追い人は口は達者だったりするので。哲学とかを語られて「素敵」とか思っちゃうとだまされてしまう。
付き合う前によく考えたほうがいいですね?
そうですね。原体験としては3歳ぐらいまで親に絶対的な安心感を与えてもらったかということが自信の根っこにあったりしますから、子供のころの話とか家族との関係とかさりげなく聞くのもいいかもしれません。
恋愛以外のことに対しても、こだわりが強いタイプや根に持つタイプだと要注意ですね。失敗したり、思い通りにいかなくても「まあ、いいや」と受け流せる性格であれば。
愛されたい、と願うなら「私がついていてあげなきゃ」とか「私しか彼をわかってあげられないの」なんていう関係に酔わないことです。
合掌
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