家族について【石井ゆかりの星の相談室】vol.15

しおりさんへ

しおりさんのホロスコープを見ると、
まず、水瓶座という星座に太陽があり、
空の一番高いところに射手座の火星が位置しています。
これは、自由と冒険、挑戦を望む、とてもパワフルな配置と言えます。

その一方で、
山羊座という星座に、星が非常にたくさん集まっています。
山羊座は、権力、ルール、規範意識、自分を守ってくれる、でも縛りもする城壁、
というような世界を象徴しています。
さらに、木星という星が蟹座で、ホロスコープの一番低いところに位置しています。
この配置から思うに、
「縛られている苦しさ」と「守られている安心感」の両方を、
しおりさんは、今の状況から得ているのではないかという気がします。

あるいは、なにかもっと自分で望み、向かっていきたい場所があるのに
そこに向かうことの恐ろしさや、失敗したらどうしよう、という不安を、
「家族からの締め付け」というものの向こうに覆い隠して
「やろうとすればやれるけれども、家族という障害物があるために、できないでいる」
という状況を、受け入れてしまっているのかもしれない、と思いました。

本来、外の世界にどんどん出て、
自分の道を自分でゼロから切りひらく力を、
しおりさんは、充分以上にもっていらっしゃいます。
でも、同時に、
その心の奥に、非常に傷つきやすく誇り高い、
ガラスのような部分を秘めていらっしゃいます。
失敗すること、人から非難されること、見下されること、
今自分を守ってくれているものを捨てて傷つけられること。
しおりさんは、そうしたものへの恐れを、
心の奥に、とても大きな形で隠し持っているところがあります。

このことは、実は「幼いあり方」でもあります。
つまり、恐れを打ち破って外の世界に一人で出て行き、
自分の道を切りひらこうと必死になって格闘し、
失敗も成功も自分の手でつかみ取っていくようになれば、
こうした切ないほどの傷つきやすさは、だんだんと、
人の心への深い理解力にかわり、あるいは、
自分の力への信頼感にもなり、
さらに、最終的には、
とても多くの人々の多様性を受け入れて守ってやることのできる、
大きな、美しいお城のような力へと変わっていくのです。

おそらく、いまのしおりさんは、
お城の中で守られているお姫様の状態なのではないかと思います。
気高さや強さを秘めていても、
まだそれを試すことも鍛えることもゆるされないまま、
外に出る事が許されない鬱屈と、
外の世界への深い恐怖心とを抱え、
苛立ちながらも守られ続けている、という状態なのではないでしょうか。

誰かが連れ出しに来てくれるのを待つ
という考え方もあるかもしれません。
でも、そのまま閉じ込められているよりは、
お城を抜けだして、自分の道を闇雲に歩き出す、というのも、手です。
もちろん
「それができない理由」
は、たくさん思いつくと思います。
経済的な理由、誰かが悲しんだり心配したりするだろうということ、
誰かが許してくれないだろうということ、他にも、様々に、
「できない理由」は見つかるでしょう。
「できない理由」は、人を縛ると同時に、不確かな未来への恐れから
自分を守ってくれます。

それに守られて生きるか、守られずにリスクを負って冒険の旅に出るか。
この分岐点に、多くの人が立たされます。
しおりさんがどちらに進むのかは、私にはわからないのですが、
「犠牲者」として生きるのは、悲しすぎるような気もします。

しおりさんの人生は、犠牲者となるか、救済者となるか、
ということなのではないかとおもいます。
誰かの意図の犠牲になるか、誰かを救うための旅に出るか。
未だお若いですが、もう十分に大人でいらっしゃいます。
どうか、自分の人生を自分のものとして生きていただきたいなとおもいました。

これは余談ですが、
ディズニー映画の「塔の上のラプンツェル」という作品があるのですが、
もしよかったら、ご覧になってみては、と思います。

石井ゆかり