変なスイッチが入る瞬間【少年アヤちゃんの駆け込み沼】第8回

テーマ⑧　「変なスイッチが入る瞬間」

今回のテーマは「変なスイッチが入る瞬間」ということで、案の定おかしなお便りをたくさん頂いたのですが、そんななか、うっ…と身につまされたのがこちらでした。

泣きそうになりました。ご両親からの抑圧を吹き飛ばすスイッチが、自分で働いて得たお給料であったと。そのシンボルが、ポテトチップスであったと。うう。ちょっと私の叔母の話をさせてください。
私の叔母は田舎の村社会におけるオーガニック教祖であり、着色料、添加物はノー。それはそれで結構なのですが、そのくせ料理を作らないという困った人で、子供たち（私のいとこ）は食べたいものも食べられず、食べられる機会があっても罪悪感が邪魔して食べられないという、二重の苦しみを味わっていました。

そんな叔母に転機が訪れます。それは、スピリチュアルとの出会いです。
スピリチュアルにはいろいろと流派のようなものがありますが、一貫した信念としては「ありのままを受け入れよう」というのがあり、叔母もそれにならいました。ポテトチップス＆マクドナルド解禁です。いくらでも食え、いくらでも太れと。
いとこたちは喜び勇んでコンビニへ飛び込みました。溺れるほどそれらを食べてしまおうと思いました。
しかし、です。きちんと許可が降りたというのに、覆いかぶさるような罪悪感から逃げられない。レジへと向かえない。財布が開けない。そうして結局手ぶらで帰宅し、叔母には不思議がられてしまったそうです。「どうしてなにも買わなかったの？」と。
檻の中で渇望していた自由、臨んでいた自由がいざ目の前に現れた。解放された。なのに、身体が、心がついていかなかった。いつの間にか「そういう身体」になっていた。
いとこたちは大きなショックを受けたそうです。そして、植え付けられた罪悪感は今もなお、彼女たちを縛り付けており、どうにか買うことが出来ても、結局お腹をくだしてしまったり、ストレスで体調を崩してしまう……。

この話をすると、「その程度のことで？」とか「単なるしつけでしょ？」という人が必ずいて、投稿者さんもきっとそのような思いをしていることと思います。「なんでポテトチップスばっか食ってんの？」なんて、ポテチキャラ認定してきた人もいたでしょうね。ポテチ芸なんて無茶振りをされたこともあったかもしれません。
そんななか、やっと手に入れた自由を噛み締め、もっともっと強固なものにするために、淡々とポテトチップスを買い続け、そして食べ続けた投稿者さんの意志と、少しの危なっかしさをとても尊敬します。すべての抑圧からのゴールが、投稿者さんのように清々しいものであってほしいとすら、思いました。
いとこたちのスイッチも、早く見つかるよう祈るばかりです。きっと投稿者さんと同様、経済的な自由だと思うんだけどなあ。

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