大人気ライター・石井ゆかりさんによる、女性の心に寄り添う個人占い。恋愛や人生の悩みにお答えします。
コトさん(26歳女性)
通信で大学に通っています。
どうしても自分に自信が持てず、そのくせ完璧主義の気があるのか、課題を完成させることができません。
途中で〆切に間に合わせることを諦めてしまうことが多く、卒業に人一倍時間がかかっています。
なかなか課題に手を付けられずにいた挙句、提出する前から「こんなんじゃダメだから今回はもういい」と思ってしまうのです。
評価されることに対して捨て鉢になり、逃げてしまうのです。
シナリオの勉強もしているのですが、そちらの課題すら思うようにこなせずにいる次第です。
家族や友人には「こだわり過ぎ、肩に力が入り過ぎ」と言われるのですが、どうしたら肩の力を抜いて、妥協できるようになるのでしょうか。
コトさんへ
人から「ダメだ」と言われるのは、いやなものですね。非常に辛いものです。
私自身、仕事で原稿を書き、それを編集者や読者に読んでもらうことになるわけですが、
そこで「面白くない」「意味がわからない」「抽象的すぎてどうとでもとれる」「全然当たらない」「嫌い」「鼻につく」「読むに耐えない」など、
いろいろなご批判を日々、いただいておりますので、その辛さは本当に、しみじみとわかります。
さらに、これも経験があるのですが、他人の作品を見て「自分ならこんなふうにすばらしく書けるはず」というふうに思うことがあります。
でも、実際に手を動かして形にしてみると、イメージの半分も素敵なものができません。形にした途端に陳腐だったりありふれていたり。
「この人よりできる」と思ったその相手の作品のほうが、ずっと優れていることに気づかされたりします。
で、やるのが嫌になってやめてしまうけれど、「自分ならこんなふうにできるはず」というイメージのほうだけは相変わらず膨らんでいったりして、
現実とイメージの中の自分がどんどん乖離して行ってしまう、ということがたしかにあります。
こうなると、本当に辛いものです。
コトさんのホロスコープを見ると、太陽と月と水星が牡牛座にあり、創造性に溢れた方であることが示されています。
金星は双子座にあって、言葉を愛する方でいらっしゃると思います。
ですが、その一方で「動きを起こす」スピードがなかなか、出てこないところがあるかもしれません。
軌道に乗れば誰よりも粘り強く続けていくことができるのですが、その『軌道に乗せる」までが難しいのかもしれませんね。
太陽は火星と木星と角度を作っており、コトさんが素晴らしい才能とパワーに恵まれた方であることが示されています。
ただ、この形は同時に、コトさんが非常に誇り高く、激しいほどの負けず嫌いで、「力」を求める方であることをも示しています。
木星は楽天的で広がりのある豊かな心や「幸運」を象徴する星なのですが、同時に「高慢」「怠惰」など、自分への甘さをも生み出してしまう星でもあります。
さらに、土星という星があるのですが、この星がコトさんのホロスコープでは、他の星と目立った角度を作っていません。
いわゆる「ノーアスペクト」の形になっています。
土星は、一般には「宿命」「制限」「冷却」「不運」などを象徴すると言われますが、
この星は実は、外の世界=社会と相対していく上での、非常に大きな手掛かりとなる星です。
家の外にいる人々、権威や権力を持った人々と関わり、更に、自分も社会的な力を得ていく上で欠かせないのが、この土星の機能です。
この土星が他の星とアスペクトを作らない場合、「自分への厳しさ」を持ちにくい傾向があると言われます。
自分で自分に厳しくできないのです。外の世界の厳しさに自分を晒すことが、なんとなく「できにくい」傾向がある、と考えることができます。
もちろん、土星が「ない」わけではないので、意識的に土星的な動きを自分に課すことはできると思います。
むしろ、意識的にそのスイッチを入れることが大切なのだと思います。
おそらく、コトさんは「現実の自分を受け入れる」ことが怖ろしいのかもしれないなと思いました。
現実の自分は、イメージしている自分とは、だいぶ違っています。
自分が書いたものが、イメージした完璧なものではないために「これではダメだ」と思ってしまうのだと思うのですが、やはり「自分が書いたもの」こそが「現実の自分」です。
「現実の自分」を受け入れて、そこから始めるのでないと、いつまで経っても歩き始めることができません。
コトさんは評価から逃げているというよりは、現実の自分を受け入れることから逃げている、ということなのだろうなと思うのです。
もし、コトさんが現実の自分を受け入れて、そこから歩き始めたなら、きっと、歩いて行った先で、心から納得できる、素晴らしい成果をおさめることができると思います。
「こんなはずじゃない」「もっといいものが出せるはず」という思いを一度、棚に上げて、手を動かして作り出して、それを外の世界に出す、ということが、
コトさんの土星にスイッチを入れることになると思います。
更に言えば、コトさんの作り出したものは、コトさん「自身」ではありません。
評価や批判を、何でも自分自身全体のことだと思ってしまうと、常に傷ついていなくてはなりません。
でも、コトさん全体を批判することなど、世界中の誰にもできないのです。
コトさんが作品や課題について批判されても、それはコトさんという人のうちのほんの、わずかな一部でしかなく、
更に言えば、コトさんの人生の、小さなかけらでしかありません。
私の知っているある人は、いつもこんなふうに言います。
「大きくなったらこんな仕事をしたい」と夢見て、そんなふうに夢を見たままで、もう60歳になってしまった、と。
彼女の夢は、ひとつも、着手されることすらありませんでした。
「私ならもっとうまくできるはず」のままで、人は、いくらでも歳を取ってしまうことができるのです。これは大変こわいことです。
「いつか踏み出せるはずの一歩」が「いつまでも踏み出せないままの一歩」に終わる可能性は、決して低くありません。そういう人も、とてもたくさんいます。
せっかく、素晴らしい才能に恵まれ、進もうとしている道があるのですから、傷つくことを怖れて現実の中に身を投じないのは、実にもったいないことです。
ある人がこんなことを言っていました。「0点でもいいから期日の前に出せ。
期日の後に出したのでは、100点でも意味がない」この「100点でも意味がない」というのは、課題を受けとる側にとって「意味がない」のではなく、
ほかでもないコトさん自身にとって「意味がない」ということです。
コトさんが勇気を持って自分の現実を受け止め、夢を叶えられることを心からお祈りしています!
石井ゆかり
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