恋愛、仕事、女としての自分をこじらせ、人生に行き詰まっては占いに駆け込む生活を続けてはや五年。自伝的エッセイ『女子をこじらせて』が話題の雨宮まみが、女子と占いの「ほど良い付き合い方」を考えます!
5月のゴールデンウィーク、私のところに学生時代のバイト仲間から連絡が入りました。
「連休、夫が子供たちを連れて実家に帰省するから、数年ぶりに夜飲みに行けるよ!」
既婚で二児の母である彼女は、普段は夜一人で出かけることなど、まずないそうです。これは絶対に飲みに行かねば!と万難を排し、同窓会的に当時のバイト仲間で飲み会をすることになりました。
彼女以外は全員未婚ということもあり、せっかくの機会だからと「結婚を決めたきっかけって何だったの?」「旦那さんに対して、不満を感じたりして嫌になることはないの?」などと、私は結婚に関する疑問をビール半分も飲まないうちから彼女にぶつけていたのですが、それに対する彼女の答えが、もう、なんか、素晴らしかったんです。
結婚を決めたきっかけは、それまで普通にお付き合いしていたんだけど、ある出来事をきっかけに、お互い本当にどう思ってるか真剣に話し合ったことから結婚を意識した、旦那さんに腹が立つこともあるけど、旦那さんだって私に対して、腹が立つこといっぱいあると思う、それを我慢して許してくれてるんだなって思うと、それぐらいで嫌いになったりはしない……。
この世にこんな優しい女性がいるのか、そしてこんな理想の結婚生活があるのかと、憧れのまなざしと白目が入り交じった状態で「でも、どうしたらそんな相手に出会えるんだろうね……」「出雲と伊勢、はしごする?」とスピに逃げを打ちそうになる私達に、彼女がこう言ってくれました。
「京都の鈴虫寺がいいと思うよ。私、そこに行ったときに『いい人にめぐり会えますように』ってお願いして、そのあと今の旦那さんに出会ったから……」。
全員の目が輝き、「そうだ京都行こう」状態になったとき、彼女がさらにこんなことを言ったのです。
「ほんとご利益あると思うよ!私、お参りしてから、家に帰ってからも毎日鈴虫寺の方角に祈ってたんだけど、それで本当に出会えたんだし!」
……衝撃を受けました。今までさんざん、パワーストーンだパワースポットだと騒いできたくせに、私は一度も「参拝したお寺や神社の方角に祈る」なんて、考えたこともなかったからです。私に足りないものは、ご利益ではなく、何かを信じるピュアな心なのでは……?そんな疑問がグルグルと頭の中を駆け巡りました。
その後、別の友人から、こんなメールが届きました。
「部屋に飾ると結婚できるという、エケコ人形(ペルーのおじさんの形の人形)を買ったのですが、人からプレゼントされるとさらにご利益が増すと聞いたので、まみさんの分も買ってしまいました。よかったらもらってください。でも、変な人形なので、お嫌いでしたら遠慮なく言ってください!」
プレゼントされたほうがご利益が増すのに、自分の分は自分で買って、なおかつ私にプレゼントしてくれるなんて……。彼女もまた、「何かを信じるピュアな心」の持ち主なのだと感じ入るものがあり、私はこのエケコ人形を喜んでもらい受けました。この人形、火曜日と金曜日にタバコをくわえさせないといけないという決まりがあり、正直「できる自信がない」(ずぼらなもので……)と思っていたのですが、ご利益がどうかよりもまず、ピュアに良縁を信じる心が大事なのだと肝に命じて、現在ちゃんとタバコをくわえさせ、その度に一応、手を合わせて良縁にめぐり会えるよう祈っております。どうかエケコのおっさんが良縁を授けてくれますように……。
我が家のエケコ人形
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