12月4日は射手座新月です。今回の新月は皆既日食になります。日食は、地球から見ると月が太陽を覆い隠すように通過する現象です。地上世界から太陽が突然消滅し、その後、光の回復と共に太陽があらわれる現象をいにしえの人々は「天の異変」とおそれ、神話という形で象徴的に語り継いできました。占星術では太陽を「(人生の主人公である)私」になぞらえます。
そして太陽が復活する日食現象を、「これまでの私」が滅んで「新しい私」がよみがえるプロセスと読み解きます。このように占星術における日食とは「天地(あめつち)と共に私が新しく生まれ変わる」タイミングと言えるのです。さらに今回は射手座で日食が起こりますから、この「生まれ変わり」によって私たちの生き方やまなざしが「スケールアップ」すると読み解けるでしょう。
日食図を見てみましょう。射手座新月(射手座太陽と射手座月が重なり合っている配置)に射手座水星が重なっています。これら3天体と水瓶座土星は共働関係にあり、牡牛座天王星とはマイナーな配置を作っています。
この星回りを見たとき、私はユングの「自己実現の過程」を思い出しました。ユングは「本来の自分になっていくこと」「真の自己に限りなく近づいていくこと」を「自己実現の過程」と言い、これこそが人が人として生きる目的であるとしました。今回の射手座新月をめぐる星回りは「自己本質に近づいていく」「本当の自分になっていくという意味での自己実現」と読み解けるように思います。「本当の自分を知りたい」「本来の自分として生きたい」と思いつつ、「本当の自分がよく分からない」と感じている人は多いと思います。もしかしたらこの時期、「本当の自分」「本当の自分になっていくという生き方」にまつわる新たな発見や学びなどがもたらされ、そういう形での「生まれ変わり」がなされるかもしれません。
蠍座火星が魚座海王星、山羊座金星、山羊座冥王星と小さな三角形を形成しています。水瓶座木星は蠍座火星にお節介を焼いているような星回りです。誰かや何かにハマり、熱くのめり込んでいくようなイメージです。ちまたでは「推し」活も流行っていますね。もしかしたらこの時期、あなたにとっての「推し」と出会い、それ以来毎日が大きく変わっていくのかもしれません。
今回の射手座新月の影響を強く受けるのは双子座、乙女座、射手座、魚座です。ある印象深い出来事を通じて「未知の自分」「見知らぬこと」に出会っていくとき。定石から外れたことを敢えてやってみるなど、良い意味で行き当たりばったりな行動をしてみては。やりながら考えるのも良さそうです。そうやって自らこしらえていた枠から外れてみるとたいそう気分が良く、「いつの間にか小さくまとまろうとしていた私」に気づくかも。
牡羊座、蟹座、天秤座、山羊座は「高い志を持つ」というテーマがもたらされるでしょう。あなたのまなざしを少し上げるだけで、心構えだけでなく現状も様変わりすると思われます。今のあなたが怠けているわけではないのですが、本当は今よりももっと上を目指せるはずです。あなたはそのことを知らなかっただけなのでは。この時期誰かや、ある出来事がそんな風に教えてくれるのかもしれません。
牡牛座、獅子座、蠍座、水瓶座は、あなたのまなざしを通じて外の現実も変化していくとき。今のあなたは水が半分入ったコップを「水が半分しかない」と見ているのかも。仮に「半分もある」と見たならどうなるでしょうか?今、あなたの潜在的な何かは自ら見出すことによって効力が生じるようです。「宝の持ち腐れ」という言葉がありますが、今のあなたは自分が思っている以上のものを有していると思います。
次回は、12月19日 双子座満月 (12月18日更新)
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