ここは、みなさんの頭の中にあるタロット美術館。
重厚な扉を開け、長い回廊を進むと…、数々のタロットが時空を超えて目の前に現れます。
占星術・タロットの日本における第一人者である鏡リュウジ先生と元美大生でご自身でもタロットカードリーディングをされる女優の鈴木砂羽さん。おふたりが、さまざまなタロットカードを挟んで、10回にわたりその絵柄の中に眠る物語を紐解いていきます!
◎出演者紹介

鈴木砂羽
女優として数多くの作品に出演。その傍ら「さわにゃんこ」名義でタロットリーディングを楽しむ日々。

鏡リュウジ
幅広いメディアで活躍し、タロットカードの監修や関連書籍の翻訳・執筆も数多く手掛ける。
猫とタロットの不思議な関係とは…
前回は、『アクエリアンタロット』のポップなデザインに、砂羽さん、大興奮!
その『アクエリアンタロット』が発刊された1970年代以降に生まれたさまざまなタロットが、これ以降、次々に登場します!
今回、鏡先生と砂羽さんの手元にあるのは、ココロニプロロでも過去に幾度かご紹介している「白猫タロット」それから、猫モチーフのカードも並んでいます。
砂羽さんと猫とタロットと
タロットの歴史について語ってきたおふたりですが、ここで、砂羽さん愛用のタロットが話題に…。
鏡先生:そういえば、砂羽さんもご自分のカードを持っていらっしゃるんですって?
砂羽さん:はい。こういう猫のカードを…。
鏡先生:すごく素敵ですね。あ、けっこう使い込んでいますね。
砂羽さん:そうですね。このカードを使うようになってから、すごくタロットが楽しくなって。
鏡先生:猫のカードって、タロットの中で一大ジャンルになっていますよね。
砂羽さん:確かによく見かけますね。私のは白猫だけど、他にも、黒猫とか、いろいろなタイプの猫を集めたものとか…様々な種類のカードが作られているイメージです。
鏡先生:それなのに、猫に対して犬のタロットって、ほとんどない。僕の知ってるのはひとつだけかな! ところで砂羽さんは、猫は飼っているんですか?
砂羽さん:はい。2匹飼っています。そのおかげか、カードに対する親近感が高まりますし、インスピレーションも湧きやすいなって思います。
鏡先生:タロットを使っていると、猫が寄ってきませんか?
砂羽さん:すごく寄ってきます!「俺のほうを見てくれ」ってアピールするみたいに。それで、タロットに集中しようとすると、怒るんです。
鏡先生:もしかしたら猫はサイキックだから、そういうことが起こるんですよね。笑。
***ちょっと寄り道***
タロットの一大ジャンルになっている猫モチーフ。
猫は、予知能力を持つとも言われていますよね。猫に神秘性を感じるのは、私たち現代人だけではないようです。特に、古代エジプトでは、猫をとても大切にしていたんだそう。
宝物や神の象徴として扱われて、なんと、国外への持ち出しは一切禁止! また、死んだ猫はミイラにして手厚く葬られていたのだとか。しかも、「食料に困らないように」とネズミのミイラと一緒に!
昔から猫は人間にとってミステリアスな存在だったんですね。だからこそ、タロットのモチーフとして、数多く取り入れられているのかもしれません。
猫の肉球をモチーフとしたタロットカード。かわいらしい雰囲気に癒されそうです。

猫の視点をテーマに描かれた、猫が主役のタロット。猫の日常を切り取ったような絵柄が猫好きにはたまらないかも。

その名の通り、人間と猫の姿がファンタジックに描かれたタロットカード。

20世紀後半の新たな展開とは…
タロットとオカルトが結び付いて、1枚1枚のカードが深い意味を持つようになったのは、19世紀末頃からだった――第4回でそうご紹介しました。
そこから少し時が進み1970年代には、さらに新たな展開が生まれたようです…。
鏡先生:それまでのカードの解釈って、けっこう難しかったんです。オカルト的な世界観をベースにしていたので、一般の人たちにはちょっと使いづらいものでもありました。それで、「もっとわかりやすくして、絵だけ見て占えるようにしようよ」っていう流れが出てきたんです。
砂羽さん:優しいですね!
鏡先生:そうでしょ? そのときに生まれた意味が、今のタロット占いで使われているベースになっています。
砂羽さん:へぇ、そういう流れの中で、今、私たちがわかりやすく意味を感じ取れるようになったということですか。
鏡先生:はい。それで、その教科書になるものを書いたのがイーデン・グレイという方です。彼女が、カードの絵からかなり自由に解釈を引き出したんですね。
砂羽さん:うんうん。
鏡先生:そこから、「絵だけを見て、インスピレーションで読めばいいよね」っていう流れが生まれたんです。
砂羽さん:ほぉ!なるほど!
鏡先生:そして、1980年代に入ると、ユング派の心理学を中心として、より自由にイメージを広げていく流れが生まれました。それで今のような、占いでもあり、自分と向き合うツールでもある…という使い方をされるようになったんです。
砂羽さん:長い歴史の中で、すごくいろいろな要素が複雑に関連しあい、影響しあって、タロットの意味は生まれているんですね。
誰でも簡単にリーディングを楽しんだり、心理学的な視点を通して自分を見つめ直すことに使ったり…。20世紀後半と言うと、つい最近のことですが、私たちがよく知るタロットが生まれるまでに、こんな変遷があったとは驚きですね。
次回は、自由な発想がグンと広まった、1980年代に生まれたタロットについて、おふたりが語り合います!
株式会社ヴィジョナリー・カンパニー
今回、鈴木砂羽さんと鏡リュウジ先生のおふたりにお話を伺ったのは、タロットやオラクルカードの出版・輸入販売を行う会社、ヴィジョナリー・カンパニーの事務所の一室です。様々なカードが壁一面に並ぶステキな空間からおふたりのトークを届けします。
この記事を読んで自分だけのタロットを探したくなった方は、こちらから↓
※次回もお楽しみに(日曜更新)

鈴木砂羽
女優。1994年映画『愛の新世界』で主演デビュー。同年、ブルーリボン新人賞やキネマ旬報新人賞など受賞。以後も、ドラマ、映画、舞台以外にもバラエティー、マンガの執筆など意外と幅広いジャンルで活躍中。さらに、プライベートでタロットリーディングをするなど占い好きな一面も。
■Twitter:@bom_schedule
■YouTube:砂羽ラボ。

鏡リュウジ
雑誌、テレビ、ラジオなど幅広いメディアで活躍し、絶大な人気を誇る心理占星術研究の第一人者。占星術、占いに対しての心理学的アプローチを日本に紹介し、従来の「占い」のイメージを一新した。英国占星術協会会員、日本トランスパーソナル学会理事、平安女学院大学客員教授、京都文教大学客員教授など多方面で活動中。
■Twitter:@Kagami_Ryuji
■公式サイト