進歩や革命のシンボル! “水瓶座”のタロットとは…【鈴木砂羽&鏡リュウジ タロット美術館】第5回

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鈴木砂羽&鏡リュウジのタロット美術館

ここは、みなさんの頭の中にあるタロット美術館。
重厚な扉を開け、長い回廊を進むと…、数々のタロットが時空を超えて目の前に現れます。

占星術・タロットの日本における第一人者である鏡リュウジ先生と元美大生でご自身でもタロットカードリーディングをされる女優の鈴木砂羽さん。おふたりが、さまざまなタロットカードを挟んで、10回にわたりその絵柄の中に眠る物語を紐解いていきます!


◎出演者紹介

鈴木砂羽

女優として数多くの作品に出演。その傍ら「さわにゃんこ」名義でタロットリーディングを楽しむ日々。

鏡リュウジ

幅広いメディアで活躍し、タロットカードの監修や関連書籍の翻訳・執筆も数多く手掛ける。

タロット美術館 第5回

1970年代、カウンターカルチャーとしてのタロット

前回は、19世紀の話。タロットと占いが結び付くきっかけとなった魔術結社やオカルト主義についてお話ししました。
今回は、1970年代まで時代が進みます!さて、この時代、タロットはどんな変化を遂げるのでしょう?
今回、鏡先生と砂羽さんの手元にあるのは、1970年に発刊された「アクエリアンタロット」。

鈴木砂羽&鏡リュウジ_タロット美術館_画像5_1

ビートルズも?アーティストに好かれたタロット

鏡先生:ところで砂羽さんは、タロットではなくオラクルカードには興味を持たなかったんですか? 女優さんとかモデルさんって、タロットよりオラクルカードを好む人も多いですよね?

砂羽さん:オラクルカードは直感的にカードを引いて読みやすいですからね。でも、やっぱり私はタロットが好きです。スプレッドで読み解くことに惹かれるんですよね。

鏡先生:それは、すばらしい。

砂羽さん:それから、今回、先生のお話を聞いていて、やはり深い歴史を感じるから好きなんだなって気づかされました。タロットが物語っている歴史を、現代に合わせて読むにはどうしたらいいのかな…って考えたりしちゃいました。

鈴木砂羽&鏡リュウジ_タロット美術館_画像5_4

鏡先生:最初、女優である砂羽さんが、タロットに興味を持つのをちょっと不思議だなって思ったりもしたんです。でも、少し前の時代にさかのぼれば、1970年代あたりは、アーティストたちがタロットを広めるけん引役になっていたってことを思い出しました。

砂羽さん:そうなんですね。

鏡先生:たとえば、ビートルズはタロットが大好きでしたし、それから、レッド・ツェッペリンの『天国への階段』のアルバムを開けたら、タロットの“隠者”の絵が描かれていたり…とか。ロックな人たちこそ、実はタロットに親しんでいたんですね。

砂羽さん:タロットって、啓示的な雰囲気があるから、憧れるのかもしれませんね。

鏡先生:そうですね。あとは、1970年代には、タロットはカウンターカルチャー的だったんですよ。それまで主流とされてきた考え方に対して、新しい価値観を吹き込むためのシンボルのひとつに、占いがありました。その流れは当時、演劇やミュージカル界の人たちにも広がって、寺山修司さんなんかもタロットを作っていましたね。

砂羽さん:それ、私、見たことあります!

鏡先生:そういう感性の高い人たちが、タロットに惹かれていったんですね。1980年代に入ると、パルコでタロット展が開かれたりして、消費文化とも結び付き、一般的にも広まっていきました。

“水瓶座の時代”にまつわるタロット!?

ビートルズや寺山修司もタロットの影響を受けていた1970年代のカードのひとつとして、鏡先生が紹介してくださったのが、アクエリアンタロット。

鈴木砂羽&鏡リュウジ_タロット美術館_画像5_2

鏡先生:『アクエリアンタロット』は、デビット・パラディーニという、当時ものすごく人気のあったイラストレーターが作ったタロットです。

砂羽さん:アクエリアンってことはつまり、「水瓶座」と関係があるとか?

鏡先生:そうです。アクエリアスという言葉は、当時、新しい文化を担う若者の旗印だったんですね。たとえば、全編ロックなミュージカル『ヘアー』の中に「輝く星座」という曲があったりしました。「水瓶座の時代がやってくる」という内容の歌詞でしたね。

砂羽さん:80年代に入ってからですけど、「アクエリアス」っていうスポーツドリンクも出ましたよね。あれは、衝撃的でした。

鏡先生:あはは、あれはあんまり関係ないと思うけど、ユーミンも、「78」という曲を作っていて、それはタロットカードの枚数なんですよ。

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「アクエリアンタロット」のアクエリアンとは、「水瓶座の時代(Age of Aquarius)」をもとにしていると言われています。水瓶座は、革命や進歩の象徴でもありますから、まさに、「新しい価値観として生まれたタロット」なんですね。

ポップでかっこいい絵柄!

砂羽さん:それにしても、この「アクエリアンタロット」、かっこいいですね。私、これ欲しいなぁ。

鏡先生:そうでしょ?

砂羽さん:絵の描き方がかっこいいですし、色使いもポップで大好きです。でも、タロット本来の意味はしっかりと残しながら描かれていて、本当に素敵ですね。

鏡先生:うんうん。

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砂羽さん:作家さんの感性で、タロット本来の意味とは全然関係ない絵柄が描かれているタロットもたくさんあるじゃないですか? そうなると、占いをするときに読みづらいなって思います。

鏡先生:確かに。このアクエリアンタロットは、タロットの基本である「ウエイト=スミス版」にのっとって作られているから、読みやすいのかもしれませんね。

◎小アルカナ 剣の3 を比べてみると…

第4回でもご紹介した「小アルカナ 剣の3」のカード。ウエイト=スミス版タロットと並べてみると、デザインの共通点がよくわかります。

小アルカナ 剣の3
左:アクエリアンタロット
右:ウエイト=スミス版タロット

鈴木砂羽&鏡リュウジ_タロット美術館_画像5_3

タロットに描かれる絵の雰囲気も、時代の流れの中で大きく変化していますね。
次回、1970年代以降に生まれたタロットを、まだまだご紹介します!


<タロットカード提供>
株式会社ヴィジョナリー・カンパニー

今回、鈴木砂羽さんと鏡リュウジ先生のおふたりにお話を伺ったのは、タロットやオラクルカードの出版・輸入販売を行う会社、ヴィジョナリー・カンパニーの事務所の一室です。様々なカードが壁一面に並ぶステキな空間からおふたりのトークを届けします。

この記事を読んで自分だけのタロットを探したくなった方は、こちらから↓


※次回もお楽しみに(日曜更新)

鈴木砂羽

女優。1994年映画『愛の新世界』で主演デビュー。同年、ブルーリボン新人賞やキネマ旬報新人賞など受賞。以後も、ドラマ、映画、舞台以外にもバラエティー、マンガの執筆など意外と幅広いジャンルで活躍中。さらに、プライベートでタロットリーディングをするなど占い好きな一面も。

■Twitter:@bom_schedule
■YouTube:砂羽ラボ。

鏡リュウジ

雑誌、テレビ、ラジオなど幅広いメディアで活躍し、絶大な人気を誇る心理占星術研究の第一人者。占星術、占いに対しての心理学的アプローチを日本に紹介し、従来の「占い」のイメージを一新した。英国占星術協会会員、日本トランスパーソナル学会理事、平安女学院大学客員教授、京都文教大学客員教授など多方面で活動中。

■Twitter:@Kagami_Ryuji
公式サイト

ライタープロフィール

はづき
パワースポット大国のニュージーランドを活動の拠点として占い師・占い関連のライターとして活躍中。 「言葉が優しく情緒的で力強い」と定評があり、チャット占いChapli(チャプリ)では恋愛にまつわる相談を中心に全国の相談者から支持されている。
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