大人気のライター・石井ゆかりさんによる連載コラム「石井ゆかりの幸福論」が11月から連載再開! 占いを通して、数々の人生や幸せのあり方を見つめてきた石井さん自身の言葉で紡がれる「幸福論」をお楽しみください。
今回は、第7のテーマ「パートナーシップ」と幸福。(前編)をお届けします。
6.自分の心身に必要なこと、必要とされること。(後編)はこちら >>
「私は結婚できますか」。
占いの場で、もっともよく投げかけられる問いです。
更に言えば、このバリエーションほんとうに多岐にわたります。
「いつ結婚できますか」「あの人と結婚できますか」は当然ながら、最近はそれ以上に、こんな問いかけが目立ちます。
「私は結婚に向いていないのですが、結婚すべきなのでしょうか」
「私は結婚とは縁がありませんし、諦めていますが、このまま仕事で生きていくだけなのでしょうか」
「恋愛をしたいとは思わないのですが、この先、一人なのも寂しい気がします」
「結婚や恋愛に全く興味が持てません、これは問題がありますか」
これらはみんな、結婚やパートナーシップと「自分」とのあいだに、ある距離を置いた問いかけです。
特に「私は結婚に向いていない」「興味が持てない」という問いかけは、意味深です。
というのも、もし本当に結婚に向いていなくて興味がないなら、なぜその「占いへの問いかけ」がなされたのでしょうか。
もちろん、「周囲から結婚を勧められるが興味が持てない、どうしたらよいか?」という悩みもあるでしょう。
でも、この悩みは、決して「周囲を黙らせるにはどうすればよいか」ではないのです。
「周囲がこんなに言うのに、自分が結婚に興味を持たないのは、自分が間違っているのだろうか」という悩みになってしまうのです。
世の中には生まれつき、恋愛感情を持たない人もいます。
また、恋の感情はあっても、傷つくことを恐れて誰も愛そうとしない人もいます。その判断を責めることは、誰にもできません。
一方、世の中には「恋愛感情」以外のもので結びついているパートナーシップもたくさんあります。
たとえば、子供を持つために結婚する、子供を育てるためにパートナーシップを維持している、という人は、たくさんいます。
「恋愛をしていなければ結婚できない」という風潮は、歴史的に見れば、ごく最近のものです。むしろ一昔前は、お見合い結婚が「ふつう」でした。恋愛して結婚をすることは、ちょっと「変わったこと」だったのです。
一昔前の「夫婦」は、恋愛感情ではないもので結びつくことが前提でした。それは、信頼や尊敬、そして、生活を営む上での役割分担の了承、さらに「家業」や「家」を運営し継承していくという責任感、現代で言えばビジネスパートナー的な感覚も強かったはずです。
自分とぴったり合った人間、一緒にいて限りなく楽しい人間、自分を全面的に肯定し、味方になってくれる人間。決して自分の邪魔をせず、迷惑もかけず、いつでも受け入れてくれる人間。その人の周りの人間関係が自分を傷つけず、経済的にも負担をかけてこない人間、そしてなにより、自分も好意を持てる人間。
もしそんな完全な相手がいたなら、ほとんどの人が「一緒に暮らしてみたい」「一人でいるよりずっといい」と思うのではないかと思います。
もちろん、現実問題、そううまくはいきません。「好き」と思う気持ちさえ、時間が経てば変わってしまうのが人間です。好きで結婚したはずなのに、いつのまにか長いことパートナーを毛嫌いして生きている人もいるほどです。
「恋愛感情」はたいてい、4年程度で消えてしまうものだ、と言われています。
「パートナー」という言葉自体が何を表しているのか、それは人によって、千差万別です。
「恋愛をして結婚をする」ということと、「人生を共に生きるパートナーを得る」ということは、部分集合的にしか重ならないのではないか、という気がします。
結婚という形をとらずにパートナーシップを結ぶ人たちも、最近は増えているようです。また、結婚していても一緒には暮らさない、というカップルもあります。
一人で生きることは古来、決しておかしなことでも、めずらしいことでもありません。
さらに、「性」は2つだけではない、ということは、昨今常識として浸透しつつあります。
こう考えていくと、「パートナーを得る」「パートナーと生きる」ということは、世の中の「結婚」という形式に自分を当てはめていくようなこととは、大きく違うのだと思います。
世の中で一般的に言われる「結婚」という枠組みに、むりやり自分を当てはめようとする必要はないはずなのです。
親や親族が「結婚しろ」「なぜ早く結婚して子供を持たないのだ」と急かすとき、彼らは「世間的な結婚の枠組み」のイメージしか、抱いていません。
でも、その枠組みに自分をムリヤリ押し込むようなことは、おかしな話です。
「自分」は、彼らのものではないからです。
自分は自分のものだからです。
もちろん、社会的責任を思って「結婚」に身を投じる人もいるかもしれません。
それは、その人自身の価値観で、尊重されるべきです。
ただ、それを他人に強要したり、その価値観が「善」で、他は悪であると主張したりすることは、間違っているはずです。
……後編へ続きます。
>>次回もお楽しみに(2020年12月25日更新)
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