手のひらサイズのアート…タロットの秘密に迫る!【鈴木砂羽&鏡リュウジ タロット美術館】第1回

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鈴木砂羽&鏡リュウジのタロット美術館
(※2020年11月8日 11:45 公開記事)

ここは、みなさんの頭の中にあるタロット美術館。
重厚な扉を開け、長い回廊を進むと…、数々のタロットが時空を超えて目の前に現れます。

占星術・タロットの日本における第一人者である鏡リュウジ先生と元美大生でご自身でもタロットカードリーディングをされる女優の鈴木砂羽さん。おふたりが、さまざまなタロットカードを挟んで、10回にわたりその絵柄の中に眠る物語を紐解いていきます!


◎出演者紹介

鈴木砂羽

女優として数多くの作品に出演。その傍ら「さわにゃんこ」名義でタロットリーディングを楽しむ日々。

鏡リュウジ

幅広いメディアで活躍し、絶大な人気を誇る心理占星術研究の第一人者。タロットカードの監修や関連書籍の翻訳・執筆も数多く手掛ける。

タロット美術館 第1回

実は奥深い! アートや文化としてのタロットの魅力

鏡先生・砂羽さん:10年近く前、雑誌の「鏡リュウジと美しき12星座の女たち」という企画でお会いしましたね!

鏡先生:その時は、あまりタロットの話はしませんでしたけど、タロットは昔からされるんですか?

砂羽さん:はい、昔から好きです。でも、先生と初めてお会いしたときは、まだそこまで夢中になっていませんでした。自分のカードは持っていたけど、大アルカナをちょっと覚えるくらいが精一杯で…。ここ3~4年くらいで、タロットへの興味が深くなってきたんです。

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***ちょっと解説***
タロットは、78枚のカードで構成されています。
砂羽さんが話していた「大アルカナ」は、“愚者” “運命の輪” “世界”などの名前がついている22枚のカード。タロットカードを学ぶとき、その入り口となる22枚です。

このほかの56枚は、“ワンド” “カップ” “ソード” “ペンタクル”の4種類に分かれていて、それぞれ、エース、2、3、4、5、6、7、8、9、10、ペイジ、ナイト、クイーン、キングの14枚ずつ。この56枚を「小アルカナ」と呼びます。

現在では、78枚すべてのカードに深くて詳細な意味があり、絵柄や背景がその意味を物語る役割も果たしています。しかし、78枚という構成とそれぞれの絵柄や意味ができるまでには、長い長い物語があったようで…。それはこれから、最終回までに、だんだんと明らかにしていきます!

タロットは、いつ日本にやって来た?

ここ何年かでタロットへの興味が深まったという砂羽さんを前にして、鏡先生がまず手に取ったのは、日本のタロットカード。

『タロット占いの秘密』という書籍とセットになっているタロットです。

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鏡先生:日本に、"妖しい"文化としてタロットが本格的に紹介されたのが、1960年代なんです。「妖しい」と言っても、疑似科学的、自己啓発的なスピリチュアルとはだいぶ違います。澁澤龍彦や種村季弘といった文学者がディレッタントな欧州文化の一つとして紹介していましたし、寺山修司もタロットに注目していました。

欧米ではカウンターカルチャーを標榜するロックミュージシャンがタロットに心酔していました。レッド・ツェッペリンがアルバムジャケットにタロットを使ったり、あのビートルズだって東洋思想と同じような感覚でタロットに関心を示していたりしたんですよね。

大人の消費社会に対して反骨を示す、「カッコイイ」文化としてのタロットがもう少しカジュアルになって日本に伝わりました。こんなふうにカード付きの本が販売され始めたのは1970年代。そして、1974年に発売された、この『タロット占いの秘密』という書籍が、記録的にヒットしたんです。数年前に版元さんに聞いたら、少なくとも80万部くらいは売れたんじゃないかとおっしゃっていました。

砂羽さん:80万部!! その数字にも驚きますけど、このカード、絵柄もいいですよね。線画だけなんですけど、シンプルに描かれていて、とてもわかりやすい絵柄ですね。複雑にいろいろと描き込まれていたり、カラフルだったりするよりも、むしろインスピレーションを得やすいタロットなんじゃないかなって思います。

鏡先生:こちらの書籍の著者である辛島宣夫さんは、画家としても活動しておられましたからアート的な活動の一環でもあったんでしょうね。そのセンスもあって一般の人たちに広がっていく入口になったんですよ。

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日本に最初にタロットが伝わったのは、なんと、もう半世紀以上も前のこと! 日本国内だけでも、長い歴史をもっています。
異端の匂いのする “妖しい文化”として入ってきたタロットですが、カードに描かれる絵は、当時のアーティストたちの感性を刺激したんですね。タロットの一般化を後押しをしたのがアーティストだったとは、意外です!

絵本作家が描くタロットカード

最初のタロットカードの大ヒットからおよそ40年を経て、21世紀へ。2003年には、こんなタロットカードが発売されています。

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鏡先生:こちらの『はじめてのタロット』は、あの荒井良二さんが作画してくださっています。荒井さんは、世界的な絵本作家で、2005年には児童文学界のノーベル賞とも言われるアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞されているんですよ。

砂羽さん:へぇ。これなら、子どもたちも喜んで見たくなりそうだし、タロットに怖いイメージを抱いている大人も手に取りやすいですね。

鏡先生:実は、荒井さんとはご縁があって。昔、雑誌の『Olive』に別のペンネームで占いを書いていたんですが、そのときに挿絵を担当してくださったのが荒井さんなんです。

砂羽さん:私、オリーブ少女(※)でした! 当時の記憶はちょっと薄いですが…、このタロットの絵柄はオリーブ少女にも親しまれていたタッチなんですね。

『タロット占いの秘密』と『はじめてのタロット』カードの画風はまるで違います。

『タロット占いの秘密』のカードは、白と黒のモノトーン。古代エジプトの壁画を彷彿とさせるようなタッチで、眺めていると、なんだか神妙な心持ちに…。
一方『はじめてのタロット』のカードは、カラフルな水彩画。描かれている人物の表情も豊かです。見ているうちに、ほっと心が温まったり、なんだかウキウキしてきたりします。

タロットカードは時代と共に日本の国内だけでもこんなに大きく変化しているんですね。
ここからは、日本を飛び出し、ワールドワイドにタロットを解説していきますので、お楽しみに!

※オリーブ少女:雑誌『オリーブ』を愛読者で、「ガーリー」と呼ばれる、新しいタイプの都会的なファッションやライフスタイルにこだわる女性のこと。



<タロットカード提供>
株式会社ヴィジョナリー・カンパニー

今回、鈴木砂羽さんと鏡リュウジ先生のおふたりにお話を伺ったのは、タロットやオラクルカードの出版・輸入販売を行う会社、ヴィジョナリー・カンパニーの事務所の一室です。様々なカードが壁一面に並ぶステキな空間からおふたりのトークを届けします。

この記事を読んで自分だけのタロットを探したくなった方は、こちらから↓


鈴木砂羽

女優。1994年映画『愛の新世界』で主演デビュー。同年、ブルーリボン新人賞やキネマ旬報新人賞など受賞。以後も、ドラマ、映画、舞台以外にもバラエティー、マンガの執筆など意外と幅広いジャンルで活躍中。さらに、プライベートでタロットリーディングをするなど占い好きな一面も。

■Twitter:@bom_schedule
■YouTube:砂羽ラボ。

鏡リュウジ

雑誌、テレビ、ラジオなど幅広いメディアで活躍し、絶大な人気を誇る心理占星術研究の第一人者。占星術、占いに対しての心理学的アプローチを日本に紹介し、従来の「占い」のイメージを一新した。英国占星術協会会員、日本トランスパーソナル学会理事、平安女学院大学客員教授、京都文教大学客員教授など多方面で活動中。

■Twitter:@Kagami_Ryuji
公式サイト

ライタープロフィール

はづき
パワースポット大国のニュージーランドを活動の拠点として占い師・占い関連のライターとして活躍中。 「言葉が優しく情緒的で力強い」と定評があり、チャット占いChapli(チャプリ)では恋愛にまつわる相談を中心に全国の相談者から支持されている。
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