(※2020年9月22日 11:45 公開記事)
明るく前向きな言葉で多くの女性から支持を集める占い師、ルーシー・グリーンさんの連載コラムをお届け! 恋愛マンガの印象的なシーンを占星術の視点で読み解いていきます。
マンガの中の恋愛関係から、あなたの恋に役立つヒントも得られるかも!?
こんにちは!
占い師のルーシー・グリーンです!
わたしたちを笑わせたり、泣かせたり、時にはげしく心を揺さぶる、名作マンガを星占いの視点で読み解いていこう!と思います。
今回お伝えするのは、矢沢あいさん作『NANA』。
連載7回目に、この作品を取り上げられるのもなにかの運命♡。
というのも、運命的に出会う主人公のふたりの名前が「ナナ」なのです。
主人公の小松奈々(愛称:ハチ)は、遠距離恋愛中の恋人のもとへ上京するため列車へ飛び乗ります。そしてもうひとりの主人公、大崎ナナも上京するため列車に乗りふたりは出会いました。性格も好みもまるで違うけれど意気投合する二人。そして東京で運命的に再会し、ルームシェアをはじめます。
愛嬌たっぷりで惚れっぽいハチと、パンクバンドのボーカルとして夢を追うナナ。
夢に、恋に、友情、現実、過去…そして自分自身に、向き合う20歳のふたりの姿が描かれます。
読んでいるこちらも心の奥の自分を見つけてしまう、そんな作品です。
きっと誰の中にもハチとナナがいるからこの作品は深く愛されるのでしょう。
『NANA』(集英社)
作者:矢沢あい
東京に住む彼氏を追いかけてきた小松奈々と、ミュージシャンとして成功するために上京した大崎ナナ。ふたりはひょんなことからルームメイトとして同居生活を始めることに……
小松奈々(ハチ): 惚れっぽい、恋愛体質。人懐こくて従順で世話がかかる犬のような女子。
大崎ナナ: バンドのボーカリスト。男勝りで、言葉遣いは荒く、キレやすい性格。
今回も12星座を4グループで分ける「エレメント」を使って、作品を読み解いていきましょう。エレメントの違いは「大切にしていることの違い」です。
◎火の星座:
牡羊座・獅子座・射手座
直感や情熱を大切にする星座グループ
◎風の星座:
双子座・天秤座・水瓶座
思考や協調性を大切にする星座グループ
◎地の星座:
牡牛座・乙女座・山羊座
現実や実感を大切にする星座グループ
◎水の星座:
蟹座・蠍座・魚座
感情や共感を大切にする星座グループ
今回取り上げる『NANA』は、水の星座の雰囲気がとても強い作品です。
水の星座が大切にするのは感情や共感、「心」です。
心というのは定義するのがとても難しいと思うのですが、水の星座の示す心は、頭やルールで割り切れないもののことです。
「この人を好きになってはいけない」という人に心を奪われたり、「しっかりしよう!」と意気込みながらも泣いてしまったり。
そういうままならない想いを水の星座は受け入れます。
そして「依存」も水の星座グループが担います。
水の星座の共感とは、頭で割り切れない感情を人と共有することです。
たとえば相手のしていることを頭では「間違っている!」と思っていても、その心情を受け入れる感覚。
この共感は、相手と自分との間にあるはずの境界線をこえる感覚を生みます。そして、相手がいないと自分もいなくなってしまうような依存関係も生み出したりします。
主人公ハチも、ちょっと惚れっぽい、恋にときめくふつうの女の子のように見えますが、その惚れっぽさが行きすぎて次から次へと傷ついたりトラブルを招いてしまったりします。これは彼女が恋愛相手に依存を求めるからのようです。
どうして人は恋する相手に依存してしまうのでしょうか?
連載中、リアルタイムでこの作品を読んでいたわたしですが、ひさしぶりに単行本を読み返しました。当時はそんなに気にならなかったけれど大人になった今改めて見ると、ナナと暮らし始めるまでのハチの不安定さに驚かされました。
かっこよくて優しい人と見るとすぐに恋に落ち、せっかく上京しても仕事も決まっていないうちから次々とおしゃれな家具やお洋服にお金を使ってしまいます。
ハチはまだ自分が誰なのか知りません。
自分はなにが得意で、なにが楽しくて、なにが欲しいのか、わかっていない。
周りの友人たちが自分の道を見つけていくのと比べると、より「自分」がからっぽに感じられて不安になってしまうのです。
そんな自分を誰かに受け止めてほしい。
抱きしめて、必要だよと言ってほしい。
愛してほしい、自分の代わりに。
だからハチはいつもそうしてくれそうな人を探し、見つけると恋に落ちます。
自分と相手の境目がなくなり、一体になれる感覚。
これは水の星座の性質「共感」です。
そして自分の抱える悩みを相手に預け、悩みから逃げるための方法でもあります。。
でもみんな、若い頃は特に、それぞれに悩みや空虚さを抱えていて、相手を支える余裕が持てません。だから依存関係はいずれ破綻してしまうことが多いのです。
では、依存は恋の敵なんでしょうか。
ハチは、上京し恋人にフラれないよう「自立した女性」を目指します。
自分の夢をまっすぐに追いかけるナナの影響もあって頑張りますが、なかなか自分を認めることができません。
自分のずるさや、弱さ、甘え、依存体質、に目が向き、そんな「本当の自分」を見せるとみんなに嫌われてしまうとますます自立を目指します。
でも、なんだかんだ言って…みんなハチが大好きなのです。
ハチの明るさ、愛らしさ、やさしさ、正義感、人を応援する気持ち。
ハチにはハチの魅力がたくさんあって、どんどん人が集まってきます。
ハチはずっと「みんなに嫌われるかも」と思い込み、ことを余計にややこしくしたりしますが、それでもみんな、ハチを大切にします。
みんながハチを愛するのはハチが自立を目指し彼女なりにもがいているから、高校生の頃の危なっかしさが幾分丸くなってつきあいやすくなっているのもあると思います。
ですが、それ以上に「依存」が完璧なる人間関係の邪魔者ではないからだとも感じるのです。
水の星座はままならない感情を大切にし、共有します。
誰しも現実社会で生きていくために、自分の感情を押し隠してはいますが、「心」は変わらず胸の奥にあるもの。
水の星座はそんな心を「それでいいよ」と受け入れます。
その姿勢は「依存」にもなりますが、「心と心の強い絆」にもなります。
人に心を開けば開くほど、さびしさや悲しさを感じることにもなるでしょう。
ですが心を開かなければ、安心や心の絆もまた生まれないのです。
ハチは人に傷つけられるのを恐れながらも、人を見捨てません。
それは「依存心」からくるものでもあるのですが、やっぱり稀有な態度なのです。
そんなハチにみんな元気をもらい、かたくなな心を開いていきます。
さあ、それでも依存は邪魔者でしょうか。
あなたがもし「恋の邪魔だ!」と、自分の依存心をなきものにしようとしているなら、自立するための模索はすばらしいのですが、そんな「弱い自分」も受け入れてあげてほしいなと思うのです。
それが人との絆、そして自分自身との信頼関係へつながるからです。
誰しも強いように見えて、それぞれに弱さを抱えています。
自分をゆるす力は、人をゆるす力になります。
それこそが「愛」なのではないでしょうか。
1999年のスタートから単行本は21巻まで発売されていますが、作者の矢沢あいさんが病気療養中のため現在は休載されています。
どの作品もそうだと思うのですが、作者の方たちはご自身や読む人、そして登場人物たちの心の奥深くへ入り込むための体力気力が必要になるのではないでしょうか。
どうぞご無理なさらず、ご自愛いただけるよう願っています。
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プロフィール
ルーシー・グリーン
星占いのもとになっている西洋占星術の面白さとタロットカードの不思議さに魅入られ占い師となる。
占いを通して、自分自身を肯定し、豊かな人生を創りだす幸せを伝えることに意欲を燃やす。今日もまた迷える子羊をグリルにしちゃうくらいホットに絶賛導き中!!
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