デートに遅刻してくる人は相手を軽んじている?「遅刻癖」を持つ人の何様感【カレー沢薫 アクマの辞典 第49回】

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カレー沢薫 「アクマの辞典」

漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」
このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!

第49回 アクマの辞典 タ行


【チ】
➤「遅刻癖」(ちこくへき)

…じっとしていられないので予定を入れまくり、それがちょっとずつズレることで遅刻するというヤツもいたので理由は様々

今回のはタ行から「遅刻癖」である。

まず、この原稿が締切りを3日過ぎている。
だが私はこれでも編集者から「締め切りを守るほう」と言われているのだ。

それ以外褒めるところがないので消去法で言っているのかもしれないが、裏を返せば、他の作家がいかに締め切りを守っていないか、という話である。
どのぐらい守っていないか、というと私が聞いた最長は「半年」だ。

しかしこの業界の特殊なところは、人気作家、作品であれば、出版社も読者も半年どころか18年ぐらい待ち続けてしまうという点である。

しかも、ようやくやって来た時のコメントは「遅えよ」ではなく「ありがとう」なのだ。

だが、これは本当に特殊な世界で、さらに選ばれた者のみが持つ異能力である。

赤子が絶対夜泣きしないベビーベッドがあったとしても、納期を18年も遅らせるようでは商売にならない。
確かに夜泣きは18歳どころか40近くなった今でもするのだが、さすがに体のサイズが合わないだろう。

このように「時間を守らない」というのは、ほとんどの仕事で致命的なのである。
いくら他の仕事ができても、遅刻癖があったり納期が守れなかったりすると全てが台無しなのだ。

そういう人は作家のように「全員守らない」世界に行くことをお勧めする。

恋愛面でも、遅刻というのは大きなマイナスである。

デートに遅刻してくることの何がマイナスかというと、遅れてきたことよりも「軽んじられている」という印象を相手に与える点だ。
誰だって、石原さとみとのデートだったら、遅刻などしないだろう。
むしろ3日前から待っても遅いぐらいだ。

つまり、初デートで遅刻をするというのは、“ディナーの店がサイゼリア”よりも明確に「自分に気がない」と思われてしまうのだ。
本当に気がなくても、時間を守らないのは人間的信用も落とすため、遅刻はサイゼリアのハイグレード版と言って良い。

また遅刻というのは、相手を軽んじているだけでなく「このぐらい遅刻しても相手は待つし、怒りもしない、なぜなら俺のことが好きだから」という、何様感の演出にも一躍買っている。

逆に言うと、相手がいつもデートに遅刻するという場合は、相手に軽く見られているか、何をしても怒らないと思われている可能性が高いだろう。

だが、決して相手を軽視しているわけではないが、遅刻してくる人というのもいる。

「待ったら死ぬ病患者」はそれにあたる。
世の中には生まれつき1分待つごとに寿命が1年縮むという、病(ビョウ)に罹っているものがいるのだ。

待ち合わせでも待ちたくないため、「ちょっと遅れていく」という行動を取りがちなのだ。
このタイプは、3時間など派手な遅刻はしない、毎回きっかり5分遅刻してくるなど、むしろ誰よりも時間を守った遅れ方をしてくる。

病(ビョウ)なので、自信過剰系の遅刻魔よりある意味矯正が難しい。これはもう難病のパートナーを支えていると思って我慢するしかないだろう。
また先天的特性上、どうしても遅刻してしまうという人もいるので、頭ごなしに怒るのではなく、一緒に原因を究明してあげることも必要だ

遅刻というと軽く聞こえるが「約束を守る」というのは、信用問題であり、相手へのリスペクトの表れでもある。
これから付き合いたい、長く付き合いたいという相手にはするべきではないだろう。

もしくは、1時間とかぬるい遅刻はせず18年待たせたほうが良い。
そうすれば相手は怒りなど超えて「来てくれてありがとう」という感謝と感動に変わっているはずだ。


【タ】
➤「タイミング」(たいみんぐ)

…運の次に失敗責任をなすりつけられている存在


【チ】
➤「遅刻癖」(ちこくへき)

…じっとしていられないので予定を入れまくり、それがちょっとずつズレることで遅刻するというヤツもいたので理由は様々


【ツ】
➤「妻スタグラム」(つますたぐらむ)

…他人の写真をネットに載せる以上、俺スタグラムも並行してやるのが平等だと思う


【テ】
➤「てへぺろ」(てへぺろ)

…「殴ってください」という意味


【ト】
➤「トリセツ」(とりせつ)

…カナさんが激怒する男を見ながらワインを飲むために作った曲

プロフィール

カレー沢薫
漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスの家訓』(中央公論新社)も発売中。

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