2019.07.23 13:15

獅子座生まれのあなたへ贈る詩「まなざしの記憶」【文月悠光 12星座の恋愛詩】vol.12

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詩人・文月悠光  「恋する12星座の詩」

18歳という若さで中原中也賞を受賞した詩人の文月悠光さん。詩のみならず、今の世を生きる女性として、誰もが感じる“生きづらさ”や“孤独”を綴ったエッセイ集も話題です。

このたび、そんな文月さんによる、12星座別「恋愛詩」の連載がスタート。毎月、月ごとの星座を主人公とした一篇を執筆していただきます。さらに、その詩をモチーフとしたコイズミリカさんの美しいイラストもお届け!

切なくて愛おしくて胸がキュンとする…詩とイラストのコラボレーションをお楽しみください。

獅子座生まれのあなたへ

詩人・文月悠光  「恋する12星座の詩」

まなざしの記憶

風の呼び声に振りかえるたび、
ひるがえる予感の数々。
手放せない選択肢に、胸は惑いつづける。
あなたはわたしを呼ぶだけでいい。
それがプロローグ、物語の合図。

「あなた」との出逢いを思い返しては、
わたしは心の中の筋書きを結び直す。
彼らはわたしの空洞を
何食わぬ顔で通り過ぎていく。
みんなの恋が全部同じならば、
物語はもっと単純に済んでいて
ここで膝を抱えることも無かったかもね。
今は離ればなれだとしても、
かならず この地平線上で逢える。
恋は何度でもよみがえる。
それは、いちど沈んでいった陽が
また輝きながらのぼるのと同じこと。

夜明けの地平線に立てば
光がひとすじ滲みゆく。
黄色い太陽、
わたしから目をそらさないで。
燃える瞳で射抜いてよ。
頼りないわたしの肩を
力いっぱい照らして、抱き寄せるの。

あなたは、全物語の宛先なのだ。
わたしの言葉も、ちょっとした仕草も
あなたが見ることで完成する。
確かにわたしの一部であった、
そのまなざしだけが
今も胸に焼きついて離れない。
終わらない記憶のとびらを叩き、
不意にわたしの名を呼ぶことがある。

☆この連載をするにあたって占星術家・まついなつき先生に西洋占星術をレクチャーしていただきました。
「12星座の恋 まついなつき×文月悠光」はこちら

プロフィール

文月悠光(ふづき・ゆみ)

詩人。1991年北海道生まれ。16歳で現代詩手帖賞を受賞。高校3年の時に発表した第1詩集『適切な世界の適切ならざる私』(思潮社)で、中原中也賞、丸山豊記念現代詩賞を最年少で受賞。詩集に『屋根よりも深々と』(思潮社)、『わたしたちの猫』(ナナロク社)。近年は、エッセイ集『洗礼ダイアリー』(ポプラ社)、『臆病な詩人、街へ出る。』(立東舎)が若い世代を中心に話題に。NHK全国学校音楽コンクール課題曲の作詞、詩作の講座を開くなど広く活動中。
★オフィシャルサイト「Fuzuki Yumi Website」
★Twitter「文月悠光@luna_yumi」

プロフィール

コイズミリカ

イラストレーター。1989年生まれ。
2012年 東京工芸大学デザイン学科卒業。
「言えないこと 見えるもの 彼女たちを通して絵にする」をテーマに、イラストやオリジナルテキスタイル等を制作。
★ホームページ「RIKA KOIZUMI」

 

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