年増女が年下男と結婚したら「捨てられる」と決めつけるヤツは一定数いる【カレー沢薫 アクマの辞典 第34回】

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カレー沢薫 「アクマの辞典」

漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」
このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!

第34回 アクマの辞典 タ行


【ト】
➤ 「年の差恋愛」(としのされんあい)

…女のほうが寿命が長いので、女が年上なのが適正では、と思うが「女のほうが、夫が死んでから元気になる」率が高いので、やはり男が年上なのが適正なのかも

今回のテーマはタ行から「年の差恋愛」だ。

先日三船美佳さんが再婚をされた。
私は、三船さんと同い年であるため、当時16歳の三船さんが40歳の高橋ジョージ氏と結婚する、と聞いても「乙女ゲーではよくある話だ」としか思わなかったが、今考えると、あれは平成を代表する案件だったのではないか、とさえ思える。

そもそも乙女ゲーですら、あそこまで離れているのは、そうそうない。

成年と中高生、もしくはそれ以下の交際については「未成年本人が良いならいいじゃないか」という意見もあるが、無知で判断力に欠ける子供を、悪い大人がいろいろ搾取している可能性も十分にあるため、一概に「本人が良ければ」と言えないのは確かだ。

しかし、成人さえすれば、人間の判断力はバリバリになり、悪い奴なんかには騙されなくなるか、というと依然ハチャメチャに騙されていたりするので「年齢と判断力は必ずしも比例しない」という事実が、また成年と未成年の交際問題をややこしくしていると言える。

お互い成年であっても、年の離れた恋愛というのは、周囲にガタガタ言われがちなものである。年が離れれば離れるほど「遺産目当て」というような「恋愛感情以外の打算や理由」があるに違いないと邪推されがちなのだ。

しかし「遺産目当て」と言っても、簡単ではない、何故なら日本人の寿命というのは思った以上に伸びているからだ。
例えば、20歳の頃に70歳の金持ちジジイと結婚して、ジジイが死んだ暁には、遺産で若い男とよろしくやろうと画策しても、平気でジジイが100まで生きる可能性があるのである。
そうなると、ジジイが死ぬときには、自分もすでにババアと言ってよい年齢であり、しかも若い時分を全てジジイの介護に費やす羽目にもなりかねない。

よって「遺産目当て」で年の差婚をするときは「自らの手で相手を殺す」ぐらいの覚悟で臨まなければいけない。
それも「油ものを食べさせて早死にさせる」などという手ぬるい方法ではダメだ。ひとたび病院に入ってしまったら、驚異の現代医術で「生きてはないけど死んでもない」というような状態を10年ぐらいキープされてしまったりする。
よって「確実に心臓を打ち抜く」ぐらいはしないとダメなのだ。
つまり遺産目当ての結婚というのは「リスクが高すぎる」のである。

このように、女の場合は相手の男が年上すぎると「金目当て」を勘ぐられるが、女が年上すぎると今度は「騙されている」と言われてしまう。
もし女側に、わざわざ騙して奪うような財産がない場合は「そのうち捨てられる」と言われるのだ。

このように、若い男が純粋な気持ちで年増女を好きになるなどあり得ないし、もの珍しさで一時期付き合っても、そのうち飽きて若い女に行くに決まっている、と思っている人間がいるのである。

毎度おなじみツイッター情報なので本当かどうかはわからないが「中学生男子たちが『沢尻エリカも30過ぎのババアだから、俺絶対抱けねーわ』などと放言していた」というつぶやきを見た。

怒りというより、その年で可哀想である。

世の中には「いい年して」と年齢で他人の行動を制限しようとする人間もいるが、逆にそれで己の行動を制限してしまい、人生の幅を狭くしてしまっている人もいるのだ。

件の男子中学生で言えば、この先どんなに魅力的な異性に出会っても「30歳過ぎているんだから選択肢から除外しなければいけない」と思ってしまう、ということだ。
だが、この男子中学生が「いろんな女を抱いた結果、やっぱり30以上の女はない」と判断したとは考えづらい。
つまり、そういう考えの大人が周りにいたか、そういう大人の発した狭量な思想を不幸にもネットか何かでキャッチしてしまった、ということだ。

年の差、と言っても17歳と30歳が付き合っていると聞けば「おっと?」となるが、80歳と93歳が付き合っていると聞いたらもはや「誤差」だろう。
人生100年時代、そろそろ多少の年の差でガタガタ言うのは止めないと、古い人間と思われるだけだ。


【タ】
➤ 「托卵女子」(たくらんじょし)

…犯罪者よりもDNA鑑定の発達を苦々しく思っている


【チ】
➤ 「痴漢」(ちかん)

…男VS女の構図になりがちな話題だが、敵は「痴漢」だということを忘れてはならない。


【ツ】
➤ 「妻」(つま)

…「妻は女じゃない」と、言っているとき、妻はあなたを「ATM」と言っているかもしれない


【テ】
➤ 「手相占い」(てそううらない)

…最終的に「病院へ行ったほうがよい」という現実的なアドバイスをする占い師が増えているらしい


【ト】
➤ 「年の差恋愛」(としのされんあい)

…女のほうが寿命が長いので、女が年上なのが適正では、と思うが「女のほうが、夫が死んでから元気になる」率が高いので、やはり男が年上なのが適正なのかも

プロフィール

カレー沢薫
漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスの家訓』(中央公論新社)も発売中。

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