(※2019年4月21日 11:45 公開記事)
18歳という若さで中原中也賞を受賞した詩人の文月悠光さん。詩のみならず、今の世を生きる女性として、誰もが感じる“生きづらさ”や“孤独”を綴ったエッセイ集も話題です。
このたび、そんな文月さんによる、12星座別「恋愛詩」の連載がスタート。毎月、月ごとの星座を主人公とした一篇を執筆していただきます。さらに、その詩をモチーフとしたコイズミリカさんの美しいイラストもお届け!
切なくて愛おしくて胸がキュンとする…詩とイラストのコラボレーションをお楽しみください。
きみの隣で眠れたら
恋だと思う。
二人で眠ると、あたたかいこと。
手を握ると、溶け合えること。
朝食にリンゴを剥いて食べるとき、
爽やかな甘い果実は
二人の子どもみたいであること。
教えてあげたい。
「彼女っぽく」とか
「恋人らしく」とか
わたしに求めるのは違うこと、
とうに気づいてるでしょう?
見つめ合えば、
二人のあいだにある空白を
否応なく意識する。
口火を切って。
埋めるべき空白のために、
愛の言葉は存在するのだと。
おいで、教えてあげる。
きみの隣で目覚めたら
わたし、きみの爪や
きみの心臓を盗むと思う。
体温さえ奪って、毛布のような
きみのなかに潜るのだ。
きみの目は、わたしの目だよ。
萌える新緑よ、見ていて。
この恋を誰にも奪わせはしない。
☆この連載をするにあたって占星術家・まついなつき先生に西洋占星術をレクチャーしていただきました。
「12星座の恋 まついなつき×文月悠光」はこちら
詩人。1991年北海道生まれ。16歳で現代詩手帖賞を受賞。高校3年の時に発表した第1詩集『適切な世界の適切ならざる私』(思潮社)で、中原中也賞、丸山豊記念現代詩賞を最年少で受賞。詩集に『屋根よりも深々と』(思潮社)、『わたしたちの猫』(ナナロク社)。近年は、エッセイ集『洗礼ダイアリー』(ポプラ社)、『臆病な詩人、街へ出る。』(立東舎)が若い世代を中心に話題に。NHK全国学校音楽コンクール課題曲の作詞、詩作の講座を開くなど広く活動中。
★オフィシャルサイト「Fuzuki Yumi Website」
★Twitter「文月悠光@luna_yumi」
イラストレーター。1989年生まれ。
2012年 東京工芸大学デザイン学科卒業。
「言えないこと 見えるもの 彼女たちを通して絵にする」をテーマに、イラストやオリジナルテキスタイル等を制作。
★ホームページ「RIKA KOIZUMI」
こちらもおすすめ