(※2019年3月21日 12:50 公開記事)
18歳という若さで中原中也賞を受賞した詩人の文月悠光さん。詩のみならず、今の世を生きる女性として、誰もが感じる“生きづらさ”や“孤独”を綴ったエッセイ集も話題です。
このたび、そんな文月さんによる、12星座別「恋愛詩」の連載がスタート。毎月、月ごとの星座を主人公とした一篇を執筆していただきます。さらに、その詩をモチーフとしたコイズミリカさんの美しいイラストもお届け!
切なくて愛おしくて胸がキュンとする…詩とイラストのコラボレーションをお楽しみください。
わたしを止めないでね。
朝日ははじまりの合図。
眩しいあなたを見つめていると、
まぶたの裏が熱くなるから
血が鼓動しているのがわかるの。
心臓をかき鳴らして
音階なんて飛び越えて
はやく全身で震えたい。
好きだと気づく前に
からだが走り出していた。
一瞬のときめきと熱狂が
わたしにわたしを突破させる。
飛び込む勇気をくれたのは
あなたでしょう?
今度はわたしが救いに行くわ。
全力で駆けつけるから、
こころの声で打ち返して。
わたしを止めないでね。
もう誰も、ほんとうにね。
あなたに離れられたら
どこへ走って行けるというの。
火の鳥みたいな夕空、消させないわ。
空を駆け巡って 燃やし尽くして
あなたの恋人を生きたいんだ。
☆この連載をするにあたって占星術家・まついなつき先生に西洋占星術をレクチャーしていただきました。
「12星座の恋 まついなつき×文月悠光」はこちら
詩人。1991年北海道生まれ。16歳で現代詩手帖賞を受賞。高校3年の時に発表した第1詩集『適切な世界の適切ならざる私』(思潮社)で、中原中也賞、丸山豊記念現代詩賞を最年少で受賞。詩集に『屋根よりも深々と』(思潮社)、『わたしたちの猫』(ナナロク社)。近年は、エッセイ集『洗礼ダイアリー』(ポプラ社)、『臆病な詩人、街へ出る。』(立東舎)が若い世代を中心に話題に。NHK全国学校音楽コンクール課題曲の作詞、詩作の講座を開くなど広く活動中。
★オフィシャルサイト「Fuzuki Yumi Website」
★Twitter「文月悠光@luna_yumi」
イラストレーター。1989年生まれ。
2012年 東京工芸大学デザイン学科卒業。
「言えないこと 見えるもの 彼女たちを通して絵にする」をテーマに、イラストやオリジナルテキスタイル等を制作。
★ホームページ「RIKA KOIZUMI」
こちらもおすすめ