18歳という若さで中原中也賞を受賞した詩人の文月悠光さん。詩のみならず、今の世を生きる女性として、誰もが感じる“生きづらさ”や“孤独”を綴ったエッセイ集も話題です。
このたび、そんな文月さんによる、12星座別「恋愛詩」の連載がスタート。毎月、月ごとの星座を主人公とした一篇を執筆していただきます。さらに、その詩をモチーフとしたコイズミリカさんの美しいイラストもお届け!
切なくて愛おしくて胸がキュンとする…詩とイラストのコラボレーションをお楽しみください。
誘い出された先は
歴史ある古い劇場でした。
舞台の中心にそびえ立つ大階段。
永遠を目指して、
たくさんの愛がここを越えていった。
その高みにのぼりつめるとき、
どんな景色が見えるのだろう。
ひとめ確かめたくて
わたしは あなたを愛しはじめた。
駆けのぼっていくわたしを
追ってきてくれますか。
どんな見事な花束も
ほどかれた瞬間、
ばらばらに散ってしまうから。
この腕をあなた自身に結わえつけて
影絵のように抱き合えばいい。
最後の一段を越えていくとき、
わたしは客席を振りかえり、
高らかに歌いだすだろう。
今夜ただひとり招待した、
あなたが愛に迷わないように。
【次回は1月「水瓶座の恋愛詩」】
☆この連載をするにあたって占星術家・まついなつき先生に西洋占星術をレクチャーしていただきました。
「12星座の恋 まついなつき×文月悠光」はこちら
詩人。1991年北海道生まれ。16歳で現代詩手帖賞を受賞。高校3年の時に発表した第1詩集『適切な世界の適切ならざる私』(思潮社)で、中原中也賞、丸山豊記念現代詩賞を最年少で受賞。詩集に『屋根よりも深々と』(思潮社)、『わたしたちの猫』(ナナロク社)。近年は、エッセイ集『洗礼ダイアリー』(ポプラ社)、『臆病な詩人、街へ出る。』(立東舎)が若い世代を中心に話題に。NHK全国学校音楽コンクール課題曲の作詞、詩作の講座を開くなど広く活動中。
★オフィシャルサイト「Fuzuki Yumi Website」
★Twitter「文月悠光@luna_yumi」
イラストレーター。1989年生まれ。
2012年 東京工芸大学デザイン学科卒業。
「言えないこと 見えるもの 彼女たちを通して絵にする」をテーマに、イラストやオリジナルテキスタイル等を制作。
★ホームページ「RIKA KOIZUMI」
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