漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」
このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!
第19回 アクマの辞典 タ行
【ツ】
▶ 「都合のいい女」(つごうのいいおんな)
…わかっててそのポジションを守ってる女もいるので営業妨害は良くないのかも
今回のテーマはタ行から「都合のいい女」である。
「都合のいい女」という言葉が浸透したのは、そういうタイトルのドラマがあったところからだろうと、調べてみたところ、すでに25年前のドラマであることが判明し戦慄した。
ちなみに主演はW浅野のゆう子のほうである。一応、若者に言っておくがそういう漫才コンビがいたわけではない。
では都合のいい女とは具体的にどういう女なのか。
まず「呼んだらすぐ来る」が、都合のいい女の標準搭載機能のようだ、むしろこの「フットワークの軽さ」がない女は都合のいい女とは言えず、車だったら「タイヤがない」みたいなものだそうだ。
ちなみに「すぐ来る」というのは暇だからというわけではなく「先約があっても男の呼び出しを最優先する」のが、都合のいい女であり「今日は女子だけで盛り上がっちゃお~!」と言った三秒後に男からLINEが来たら、即そっちに行くのである。
そして次に欠かせないのが「すぐ体を許す」という点だ。
もうこの時点で「都合のいい女」というのは「無料デリヘル」というボランティア活動だということがわかる、五輪ボランティアよりもよほど就活に使えるのではないだろうか。
他にも奢りや借金の肩代わりなど「ATM扱い」や八つ当たりをされる「サンドバッグ代わり」などが、都合のいい女の条件に挙げられている。
しかし、それらの理不尽に「耐えてる」ようでは都合のいい女としては徳が低く「彼に頼りにされている」「私にだけに本当の自分を見せてくれる」という「ありがたさ」を感じてこそ一人前だという。
また、都合のいい女には度量のデカさも必要であり、彼に他に女がいても受け入れるという。
それも「自分が本命だから」という受け入れ方ではなく、セカンド、サード、ついにはホームを回ってしまうような位置でも、そのポジションを懸命に守るのが都合のいい女だ。
それ故に都合のいい女は、彼の周囲の人間に紹介してもらえないことが多いそうだ。
万が一会っている時に、彼の知人に遭遇してしまっても彼女ぶるのではなく、瞬時に「友達の鳩子」然とした態度を取れるのがデキる都合のいい女である。
このように、尽くすというより「搾取」に近いわけだが、都合のいい女自身が、自分が都合のいい女であると気付いていないかというと気付いている場合のほうが多いのではないか。
なぜ我々がコンビニをよく利用するかというと便利だからである、つまり自分が便利になればなるほど好きな男にご愛顧いただけるなら、そりゃ便利になるっきゃないでしょという話だ。企業戦略としては当然であり、ライバルに負けないためにはどんどん便利になって当たり前である。
ただ、コンビニとしてリピートしてもらえることに満足なうちはいいが、ある日突然「伊勢丹扱いしてほしい」という気持ちが芽生えたら不幸である。
それに24時間営業も月日が経つごとに体に堪えるようになるだろう、頃合いを見て、自分を少なくとも「駅ビル扱い」ぐらいにしてくれる男を見つけたほうがいいかもしれない。
【タ】
▶ 「タラレバ」(たられば)
…二兆円あったら 二兆円さえあれば 年とともに仮定のスケールがデカくなる
【チ】
▶ 「ちやほや」(ちやほや)
…若いころに全くちやほやされなかった女は加齢に強い
【ツ】
▶ 「都合のいい女」(つごうのいいおんな)
…わかっててそのポジションを守ってる女もいるので営業妨害は良くないのかも
【テ】
▶ 「手料理」(てりょうり)
…バナナがおやつに入るかより、クックドゥが手料理に入るかで揉めがちな昨今
【ト】
▶ 「友達の恋人」(ともだちのこいびと)
…危険な恋など起こらず、だいたい「友達がトイレに行っている間の無言」がキツイ存在