史上最年少の18歳で中原中也賞を受賞した詩人の文月悠光さんは、以前から占いに興味があったそう。そんな文月さんが、このたび12星座にまつわる「恋の詩」を綴ることに!
執筆にあたり、占星術家・まついなつき先生から、「恋」に焦点を当てた「西洋占星術」のレクチャーを受けました。ここでは詩の連載を前に、その内容をレポートしていきます。
【第2回】月、水星…それぞれの天体の意識
星座の特徴による大きなグループ(「4元素」「3区分」)がわかったところで、ここからはホロスコープにおける、それぞれの天体の「意識」を教えていただきます。
「月の意識」や「水星の意識」…それって何?気になりますよね!
天体に割り振られた12星座の意味
第1回でも述べた通り、太陽星座は恋愛においては「プライド」を表すもの。
「太陽星座」だけで恋愛を読むと、どうしても「プライド、ガチガチ」な話になってしまうため、詩を書くうえでのフレーズの幅が狭くなる恐れがあります。「プライド第一で恋をしている」「ガッツリ系の女子」のような状態になってしまうんですね。
恋愛って、もうちょっとやわらかさやどうにもならなさ、焦燥感、ダメな部分も入っているほうが、女子の心をつかみやすいかなぁと思います。
ですから、ホロスコープの中にある「月」「水星」「金星」「火星」といった天体に割り振られた12星座の意味を見ながら、恋愛したとき、これらの天体がどういう役割をするのか、どんな感覚を持ちやすいのかをお話ししていきますね。
文月悠光さんのホロスコープ
「太陽」獅子座の恋愛はドラマチック
太陽は、先ほども言った通り「プライド」を表します。関係する星座は獅子座で色はオレンジ・黄色といった太陽の色。
獅子座は自分の本質を曲げないため、ありのままの自分の望み通りに進まないのは、獅子座の恋愛とは言えません。自分が自分であることを諦めないんですね。そういう行動をすると、日本では王様や女王様、わがままと言われる場合もあります。
実は地味で暗い獅子座もたくさんいるのですが、彼らの頭の中にも、その地味で暗い自分を主人公とした物語があります。そこに誰かがやって来て引き上げてくれるとか、「君にもちゃんとこんな人生や愛情があるんだよ」と伝えに来てくれる、なんていう物語が展開されているのです。
そういったドラマが展開されていない獅子座は獅子座ではありません。「そんなの都合よすぎるよ」「ありえないよ」と言われても、聞く耳を持たないのが獅子座です。
月=恋をすると揺れ動く不安要素
月には「不安要素」があります。自分以外の誰かと関わると必ず気持ちがグラつくんです。月は自分で守るべきもの…起きる時間や1日の予定、こなす仕事の分量を決めていたのに、全然できないまま寝てしまった、どうしよう…といった生活のベースとなるもの。
誰かを好きになったとき「今あの人はどうしてるかしら?」「他の人とデートに行ってたらどうしよう」など、自分が想うほどには相手が自分のことを想ってくれていないかもしれない、なんて気持ちでグラつくような不安要素が月なんです。
月は蟹座と結びついています。蟹座の神話には、ゼウスの妻のヘラという嫉妬深い女神が登場しますが、それは感情の起伏が激しくて、優しいときと残酷なときとで揺れ動く、感情の不安要素みたいな月が蟹座と関連づけられているから。
色でいうと「白銀」です。夜空に白い月が輝いているイメージですね。
◎月星座「射手座」が恋をすると…
文月さんの月星座は射手座です。だから恋愛をすると、その射手座の部分が不安要素となって、非日常の果てまでも「恋をする理由」や「愛の原因」を追求せずにはいられなくなります。
「この広い宇宙で、なぜ私たちは出会ったの?」「なんであの人は、あのときあんなことを言ったの?」と、独特な分析をするのが好きな星座なんです。
「たしかに頭の中で分析し続けるのは好きですね。その独特さに本人は気づいてないけど、周りからはそう見られていると思います」
水星はコミュニケーションを司る
水星は「コミュニケーション」。言葉や表現の星です。この水星と関係しているのが双子座と乙女座です。色は双子座が「水色・黄色」、乙女座が「白・水色」。同じ水星でも、双子座はわりと散らかしていく、乙女座は小さくまとめていく、という差があります。
なので双子座は関係ないおしゃべりをいっぱいし、情報がたくさんあればあるほど興奮しますが、乙女座は関係ない話はあまりしません。
必要なことしか言わないし、わーっと話していると「もうそれくらいにしない?頭が痛くなってきちゃった」などと言います。そういう、散らかす水星とまとめる水星のような感じで役割が分かれています。
◎感覚を言葉で表現するアスペクト
文月さんは月は射手座、水星は獅子座。この2つは同じ「火の星座」です。自分が「面白いな」と感じ、受け取ったものを魅力的な言葉で表現していく組み合わせ(アスペクト)を持っています。
水星は神経とも関係しています。ですから肉体関係で考えると、快楽やセックスとも関係しているんですね。この水星の相性によって、コミュニケーションが上手くいくか、カラダの相性がいいか、といったことを見ることもあります。
昔はコミュニケーションを取るにしても、家に電話をかけて「お父さんが出た、どうしよう?」的なことがありました。でも今は誰もがスマホを持っていて、電話やメール、LINEで簡単につながる時代ですよね。
12星座の中ですぐに返事が欲しい「活動宮」と、ちょっと焦らす「固定宮」の関係だと、「活動宮」が不安になったりしがちなので、そのあたりも水星で見たりします。
金星は楽しみや喜びを意味する
金星は「楽しんだり喜んだりする」ことを表す星。関係している星座は牡牛座と天秤座。色は両方とも「グリーン」ですが、牡牛座のほうが濃く、天秤座のほうが薄くて軽やかな色です。
同じ水星でも、双子座と乙女座の性質・性格が違うのと同じで、牡牛座と天秤座は、いずれも楽しむ・喜ぶ星座ではあるけれど、やはり違います。
◎牡牛座の楽しみ方
牡牛座は自分が好きなものだけ楽しむほうで、天秤座は、人の目や流行を加味したうえで楽しむ星座ですね。
牡牛座の人は人の目を気にしないので、好きな洋服があれば、ちょっと毛玉ができていたりヨレていたりしても平気でずっと着ますが、天秤座は「これって流行に合う?」「こういう場所でこんな人たちと会うんだけど、おかしくない?」とTPOを意識したりします。でも、楽しんだり喜んだりするのは変わりません。
牡牛座は「土の星座」で「固定宮」なので、おいしい、いい匂いがする、お風呂にはこのバスソルトを入れるのが好きなど、自分のもともと持って生まれた感覚を楽しんで喜んだりします。
◎天秤座の楽しみ方
一方、天秤座はもう少し人と関わりを持ちたがります。自分がおいしいと思うかどうかより、流行っているから買う、みんなが行ってるから私も行くというふうに、多少ミーハーなところがあります。
とはいえ、どちらものんびりしていてマイペース。特に天秤座は「風の星座」なので、自分が後でラクをするためだったら、ものすごく策を張り巡らします。だから何を考えているかわからない、本意や本質がわかりにくいと思われがちですね。
◎金星乙女座はデートより準備を楽しむ
文月さんの金星星座は乙女座ですね。乙女座は「土の星座」で「柔軟宮」なので、文月さんは具体的な何かを手に入れるために、いろいろ画策するタイプです。
自分が欲しいものを楽しんだり喜んだりするのではなく、人が「こういうのはどうですか?」と投げかけたものをいかにして楽しむのか、という性質を持っています。
その楽しみ方も、乙女座の場合は自己満足です。デートに行くと決まっても、そのデート自体を楽しむのではなく、デートのための準備を楽しむんです。
どの洋服を着て行こうか?メイクはこれでいいかしら?相手がレストランを予約しているかもしれないけれど、その後に行けそうなカフェを調べておこうかなと、秘書のように先回りして準備することを楽しみます。
デートの最中にお店でかわいい洋服を見つけ、「次のデートにあれを着て行きたい。ちょっと見たい」と思うと、「この人さえいなければ、あの服を見られるのに」と、一緒にいる彼が邪魔になったりすることも。乙女座の金星の楽しみ方って、ちょっとややこしくて面倒くさいんです。
乙女座は自分の計画を持っているのですが、それは自分で立てる計画ではありません。相手から「今度のお休みの日にこういうデートをしよう」という希望を受け取って、その中で自分が満足できる準備をして挑むタイプ。きっちり採算を合わせる、そんなイメージです。
≪今回登場した天体≫
≪文月さんの星座≫
太陽…蟹座
月…射手座
水星…乙女座
金星…乙女座
8月23日「乙女座生まれのための恋愛詩」公開!
星座が切り替わる時期に、文月さんの詩の連載がスタートします。その第1弾は、誕生月を迎える「乙女座生まれ」に捧げる恋愛詩!
太陽星座が乙女座ではないあなたも、ホロスコープの中に乙女座があるかもしれません。例えば水星が乙女座ならば、「コミュニケーション」の面でこの乙女座の詩とリンクしています。ぜひご自身の中の乙女座の部分を見つめながら読んでみましょう。
あなたのホロスコープで、ご自身の月・水星・金星などの星座をチェックしてみて!
【次回へ続く…】