OL兼漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」
このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!
第7回 アクマの辞典 マ行
【マ】
▶「魔性」(ましょう)
容姿に優れない女が「個性」と同じぐらい欲しがるもの
今回のテーマはマ行から「魔性の女」だ。
人間的に良くない意味なのはわかる、しかし女として生まれたからには一度は言われてみたい、男だったら「エクスカリバー」に匹敵する「一度は授けられてみたい称号」であることは否定できない。
では魔性の女と呼ばれるにはどういう要素が必要なのか。
まず、容姿である。妖艶な美女にこしたことはないかもしれないが「特別容姿が優れているわけではないが、不思議な魅力に抗うことが出来ない」みたいな、群馬県人がデフォルトで持っている力を持っている女、というのも中二心的に魅かれる。
つまり魔性の女たるもの、男にはモテなくてはいけない。
まずこの時点でハードルが高い気がするが、尺が足りないので、3分クッキング方式で「もうモテている」ことにして話を進める
だが、ただモテて男が切れないだけではダメだ、魔性の女という称号がもらえると思ったら勲章に「ヤリマン」と彫られている恐れがある。
つまり魔性の魔性たる所以「関わった男、及びその周りが破滅」しなければいけない。
しかしここでポイントなのは魔性の女はその破滅に巻き込まれてはいけない、相手や周りだけ破滅させて、自分は無傷でそれを眺めて笑う、これこそが魔性の女だ、キマッた、カッコイイ。
よって、不倫相手の家庭を崩壊させたが、自分もバッチリ慰謝料を請求された、では魔性の女としてダサすぎる。
自分が倒した木の下敷きになる木こりと大差ない。
よって、不倫はやめた方がよい。
マジレスすると魔性の女と言えど、民法は敵に回さない方がいい、今まで「調停が不思議な力で覆った」という判例は聞いたことがない。自分の魔性を過信しすぎないのもデキる魔性の女だ。
既婚者でなくても「人のものに手を出す」というのは破滅に巻き込まれる可能性が高くなる。
そういうことをするのが魔性の女ではないか、と思われるかもしれないが、今は21世紀だし平成も終わる「リスク対策ができる」のが、現代の魔性の女だ。
つまり、人のものでない男を相手にするのが良い。
以上のことをまとめると「普通につきあった男が全員おかしくなる女」になる。
いらない。
魔性の女の称号いらない。
純粋に、男を破滅させるのが好きで、意図的にそれをやっているなら良いが「自分では制御できない」という、中二垂涎の力で「魔性」な女はどうすれば良いのか。
それも「破滅」などと言ったらまだカッコイイが、その内訳が「つきあった男が全員ラバープレイに目覚める」かもしれない
自分もそういう趣味なら良いが「自分には全くその気がないのに、相手はそうなる」可能性も大いにある。「不思議な力」というのはそういうものだ。
「魔性」
持ってないから、良いものに見えるだけな気がしてきた。
【マ】
▶ 「魔性」(ましょう)
容姿に優れない女が「個性」と同じぐらい欲しがるもの
【ミ】
▶ 「ミステリアス」(みすてりあす)
褒め言葉と思い込みがちだが、他人はそのミステリ部分に対して興味がない
【ム】
▶ 「ムダ毛」(むだげ)
日本では生えてる女に人権がない
【メ】
▶ 「メンヘラ」
でも大体彼氏がいる
【モ】
▶ 「喪女」(もじょ/もおんな)
「モテる」と自称しても叩かれるが「モテない」自称も叩かれる。日本では「女の自称」が法律で禁じられている