2012.12.21

占いと洗脳のあいだ【女はみんな占いがお好き】第5回

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【女はみんな占いがお好き】

恋愛、仕事、女としての自分をこじらせ、人生に行き詰まっては占いに駆け込む生活を続けてはや五年。自伝的エッセイ『女子をこじらせて』が話題の雨宮まみが、女子と占いの「ほど良い付き合い方」を考えます!

第5回「占いと洗脳のあいだ」

『闇金ウシジマくん』というマンガをご存知でしょうか。この作品は、闇金融業を営む丑嶋(ウシジマ)くんという人物を軸に、その闇金を利用する人をエピソードごとに副主人公のようなポジションに据え、物語を進めていく形式をとっています。なので、エピソードが変わるところから読み始めれば最初から読まなくても十分楽しめるのですが、最新巻である26巻から始まる「洗脳くん」というエピソードがすさまじい破壊力なのです。

『闇金ウシジマくん』のエピソードがすさまじい破壊力なのはいつものことなのですが、今回はあきらかにモチーフにしているふたつの洗脳事件があります。それは北九州監禁殺害事件(主犯が周囲の人間を監禁・洗脳し、自らは手を下さず殺人を行った)と、オセロ中島さんの洗脳事件です。北九州監禁殺害事件の犯人を思わせる男が、オセロ中島さんを思わせる、霊能者ではないもののそれに近い存在の「先生」に頼りきった生活を送っている「まゆみ」に近づいていくという話なのです。すでに「先生」に洗脳されかけている「まゆみ」のもとに、さらに洗脳を仕掛ける男が現われる……。こんな凶悪なマッシュアップが他にあるでしょうか。

27歳でファッション誌の編集をしていて結婚を焦っている「まゆみ」は、悩みごとがあると「先生」に電話をし、言われるがままにパワーストーンのブレスレットや盛り塩、水などを買い込み、最終的には先生に指示されるまま、「豚肉を頭に乗せて、コッペパンを両手に持ち、卵を三個くわえてハトのマネをする」という奇行をし始めるのです。

これ、想像すると笑えるでしょう。ところが、マンガで読むと全然笑えないんです。「まゆみ」には、年下で古着屋をやっている彼氏がいます。でもその彼氏は、まゆみの財布をアテにするばかりで、猫を見ながら「猫はのんびりしてていいな~。俺を養ってよ~まゆみさん」と言い放ちます。しかも彼には他の女の影もチラホラ……。

今さら他の男と結婚に至るほどの深いつきあいを始めるのでは遅すぎる、かといって今の彼氏との結婚には憂鬱な未来しか待っていない、結婚相談所に行くしかないかと迷いながらも、どこかで「誰かいい人が現われないかな」という希望を捨てられない。そこに、いろんなことをビシバシ当てて、相談に乗ってくれる「先生」がいたら……。ハマらない自信、ありますか? 今、豚バラに笑い、オセロ中島さんの側にいた霊能者が他の女性に「魚肉ソーセージを太ももに打ち付けながら商店街を歩け」とアドバイスしたと聞いて爆笑した過去があっても、もし自分がそんな立場に追い込まれたら、ハトのマネぐらい……。いや、しないとは思いますけど、絶対にしないかどうかは自信がありません。

占いを楽しんだり、困ったときの助けとして利用することと、それに依存することの間に、どんなボーダーラインを引けば良いのでしょうか。豚バラとハトのマネはヤバいということはわかりますけど、正直玄関に塩を盛ったことぐらいは私にもありますし、「塩を盛ったら仕事が来たー!」とか大喜びしてました。塩ぐらい、いいと思うんですよ。誰に迷惑をかけるわけじゃないし。でも、ハトのマネだって誰にも迷惑かけてるわけじゃない……。とりあえず「人に迷惑をかけるかどうか」をボーダーラインにするのは危険なようです。

占いやスピリチュアルって、少し元気がないときには絶大な効果を発揮しますが、本当に心の底から弱っているときには危険なものでもあると思います。言われたことが普段以上にグサグサ突き刺さってくるし、「自分の意志で行動してきて、こんなひどい状況になった」という気持ちが根底にあるので、「自分を信じられない状態」になりやすいのです。

私は、本当に弱っているときには占いやスピリチュアルに頼るのはあまりおすすめしません。私自身、弱っているときには、少しでもネガティブなことを言われたら影響されてしまいそうで、占いに行くのが少し怖いです。もしかするとハトのマネまでやりかねない部分が自分の中にあると感じるからこそ、この『闇金ウシジマくん』のエピソードを「怖い」と感じてしまうのかもしれません。実際読んでいると、この「先生」のスピ系の洗脳よりも、まゆみに近づく男が行う、理屈をうまく重ねて少しずつ追い込んでいく洗脳のほうが、ずっと恐ろしいのですが……。最低限、自分の考えや意志を持てる状態まで這い上がってからでないと、他人の意見にグラグラ揺さぶられる状態で何かを人に相談するのは、ちょっと危ないかも、と思います。

>>第4回「占いは女にとって、何!?」はこちら

雨宮まみ
雨宮まみ(あまみやまみ)
ライター。アダルト雑誌の編集を経て、フリーライターに。エロ、AVなどのジャンルから、女子の自意識問題や生きづらさなどについて、幅広く執筆中。雑誌『POPEYE』『音楽と人』などでコラムを連載中。webでの連載は『AV監督への33の質問』『ずっと独身でいるつもり?』など。
著書に、2013年ユーキャン新語・流行語大賞候補語「こじらせ女子」の語源となる『女子をこじらせて』のほか、『だって女子だもん!!』(ともにポット出版)

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