2015.03.19

「底辺生活から抜け出せない私」 雨宮まみの“穴の底でお待ちしています” 第20回

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穴の底でお待ちしています

誰にも言えない、けれど誰かに言いたい、そんな内緒の悩みやモヤモヤ、しょうもないグチからやりきれないつらさまで、穴を掘ってこっそり叫んでみたい気持ちを発散する、「感情の吹きだまり」……。そんな場所がこのコーナーです。あなたのやるせない気持ちを、安心してブチまけてみませんか? 雨宮まみが聞き手をつとめます。長文の投稿歓迎いたします。

(ぶぶぶ/20代後半/女性)
私のもやもやは、学生時代から社会人の現在までずっとスクールカーストの底辺のような暮らしから抜け出せないことと、そのための努力が出来ないこと、そのくせ自己顕示欲は人一倍あるということです。

自分は小さい頃からかなりの肥満で差別されてきました。普通だったら、痩せてきれいになろうと努力するのでしょうが、私は自分の姿を見ることが出来ず、きれいになること、女性らしくなることにすごく抵抗がありました。今ではその抵抗感はだいぶおさまってきましたが、同年代の女性と比べ、センスもなくもっさいです。
つらかったのに、見た目をまともにする努力はできませんでした。性格は内向的になる一方で、学生時代は良好な友人関係を築くのが難しかったです。できても、その友人もなかなか話してくれなかったり、クラスの中ではいつも蚊帳の外の状態でした。

唯一、絵を描いたりする趣味がありました。そのため受験時は美術大学をうけましたが、地方出身、経済的事情のため予備校に通えず(普通だったらこの時点でやばいと気づくはずですが、あまりにもコミュニケーションが取れなかったため情報を得ることができませんでした)、まったく的外れの努力をしてしまい、試験には歯が立たず、進学を断念、進路が決められないまま実家から通う就職の道を選びました(卒業した高校でこのような最悪のケースになったのは私一人しかいません……)。
当然新卒ではないし、普通科の高校だったので、フリーターをしながら簡単な資格を取ってやっと就けた仕事は3Kの作業所でした。仕事はまったく好きではなく、1年くらいで会社がつぶれたので、職歴も積めませんでした。そしてとろい私に苛立っていたのか、最後の出社日、同僚に「殺す」と言われてしまいました。

その後無職の時があったり、相変わらず正社員は3Kで続かなかったり、数回卵巣や子宮の手術をしたりして、今はパートです。
パートは定時に帰ることができるので、小物作りの趣味ができました。作った小物を休みの日に雑貨市へ売りに行ったりして、少し楽しみが増えましたが、今度はまた見た目のコンプレックスやディスプレイのセンスのなさに、すごく悩むようになりました。幼少から今までの自分磨きがうまくできていないため、ダサいものを作っているのではないか? と心配になるのです。
展示会の売り上げはまったくダメというわけではないですが、地方のため交通費がばかにならず、経費を考えると赤字です。また、収入が少ないためパートの掛け持ちをしなければならなくなり、元のきつい生活になってしまいました。変に自己顕示欲が強く、人から認められたい思いが強いので、そんなに得意ではない趣味にしがみついている状態です。
わずかながら貯金があるため、上京してもっと展示会に参加しようと思っているのですが、また受験の時の壮大な勘違いと同じことになって何も掴めず終わってしまうのではないかと思うと怖いです。

また一人暮らしをしても、見た目の差別で今よりも苦しい生活になるのではなかろうか、でも井の中の蛙になるのも嫌だともやもやしたり、過去の嫌なことが交錯したりします。学生時代からの底辺生活はうんざりです。

大人になって友人はできましたが、自分と同じように内向的な方が多いため、優しいのはありがたいけれど、正直、一緒にいてもあまり楽しくないです(行動力がなさすぎるのと、精神的に元気がない人が多いため)。
もちろん異性関係は今までありません。
もうすぐ30歳で人生が進まず、ずっとずっとずっともやもやしてます。

誰かに相談すると、そんなの自分が悪い、努力不足、結婚したらいい、なんて言われました。重々承知です、でも前に進めません。結婚は考えていません。変に自己顕示欲が強いので、こんなにへっぽこなのに自分にはまだ可能性があるのじゃないかとうっすら考えている自分にイライラします。

(※投稿内容を一部、読みやすいように編集させていただきました。)

春ですね。桜茶をお出しいたしましょう。見た目も美しいお茶ですね。甘いものがもたれるようなとき、ほんの少しの塩気のほうが身体に優しく感じたりしますよね。

実は、ぶぶぶさんの愚痴を夜遅くに読んで、私はそのあと寝たのですが、怖い夢を見ました。いいな、と思う男性が何人もいるのに、全員に話しかけてもものすごくつれない態度を取られ、アプローチするとかしないとか以前に結果が見えている状態で、一度話しかけるごとに自信のゲージがガンガン減っていって、最後、私は自分で自分の姿が見れなくなっていったのでした。起きてもう一度寝たら、今度は寂しさのあまり友人にべったり頼りすぎて、重すぎてうざったがられるという夢を見てしまいました……。

それらは過去に実際にあったことであり、今も「そうならないようにしよう」「そういう部分を見つめすぎて希望を失ってしまわないようにしよう」とか思っているだけで、変わらずに持っている不安でもあります。

ぶぶぶさんのもやもやは、いくつかのもやもやが絡み合い、三つ編みのようにきっちり編み込まれて一本になっているようです。劣等感があること、学校でも社会でもカーストの下に見られること、そして自己顕示欲を満たせないでいること、その三つが絡み合って「人生が進まない」という大きな一本のもやもやになっている気がします。

その大きな一本のもやもやの負の部分は「人生が進まない」なんですけど、同時に「人生を進めたい、今のままの自分じゃ嫌だ、変わりたい」という大きなエネルギーになっている、というのも感じます。

自信というものについて、私も長いこと考え続けていますが、それはやっぱり、自分が認められているとか、愛されているとか実感できる場所で育まれるものではないかと思うんですよね。だから、自然に得られる人は自然に自信があるし、自信がない人に「自信持ちなよ!」と言っても、それじゃダメだというか……。「殺す」なんて、ネットで見知らぬ人に言われるだけでもそこそこダメージあるのに、リアルで知人に言われて、自信を失わないほうがおかしいですよ。それで、なんとかして自分を認めたくて趣味をやって、何がいけないんでしょうか。はっきり言って何も悪くないですし、誰にも迷惑をかけていない。すごくまっとうな方向の努力をされていると思います。

不安や焦り、劣等感というのは、私は世間で思われているほど、悪いものだとは思わないんですよね。もちろん、それらが人の心を苦しめるものだというのは身に沁みてわかっていますが、そこから生まれてくる向上心もあると思うんです。ただ、この劣等感が強いと、自分が劣っているのでは、浮いているのでは、下に見られているのではということばかり気になって、楽しいはずの場所でも楽しめない、ということがよく起こります。ぶぶぶさんがこれまで過ごしてこられた学校生活、社会人生活がこのようなものだったとしたら、それは相当ストレスがあったことでしょう。そして今、趣味の世界でも、同じストレスを感じそうになっているのですよね。

思いきって行動をしてもなかなか何も変わらない、何も掴めない、虚しいから諦めたいけどこのまま終わるのも嫌だ……という気持ちが、よく伝わってきます。「学生時代からの底辺生活はうんざりです」という一言が、ずっしり重いです。

どういう行動をすれば人生が変わるのか、このまま趣味に賭けていいのか、そういうことに答えることはできません。人生でどの選択が正解なのか、誰にもわからないからです。

ただ、上京されるとしたら、「ここで何かを掴まなければ終わってしまう」という切迫した気持ちでは、また人の視線が気になって自分の悪いところばかりが目につき、つらさだけが残ってしまうのでは?と心配しています。どういったものを作られているかわかりませんが、東京には箱単位で場所を貸して個人の制作物を販売するスペースがけっこうあります。繊細なものを作る人もいれば、ダイナミックなものを作る人もいます。「自分にはセンスがないのかも」という気持ちでそうした人の作品の個性を見ても、「わー、こんなにいろんな人がいるんだ! 私は私でいいんだ!」と前向きな気持ちになれるのかなぁ、と思うんですよね。自分だったら、「こんなにいろんな人が自信を持って個性を打ち出しているのに、私は人の顔色ばっかりうかがってて、そもそも、ものを作るのなんて向いてないんだ……」と思ってしまいそうです。何かを掴むとか掴まないとかいう前に、上京自体がつらい思い出になってしまい、考えるのも嫌になりそうです。

私が思うのは、ぶぶぶさんとは逆のことです。もっと努力をしなきゃいけないんじゃなくて、もっとラクをしたほうがいいんじゃないか、ということです。こんなに自分に厳しく、つらくあたらなくてもいいんじゃないかと思うんですよね。自分に優しくしてくれる人、自分を認めてくれる人と会ったり、自分の作品を喜んでくれる人の声を聞いたり、自分がしていて楽しいと思えることをして、自分を見つめることからほんの少しの間でも逃れて、心を休ませることのほうが、大事なんじゃないかと思うんです。

上京すること、一人暮らしをすること、美しくなる努力をすること、どれもすごく前向きな考えですよね。そしてどれも、少し勇気が要ることだと思います。もし、「やってみたけど、あまり何も変わらなかったなぁ、失敗だったかもしれない」とお思いになったときに、あまり落ち込んでほしくないのです。上京や一人暮らしをすること、美しく見せる工夫をすること自体が、新鮮で面白くて、失敗はあっても「やって良かったな」と思えるものであってほしいんですよね。

私にとって、長い間、変化は苦痛でしたし、今でもおしゃれな人しかいない空間や、美しい人しかいない空間、センスのいい人しかいない空間に行って、人と自分を比べて激しく落ち込み、「もっとちゃんとしなきゃ!」と急き立てられるようにしてする努力は、ちっとも楽しくありません。何を買っても何をしても満たされないし、何にも変わってないように思えて、もっともっとがんばらなきゃ、でも知識もなければセンスもないし、何より自分自身がこんなだからダメなんだと思ってしまいます。そして、そんな気持ちにしかなれないのに、お金や時間をつぎこんだ自分の馬鹿さにますます落ち込むのです。変わろうと思っても、それが失敗に終わる不安ばかりが追いかけてきます。

きれいになれば、自信を持てれば、そんな気持ちになることはなくなるのでしょうか? 私は、ずっとあると思うんです。どんなにきれいになっても、それよりきれいな人しかいない空間は必ずあります。自分より才能がある人、実力がある人、頭の良い人、センスの良い人……いくらでもいます。でも、そういう人と接するたびに落ち込む自分が私は嫌でしょうがなかったです。そんな素敵な人と出会えて嬉しいと純粋に思えないこと、学ぶべきことや取り入れられることがたくさんあるのに、つらい気持ちでいっぱいになって、大事なものが見えないこと、素敵な人のことを素直に好きになれないことが、とてもつらかったです。

周りにどう思われるかとびくびくしている状態で、何かを楽しむなんて、無理です。何か大きなきっかけがあって変われれば、その不安が消えてなくなって急に楽しくなる、というわけじゃなくて、私は「楽しめた」という体験をまずすることが大事だと思います。「自分は楽しむことができない人間なのだ」という思い込みをやめることができれば、失敗しても「今日はちょっと緊張しちゃったな」「自分らしくいられなかったな」と思う程度で済ませられます。

楽しめと言われても、楽しくないから愚痴言ってるのにさぁ……って思いますよね。ですよねー。ただ、ぶぶぶさんが今、自分のマイナス面として捉えられている「これまでスクールカーストで下位に位置づけられてきた」ことや、「自己顕示欲が強い」ことは、別に背負っていかなければならない罪でもなんでもないし、そんなことを後ろめたく思う必要なんてないです。自己顕示欲が強いことの、何がいけないのですか? 誰だってほめられたいし、認められたいものではないでしょうか。スクールカーストで下にいたことが何でしょうか。上にいて誰かをいじめていたことのほうが、ずっと恥ずかしいことではないですか。

誰もぶぶぶさんを悪いと責めていません。「殺すぞ」なんて、言うほうが悪い。自分で自分を責めるのをやめてください。やめられないなら、ときどき自分ではなく、別のものに興味を持って没頭して、一瞬自分のことを忘れて、心を休めてください。小説を読むのでも、映画を観るのでも、趣味に集中するのでもなんでもいいです。自分って、見つめても見つめてもなかなか答えが出ないものなんですよね。そして自分を見つめていると、「自分のどこかが悪いからこうなったんだ」と、自分にばかり原因を探してしまう。まったく自分を責めずに何でも周りのせいにする人もそれはそれでどうかと思いますけど、自分に原因を探すと、欠点のない人なんていないわけで、必ず悪いところをクローズアップで見るはめになってしまうんです。そんなことに正気で耐えて生きていける人がそんなに多いとは、私は思いません。

何かをすることではなく、自分を責めるのをやめることが、大事なことではないかと思います。何も禁じられていないし、ぶぶぶさんのしようとしていることで、間違っていることも悪いこともないですよ。安心して何かやってみてください。「やってみる」ことよりも、「安心して」やることが大事なんだと、なんとなく覚えていてもらえると嬉しいです。心の底から楽しいな、と思えるとき、人は自分がどう見られるかなんて忘れています。そんな瞬間が訪れるよう、祈っています。



みなさまの愚痴を、雨宮まみが「穴の底」にてお待ちしております。長文大歓迎!
恋愛相手の愚痴も、職場環境にまつわる愚痴も、誰にも言えない愚痴も、「スポーツジムのおじさんの汗がキモイ…」みたいなしょうもない愚痴も、なんでもござれ。大なり小なり吐き出して気を楽にしませんか?
「どうしたらいいでしょう?」のような相談は受け付けておりません。ごめんなさい。


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雨宮まみ
雨宮まみ(あまみやまみ)
ライター。アダルト雑誌の編集を経て、フリーライターに。女性の自意識との葛藤や生きづらさなどについて幅広く執筆。女性性とうまくつきあえなかった頃を描いた自伝的エッセイ『女子をこじらせて』出版後、「こじらせ女子」がブームとなる。他の著書に対談集『だって、女子だもん!!』(ポット出版)、『ずっと独身でいるつもり?』(KKベストセラーズ)、『女の子よ銃を取れ』(平凡社)、『タカラヅカ・ハンドブック』
(新潮社)など。

「キレイになりたい!」と言えないあなたに。

『女の子よ銃を取れ』

他人の視線にビクビクしたくない、自分らしく堂々としていたい、かわいい、キレイと言われてみたい……そう思っていてもどうすればいいのかわからないし、「キレイ」への道が怖くてたまらない。
キラキラした「キレイになりたい」本を手に取ることすら怖いと感じるくらい、「キレイ」が重荷になっている人のための、自意識や他人の視線、自分の視線を解きほぐす本です。

雨宮さんより一言:
何をしても、何を買ってもうまくいかない、変われないしパッとしない……。そんな悩みは、本当は多くの人が持っています。それ以前に何をすれば、何を買えばいいのかもわからない人だってたくさんいます。この間まではわかっていたのに、急にわからなくなってしまった人も。そんなときに、自分を取り戻し、新しい自分を作り上げるヒントや、気持ちの持ち方の軸のようなものがあればいいなと思って書きました。落ち込んだときのおともにしていただけると嬉しいです。

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