2015.01.22

「10年経つのにまだ恋愛できない」 雨宮まみの“穴の底でお待ちしています” 第16回

Loading

穴の底でお待ちしています

誰にも言えない、けれど誰かに言いたい、そんな内緒の悩みやモヤモヤ、しょうもないグチからやりきれないつらさまで、穴を掘ってこっそり叫んでみたい気持ちを発散する、「感情の吹きだまり」……。そんな場所がこのコーナーです。あなたのやるせない気持ちを、安心してブチまけてみませんか? 雨宮まみが聞き手をつとめます。長文の投稿歓迎いたします。

(トリ/女性/40代)
恋愛ができません。 心の動く異性に出会いません。とてもさびしいし、誰かに甘えたいし、誰かを大切にしたいけれど、見つかりません。
あっ、この人いい感じだな、と思ってもこの年代だと大抵は結婚しているか、ステディな恋人がいます。だいたいその恋人も素敵な人で、こういう恋人がいるから素敵に見えるのかも、と思ったりします。年下でも気にしませんが、恋愛対象には入れてもらえていないようです。
積極的に出会いを求めて行動していないのも原因かもしれませんが、少ないながらも気のおけない友だちには「引退してるオーラ出しすぎ」「スキがなさすぎ」などと言われます。 見た目はそこそこだと思います。童顔なので30代には見えます。話は面白い方だと思います。ちょっと無神経なところがあるかもしれません。ものすごくおセンチなところがあるので、できるだけ理性的に振る舞うように気をつけています。

21歳から付き合った男性と30歳で結婚しました。わたしにとって理想の結婚とは空気のような、静かで長いパートナーシップでしたから、淡白な関係に不満はありませんでした。ふたりとも安定していてかつ熱意をもって取り組める仕事に就いていましたし、このままこの人と歳を取っていくんだなあと思っていました。
でも彼はちょっと子供っぽいというか、ちょっと身勝手で、めんどくさいことを、本当にまずい事態になるまで放置することがありました。私がそれを指摘すると、「じゃあ君がやって」と言ったり、不機嫌になって黙ったりしました。
セックスは、最初からあまりしませんでした。わたしはちょっと神経質であまり得意ではなかったから。わたしはそれについて一緒に考えたり、なんだったらカウンセリングを受けたりしたかったのですが、彼は、それは私個人の問題としか捉えなかったようで、ふーん、まあ無理にしなくていいから、と言うだけでした。
彼は子供が欲しかったようですが、きっとこのままでは子育てを押し付けられる、と思うと余計にセックスをしたくなくなりました。

3年目に彼の浮気が発覚しました。というより告白されました。夜中に帰ってきて「デートの現場を彼女の友だち(彼が既婚者であることを知っている)に見られてしまい、彼女がすごくショックを受けているので今から彼女の家に行かせてくれ」と泣いて訴えられました。 ここで彼の後回し、甘え体質が盛大に発揮され、第三者を入れての話合いも、なにもかもが成立しませんでした。どうしても自分の否を認めたくないらしく、わたしがセックスをさせないからだ、とか口やかましいから、とかいろいろ言われました。相手の女の子からも罵倒メールがきました。
わたしは告白されるまで、様子はおかしいけれど浮気だとは全く考えていなかったのでものすごくショックで、毎日泣いて泣いて、体重も40kgを切りそうなぐらいまで痩せてフラフラでした。なのに、この状況はもう仕方がないのだから受け入れろ、と言われ続けて気が狂いそうでした。

結局相場より高い慰謝料を提示し、それを支払わせることで離婚しました。ちなみに彼は貯金もできない人だったので、親族が出してくれたようです。たぶん今でも反省はしていないと思います。その浮気相手(Aとします)以外にも付き合っている女がいたらしく、そのことでAに泣きの電話を入れられたり、とにかく尻拭いをさせられました。結局お母さんみたいな人でいて欲しかったんでしょうね。今はまったく別の人と結婚し、出世もし(最初の浮気がバレていたらキャリアは台無しになったと思います)、子供も生まれて幸せに暮らしているようです。書き出してみると、とってもダメな男ですし、実際未練もないので、とっとと忘れて先に進めば、と自分でも思います。
もちろん彼には彼バージョンの物語があるのでしょうが、それは今の私には関係ありません。 離婚後にすこし狂った恋愛が1度、片思いが2度ありました。いずれも成就せず、相手の男性はみな結婚して幸せに暮らしています。離婚後10年近くになるのに、まだ立ち直れていない自分が嫌になります。 人生に孤独は必要ですが、いまは孤独しかなく、だったら自分でカタがつけられるうちに死のうかと思います。

(※投稿内容を一部、読みやすいように編集させていただきました。)

期せずして「死のうかと思います」的な愚痴が続いている当コーナーですが、特にそういうコーナーではありませんので、死を考えるほどでもない愚痴も気軽に投稿してくださいね! とことわりを入れつつ、さぁ、何をお出ししましょうかねぇ。最近アウトレットのお店で薩摩切子のグラスを仕入れてきましたので、香りがふわっとくる日本酒でもお注ぎしましょうか。

「恋愛ができない」という愚痴は、非常に多いです。トリさんの愚痴がありふれたものであると言いたいわけではありませんが、ほんとに多いんです。みなさん「恋愛がしたくないわけではない」「むしろしたい」「がんばっている」、だけど「できない」。いいかな、と思う相手がいても片想いで終わるとか、ふられてしまうとか、トリさんのおっしゃるようにすでにお相手が他にいるとか、そういうパターンで、このままずっと成就する恋愛を経験せずに過ごすしかないのか!? と焦りと寂しさを抱えてらっしゃる方の愚痴が、たくさん寄せられています。

包み隠さず申し上げますと、私も似たような気持ちを持っています。「この人だ!」と思うほど好きになれる相手とは、なかなかめぐり会えず、やっとめぐり会えたときには、良い方へ向かうように行動するのですが、うまくいかず……。

人のことなら、「相性やタイミングってあるから、あなたが悪いわけじゃなくて、ただ合わなかっただけだよ」と言いきれますが、自分のそういう体験は、思いのほか深い傷になります。頭では違うとわかっていても、私の見た目が彼の好みとは違ってたんだ、いや、性格が違ってたんだ、私という人間そのものが、彼にとっては必要のないものだったんだ、と思います。だって、「一緒にいたい」とは思ってもらえなかったんですから。そして、これまでふられてきたことを思い出し、「ああ、自分は、愛される才能や資格がない人間なのかもしれない」なんて、考えても仕方のないことを考えてしまうのです。

トリさんが、「恋愛ができない」と言いつつ、文章の半分以上を過去の結婚の失敗談に費やされていることも、私のそうした気持ちに近いものではないかと思います。昔の旦那さんにひどい目に遭わされたことを忘れられないのは、旦那さんに未練があるからではなくて、「私はそんな扱いを受けるような、大事にされない人間なのだろうか」という思いが、どこかにあるからではないでしょうか。

「恋愛ができない」と言う人間に対し、人が投げかける言葉は決まっています。「出会わなければ恋愛なんかできないに決まってる」「こういうところ(外見的、内面的な特徴)が恋愛向きじゃない/男受けが悪いんじゃない?」。こうした問いを、私はほとんど内面化しています。恋愛できない理由は、自分が出会いを積極的に求めていないせい、異性を喜ばせようとする努力が足りないせい、だから恋愛ができないなんていう愚痴は言うべきではない、努力もしていないんだから、と、ついつい結論まで出してしまいます。

けれど、こういうことに慣れてしまうとどういうことになるか。「努力をしていないから恋愛ができなくて当たり前」と思い続けるとどうなるか。そうすることで起きるのは、「自分が普通にしていて、誰かから好かれるなんてことはあり得ない」という気持ちを、心の底に植え付け、育んでしまう、ということです。

もちろん私にも世間的な常識はありますから、40歳前後で出会いも求めずに恋愛に至ることが難しいことぐらいわかります。実際に経験してもいます。でも、今恋愛ができていないこと、積極的な気持ちになれないこと、ピンと来る人に出会えないことと、「自分は人から愛される人間ではない」ということは、イコールでは決してありません。

過去に愛されなかった、ないがしろにされた、ということも、「自分は人から愛される人間ではない」ということとイコールにはなりません。過去にひどい目に遭ったことから、自分の男を見る目に自信をなくしてしまう人もいますが、これも同じようなことだと思います。恋愛できない原因、理由を自分に求め、それに適合するような事実を、自分の過去から掘り出してきてしまうのです。

恋愛ができている人を見ていると、恋愛をしているがゆえに自分とも相手とも向き合わざるを得ないですし、それなりのまた別の悩みがあったりもしますが、自分に「愛される資格がない」とか、「ここがダメだから自分はダメだ」というような、ダメ出しのような考え方をしていないな、とよく感じます。それは、傲慢だとか自信満々だとかいうこととは違っていて、誰にでも欠点があるのだから、自分の欠点を大きな引け目としては捉えていないということのように、私には見えます。

人の短所と長所は、表裏一体です。トリさんは「ものすごくおセンチなところがある」というのを、おそらくはご自分の年齢を考えて、あまり良くない部分だと捉えて隠そうとされているようですが、身近な人から見れば、そこはトリさんのとてもかわいらしい部分なのではないでしょうか。

恋愛が下手な私の意見は、あまり参考にならないかもしれませんが、恋愛は何もない平面からは生まれません。欠点のないように、ないようにと気を遣って地面を平らにならしても仕方がなくて、人はすごい欠点を持った人の穴に落ちるように恋をしたり、高い高い山に登るようにして恋をしたりします。穏やかな恋愛がいい、となだらかな丘を求める人もいますが、何もない平面であることは、相手が人間である以上あり得ませんし、平面であろうとすることに意味はあまりないと私は思っています。

私は恋愛のことを考えると、ときどき絶望的な気持ちになりますし、年々、好きになれる人の数は減っていきつつも、それでも好きになる人というのはそれはもう相当、自分の中では世界でいちばんぐらい素敵な人なわけですから、だめになるとすごくがっかりしますし、引きずります。「こないだのあの人、どうなったの?」「最近、彼氏いるの?」と聞かれただけで、涙が出そうになったりします。この程度の受け答えを普通にできないなんて、と、自分に苛立ったりもします。

恋愛は、それが不得意な人間にとっては、なかなかやっかいなものですが、そのやっかいさは、ちょっとした得意/不得意によるものだと私は思います。惚れっぽいとか、惚れっぽくないとかもありますし、年齢が上になるにつれ、なかなかときめきにくくなるというのもある気がします。チャンスを逃している原因や、自分の悪いクセがあるならそれを直そうとするのは大事なことだと思いますが、寂しさや孤独感から自分を責めてしまうのは、いちばん良くないことです。

自分を責めていると、そこを責める人が寄ってくるんですよね。「あなたはこういうところがあるから愛されないんだ」って、そこを責めに責めながら、好き勝手して去っていく。トリさんの元の旦那さんは、ちょっとそういうところのある人だったのではないでしょうか。トリさんにこんなひどいことをしておいて(トリさんはフェアに「彼には彼バージョンの物語がある」と書かれていますが)、のうのうと幸せそうに生きているのも、引きずってしまう原因かもしれません。「あの人は幸せになれているから、悪くないんじゃないか」「幸せになれていない私に問題があったんじゃないか」と、因果応報的に考えてしまう。

因果応報って、ないんですよ。言い切りますけど、ないです。ひどいことして、普通に、何にも失わずに生きてる人、いっぱいいます。逆にすごく優しくて何も悪いことなんかしてない人が、ひどい目に遭うこともある。だから、前の旦那さんが正しかったわけでも、トリさんが間違ってたわけでもないし、トリさんはそんなことを考えなくても良くて、ただ自分が負った傷がまだ痛んでいる、という事実を知っているだけで十分なのではないでしょうか。

恨む気持ちや憎しみが残っている場合も、けっこうひきずったりしますが、それは新たな恋愛への障害にはなりません。だから、むかつく! とか、元旦那この野郎! とかたまにむしゃくしゃしながらも、「そのせいで恋愛ができないのでは」とは、考えなくてもいいと思います。むしろそういう感情の凹凸が、人を惹き付けるフックになったりしますから、恋愛というのは本当にわけのわからない世界です。だって、トリさんの元旦那さんのような人が、何度も結婚相手に出会えていたりするわけですしね。

いちばん難しいことですが、恋愛に対しては、思いつめることがいちばんダメなような気が私はしています。いや~、思いつめたいですよね! 自分を責めて責めて、思いっきり責め倒してスッキリしたい! 私なんかダメなんだ、もう恋愛なんて向いてないんだと絶望してきれいさっぱり諦めたい! 私はそう思ったりもしますが、まだ諦めきれない気持ちもあります。「スキがない」どころじゃないことを言われたり、年齢的にも、恋愛の才能的にも「もうダメなのかも」と思うことはありますが、ぐっと踏ん張って、恋愛に対して、これから出会う人に対して、ふわっと期待する気持ちを持っていたいんです。

恋愛に限った話ではなく、「もう自分には無理」と思ってしまったら何もできないですよね。そして「絶対にこれをしなければ」と思ってしまったら、今度は楽しくならない。不確定な要素ばかりの人生と、不確定な要素ばかりの恋愛は、似ています。そんな状況の中でできるのは、自力で工夫して楽しみを作り出すことだけだと私は思います。


みなさまの愚痴を、雨宮まみが「穴の底」にてお待ちしております。長文大歓迎!
恋愛相手の愚痴も、職場環境にまつわる愚痴も、誰にも言えない愚痴も、「スポーツジムのおじさんの汗がキモイ…」みたいなしょうもない愚痴も、なんでもござれ。大なり小なり吐き出して気を楽にしませんか?
「どうしたらいいでしょう?」のような相談は受け付けておりません。ごめんなさい。


>>穴の底でお待ちしています 目次ページへ

雨宮まみ
雨宮まみ(あまみやまみ)
ライター。アダルト雑誌の編集を経て、フリーライターに。女性の自意識との葛藤や生きづらさなどについて幅広く執筆。女性性とうまくつきあえなかった頃を描いた自伝的エッセイ『女子をこじらせて』出版後、「こじらせ女子」がブームとなる。他の著書に対談集『だって、女子だもん!!』(ポット出版)、『ずっと独身でいるつもり?』(KKベストセラーズ)、『女の子よ銃を取れ』(平凡社)、『タカラヅカ・ハンドブック』
(新潮社)など。

「キレイになりたい!」と言えないあなたに。

『女の子よ銃を取れ』

他人の視線にビクビクしたくない、自分らしく堂々としていたい、かわいい、キレイと言われてみたい……そう思っていてもどうすればいいのかわからないし、「キレイ」への道が怖くてたまらない。
キラキラした「キレイになりたい」本を手に取ることすら怖いと感じるくらい、「キレイ」が重荷になっている人のための、自意識や他人の視線、自分の視線を解きほぐす本です。

雨宮さんより一言:
何をしても、何を買ってもうまくいかない、変われないしパッとしない……。そんな悩みは、本当は多くの人が持っています。それ以前に何をすれば、何を買えばいいのかもわからない人だってたくさんいます。この間まではわかっていたのに、急にわからなくなってしまった人も。そんなときに、自分を取り戻し、新しい自分を作り上げるヒントや、気持ちの持ち方の軸のようなものがあればいいなと思って書きました。落ち込んだときのおともにしていただけると嬉しいです。

試し読みはコチラ


 【PR】 

この記事の関連キーワード

【PR】

今日の恋愛予報 12星座ランキング

ランキング

人気のキーワード

  • cocolonitv
  • LINE@
  • 恋愛酒場“泣きっ面にヒロシ”
  • 石井ゆかり 2017年上半期の占い
  • 石井ゆかり 12星座別今週の占い
  • 誕生日占いパレット
  • 相性占い特集
  • タロット占い特集