2016.08.19

「恋愛偏差値が低すぎて、このまま歳を取っていくのが怖い」雨宮まみの“穴の底でお待ちしています” 第38回

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穴の底でお待ちしています

誰にも言えない、けれど誰かに言いたい、そんな内緒の悩みやモヤモヤ、しょうもないグチからやりきれないつらさまで、穴を掘ってこっそり叫んでみたい気持ちを発散する、「感情の吹きだまり」……。そんな場所がこのコーナーです。あなたのやるせない気持ちを、安心してブチまけてみませんか? 雨宮まみが聞き手をつとめます。長文の投稿歓迎いたします。

(はる/40代/女性)

私はこれまでまともな恋愛をしないまま45歳になってしまった独身女です。10代の頃から片思い専門、20歳を過ぎても好きになるのは彼女持ちか妻帯者ばかりで、恋愛関係になれば不倫だったり、いわゆるステディー(って今言うのかな)な彼がいたことがない。もちろんフリーの男性を好きになったこともありますが、そういう人は意思表示をしても全くと言っていいほど振り向いてくれないし、自分を好いてくれる希少な人のことは好きになれない。結局男性と向き合うのが怖かったのかもしれません。

そんなこんなを繰り返していたら、あっという間にこの歳になってしまいました。なのに懲りもせず、またも彼女持ちの4歳上の男性に5年も片思いしていたのですが、最近5歳年下の男友達(彼はフリーです)が気になり始めました。それも酔って頭を撫でられただけであっという間に意識してしまった中学生並みのきっかけです。複数でよく飲みに行くものの、2人っきりは経験がないので、ライブに誘ってみたりしてますが、イマイチ反応が悪く、あまりグイグイ行くのはさすがに怖がられそうで、メールで軽くやり取りするのが精一杯です。

まだ何も起こってないのに、初婚の彼に子供も望めないであろう私なんて……と二の足を踏む始末。とにかく恋愛偏差値が低すぎて、このまま歳を取っていくのがさすがに怖くなっています。若い頃にその能力のなさを見抜いていた親のいうことを聞いて、お見合いしていたら……と今更思ったりもします。

少し話は変わりますが、私には若い頃から大好きなミュージシャンがいます。ですが、何だか周りの目が気になるというか、きっと独女が寂しく疑似恋愛してる風に思われるんだろうな、とか卑屈になってしまいます。実際、その人の存在は今や生きる支えだったりするのですが、実生活で恋愛をしたくなかったわけではないので、そう思われるのは不本意とばかりにファンであることを隠してしまったり。

仕事でも持っていればまだ救われるのかもですが、これと言った能力もなく、小さな会社の事務をやってます。とにかく薄給で貯金もあまりできず、本気で老後が怖いのに、他に何ができるのだろうと考えてばかりで行動に移せず落ち込みます。今の自分にはたくさんの楽しい友達がいて、人には恵まれているし、幸い両親も健在で平穏な暮らしができています。それに好きなミュージシャンがいて、たくさんの感動、いろんな刺激ももらえる。恋愛以外で心が満たされることは多々あるのに、贅沢を言ってるのかなとも思います。

それでも、なぜ私は普通の恋愛、普通の結婚ができなかったのだろう、と真っ当な人生を歩む周りの人たちを羨ましく思うことも事実です。ただ真面目に生きてきたつもりなのに、あのルートには乗れなかった。どうして私にはドラマが起こらないの? とすら思う。いい歳してまだ夢を見ているのでしょうかね。早くいろんなことを諦めて、楽になれたらいいのに。

あぁ、たくさん愚痴りました。お目汚し失礼しました。読んでいただき、ありがとうございました。

(※投稿内容を一部、読みやすいように編集させていただきました。)

さぁ、今日はドラマチックな飲み物をご用意しましょうか。私もつい最近初めて知った飲み物なんですが、マスクメロンを半分に割って種のところをくり抜いて、そこにお酒を注いで飲むというやつです。シャンパンでもいいし、ブランデーでもいいんですけど、シャンパンのほうがドラマチックな感じがするのでシャンパンでも抜きますね。はい、コルク飛ぶんで気をつけて!

まともな恋愛って何でしょうね。私も、お互い好きになって彼氏と彼女と呼び合える関係になって……という恋愛は、実は片手で数えるほどしかしたことがありません。自分は好きでも、相手はこっちをなんとも思ってなかったり、二股やそれ以上の股をかけられていたり、そりゃあまぁいろいろありました。死ぬほど好きで、考えに考えて作戦立ててアプローチしてもまったく響かなかったり、一人相撲の末の失恋って本当にわびしいですよね……。「つきあってて別れた」っていうほうがつらいんだろうなと思いつつ、その状態ですらうらやましい! と思ったことも一度や二度ではありません。

まず、細かいことからいきますけど、好きなミュージシャンがいることは隠さなくていいと思います。私の世代の女はよく「独身女が猫を飼ったら終わりだ」と言い伝えられてきましたが(きっとはるさんもお聞きになったことがあるかと思います)、「いや、30過ぎたら逆に猫ぐらい飼ってるほうが余裕ある感じで良くない?」という結論に達したことがあります。

例えば私は宝塚が好きで、もちろんそのことに対して「寂しい独身女が宝塚に逃避してる」と周囲から思われることもありますが、好きだと言ったことで女性だけでなく男性の宝塚ファンとも話せるきっかけができたり、「そんなに夢中になれて、感動できるものがあっていいな」みたいなことを言われることもあります。「こんなことしてたら寂しい独身女だと思われるんじゃないか」と独身女が思うことは、ほとんど逆で、趣味や好きなものに囲まれてて、なんだか楽しそう、っていうほうがずっといいと私は思います。取り立てて言いふらすこともないでしょうけど、隠すこともないと思うんです。

ちょっとつながってくる話ですが、人は人の長所を好きになるわけじゃなくて、欠点とか、普段のその人のちゃんとしてるところとだめな部分の落差に心を動かされることもあるんです。よく「スキを見せる」なんて言いますけど、それって酔っ払って持ち帰られろみたいな話じゃなくて、自分のちょっと恥ずかしいかなと思う、でも本質的な部分に関わることを、大事な人にいかにそっと打ち明けられるか、みたいな話なんじゃないかと最近は思うようになってきました。

恋愛偏差値が同じく低い私に、恋愛についてのアドバイスができるはずもありませんが、恋愛偏差値が低いということに一度バシッと向き合ってみるのも面白いですよ。私は35歳ぐらいのときに、やっぱり「このままではだめだ!」と思って、恋愛偏差値の高い知人(男女一名ずつ)にお願いして相談に乗ってもらい、「何着ればいい?」「アクセサリーは?」「こういう話はしていいの?」「こういうところがダメってはっきり言って!」などと頼み込んで、いろいろ言ってもらったことがありました。

「どうしたら本命になれるの?」「大事にされる女の子になれるの?」「対等につきあってもらえる相手になれるの?」みたいなことも訊きました。こういうとき、たいていは「自信を持て」というのが答えになるんですが……だいたいは持てないから困ってるわけで……。でも、形から入ることはできるんです。自信はなくても、自信のあるふうな装いはできるし、余裕がなくても、余裕のありそうなファッションもできる。外側を変えて、態度を演技でもいいから多少変えて、過剰な謙遜を減らして、そうしているうちに周囲がはるさんのことを「自信や余裕のある人」と認識し始めたら、そのように扱われ、そのように扱われるうちに本当に自分の意識が変わっていく、みたいなこともあります。

とりあえず、これまでまともな恋愛ができなかった、これまで男に振り向いてもらえなかった、だから私はそういう人間なんだ、と思うことを今すぐやめてください。これまでが何だっていうんですか? 今、はるさんは男の人と向き合おうとしていて、一番苦手で怖かった恋愛という課題に向き合おうとしてるじゃないですか。その姿勢だけでも、私はもう最高に凛々しいと思うし、かっこいいと思うし、いいと思うんです。

勇気のある人が、いつでもいちばん美しくて、輝いてるんですよ。自分で自分の限界を打ち破ろうとしたり、欠点を乗り越えようとしたり、そういうのってもちろん無様な失敗や、ふとんにもぐりこみたくなるような恥ずかしい思いもついて回ったりしますけど、それでもやる価値があると私は思います。「私は恋愛偏差値が低いからー」って愚痴り続ける人生よりも、「あれもこれもやってみたけどこんな失敗もしちゃってさー」って笑って話せる人生のほうが、ずっといいと思いませんか? それらの失敗を笑って話せるようになる頃、はるさんの器は今よりもひと回りもふた回りも大きくなっているはずです。

人並みでなくていいから、今の自分にできることを考えて、やってみてください。一ヶ月に一万円の天引き積立貯金でもいいし、髪型やメイクや服装を変えることでもいい。回りの恋愛上手な人に聞き込み調査をすることでもいいし、今の状況を話して、次に打つ手を相談することでもいいです。はるさんが、変わろうとしていること、人に対して開いていこうとする姿勢は、必ず伝わります。本当に些細な変化でも、それがいずれは大きな変化になっていきます。私みたいな恋愛下手がこうして偉そうに人に恋愛の話をしているのも、そういうことです。些細な変化が大きな変化になって、こんなことになっているのです。

本当はもっと恋愛上手な人からバシッとアドバイスしてあげてほしい……と思わずにはいられませんが、最初の一歩を、はるさんはもう踏み出しています。あとは、恐れず歩き続けるだけです。ドラマはこれからです。

人は誰でも魅力を持っています。私は昔、この言葉を綺麗事だと思っていました。でも、宝塚や女子プロレスを見ているうちに、真実だと思うようになりました。誰でも魅力は持っている。ただ、それを発揮できるかどうかという問題はあるんです。はるさんは、まだ自分の魅力をうまく出せてないだけなんじゃないでしょうか。5歳年下程度の歳の差になんか怯えないでください。その歳の差をバカにするような相手だったら、その人がその程度の人間だったっていうだけのことです。ま、押してダメならしばらく音信不通にしてみるのも手だと思いますけど……すごい普通のモテ本に書いてあるようなこと言ってますが、こういう原則ってわりと変わらないんですよね。ということで、健闘をお祈りしますし、今後のはるさんの人生が、パーッと花開いていくようなものであるよう、ささやかながらお祈りしております。



みなさまの愚痴を、雨宮まみが「穴の底」にてお待ちしております。長文大歓迎!
恋愛相手の愚痴も、職場環境にまつわる愚痴も、誰にも言えない愚痴も、「スポーツジムのおじさんの汗がキモイ…」みたいなしょうもない愚痴も、なんでもござれ。大なり小なり吐き出して気を楽にしませんか?
「どうしたらいいでしょう?」のような相談は受け付けておりません。ごめんなさい。


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雨宮まみ
雨宮まみ(あまみやまみ)
ライター。AV雑誌での執筆を経て、女性性とうまく向き合えない生きづらさを書いた自伝的エッセイ『女子をこじらせて』 (ポット出版)で書籍デビュー。以後、エッセイを中心に書評などカルチャー系の分野でも執筆。近著に『東京を生きる』(大和書房)、『自信のない部屋へようこそ』(ワニブックス)など。

「穴の底でお待ちしています」が、ついに本になりました!

『まじめに生きるって損ですか?』


鮮烈なデビュー作『女子をこじらせて』から5年。 対談集『だって、女子だもん!!』から4年。 雨宮まみが、今度は、崖っぷちに立つ女子たちの愚痴を真っ向から受け止めます。
彼氏ができないのは「努力が足りないから」だと言われ続け、「努力っていったい何なんだよ !?!?」と吐き出す20代後半の女性。 家事も子育て、さらには仕事も完璧にこなしているのに、夫から愛されない。「もう頑張れない」とつぶやく30代後半の女性。 小沢健二似の美しい元彼との恋愛でズタズタになっても、やっぱり「美しい人」に惹かれてしまう20代前半の女性。
努力、恋愛、見た目、生き方──、20代、30代の女子たちが抱える人生の愚痴15編。

雨宮さんより一言:
ただの悩みなら自分で解決してるし、人に解決してもらえるようなことなら最初から悩まないよなぁ、という思いから始まったのが、この「穴の底でお待ちしています」という、ただ人の愚痴を聞く連載でした。そこから生まれたのがこの本です。
始めてみると、人の愚痴には、本当に解決しづらい問題や、社会の構図まで含まれているよううなところがあって、しかもみんなただ愚痴っているわけじゃなくて、がんばりにがんばり抜いた末に愚痴っていたりして、だんだん「これって世の中のほうが間違ってるんじゃないですか?」という気持ちになってくることもありました。
正しい人が救われるとは限らない世の中だからこそ、読んでほしい本です。

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