2014.04.17

「大嫌いな女友達」 雨宮まみの“穴の底でお待ちしています” 第3回

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穴の底でお待ちしています

誰にも言えない、けれど誰かに言いたい、そんな内緒の悩みやモヤモヤ、しょうもないグチからやりきれないつらさまで、穴を掘ってこっそり叫んでみたい気持ちを発散する、「感情の吹きだまり」……。そんな場所がこのコーナーです。あなたのやるせない気持ちを、安心してブチまけてみませんか? 雨宮まみが聞き手をつとめます。長文の投稿歓迎いたします。

(ひよこクラブさん/20代後半の愚痴)
 わたしには死ぬほど大キライな女友達がいます。表面上は仲良く、共通の友人も多いです。 ですが、何をされたわけでもないのにその子のことが嫌いで嫌いで、憎しみさえ湧き出てきます。その子がなにもかもうまくいかず不幸になればいいともおもってしまいます。

 彼女は、とても可愛くスタイルもバツグンです。では、わたしは容姿に嫉妬をしているのか? と考えたのですが、他にも友人でその子より容姿が優れてる、もしくは同等の女友達もいるのですが、純粋に大好きという感情しかわきませんしわたしは基本的に可愛い女の子が好きです。

 そこで自分なりに考えた結果、『寂しがりやだけど強がりで恋愛ベタ、天然、自分に自信がない、頑張り屋さん』という性格を気取っているけど、本当は『自己顕示欲が強く計算高くてプライドが高い、常に中心にいてちやほやされたい、わたしを含め周りの女友達を見下している、(と、わたしが勝手に感じているだけですが)、そしてそれらを完璧に隠せていてまわりの誰1人としてそれに気づかない』という所に猛烈な苛立ちを感じているんだと思います。

 勝手な妄想だろうと言われればそれまでなんですが、なんで誰も気づかない? 本当にあの子がいいこだと思ってるの~!? と叫びだしたい気持ちになります。

 なにより許せないのは、その子の行動に常に目を光らせ、SNS上に何かアップしようものならすぐさまチェックし、アラ探しをしてイライラ、などといちいちその子のことが気になってしまい、一緒に遊んだり仲良くしている(むしろ関係を縮めてさえいる)自分自身です。 自分でも一体何がしたいのかさっぱりわからないです。 嫌いなら距離をおけばすむ話なのに、どうしてもそれができない。 早くこの呪縛から逃れて楽になりたいもんです。。

 擬態が上手い女友達へのモヤモヤした気持ちが抑えきれない……。本当は拡声器でも持って、友達全員が集まったバーベキューの席とかで「こいつは本当はこんな女じゃないんですよーーー!!! 全部計算でやってんですよー!」と叫びまくりたいところを、そっと穴の底に向かって叫んでくださってどうもありがとうございます。まぁ、ひとまず拡声器はカウンターに置いていただいて、座って落ち着いてくださいね。そしてまずは、『失恋ショコラティエ』(水城せとな)を全巻読んでください。

 『失恋ショコラティエ』には、擬態の上手い女性・サエコが登場します。そして、そのサエコを見ながら「なんであんな簡単に見破れるような媚びに男はガンガンひっかかっていくの!?」と理不尽を感じる女性・薫子が登場します。この二人の関係性は、巻を追うにつれて大きな変化を迎えるのですが、途中で「わかりやすい計算に引っかかる男の側の気持ち」も描かれています。それは「わかりやすいからいいんだ」ということです。「好かれようという努力」がわかりやすければわかりやすいほど、『自分に好かれたいんだ』ということがわかるから、かわいいと思える」のだと。これは、異性だけでなく、同性にも通用することなのかもしれません。

 サエコは、簡単に説明すると、「人に好かれるための努力をして、何が悪いの?」ということを主張します。「ありのままの自分で好かれたいって、自分に自信があるんですね」とも。

 もちろんこの作品が、ひよこクラブさんの例にそのまま当てはまるわけではありませんが、「裏表のある女性について感じるモヤモヤ」を客観的に見直すのに、かなり役立つ本だと私は思います。

 ひよこクラブさんは、彼女の行いが「正しくない」と感じておられるのですよね。嘘とは言わないまでも、本性をうまく隠していい人ぶっていて、裏表がある状態であることが「人として正しくない」とお思いだから、すごく苛立っておられるのではないでしょうか。

 今からすごくショッキングな発言をしますので、ちょっと強い酒をぐっとあおってから聞いてくださいね。人生は、「正しく生きている人間」が必ずしもいい目を見るとは限らないし、「ずるく生きている人間」や「悪人」に必ずバチが当たるということもないんです。

 私たちは子供の頃から、因果応報系の童話や伝説をよく聞かされて育ちます。道徳の授業なんかでも、悪いことをした人間はその報いを受けますし、いいことをした人間にはそれなりのご褒美が待っていたりします。けれど、現実はそうじゃありません。マナーを守り、仁義を通し、ずるをせずに正しく生きていれば、必ずそれが報われるというわけでもなければ、すっごくずるして生きているように見える人や、人のことを平気でめちゃくちゃに傷つける人が普通にサクセスしてたりもします。ひよこクラブさんがその女性を呪っても、たぶん彼女がひどい目には遭ったりしないでしょう。

 そして、そう思う一方で、私はひよこクラブさんが憎んでいる彼女が、そこまで悪いことをしているようにも思えないんですよね。彼女の本性が、本当に『自己顕示欲が強く計算高くてプライドが高い、常に中心にいてちやほやされたい、わたしを含め周りの女友達を見下している』というものだとしたら、私だったらそんなもの、周りの人にはもちろん隠したいです。そして『とても可愛くスタイルもバツグン』なら、同性からの嫉妬をかわすために『でも中身は少々残念』なていを装うだろう、とも思います。でも、恋愛もしたいし、男からの印象を悪くしたくない……と考えたその結果の自己演出が『寂しがりやだけど強がりで恋愛ベタ、天然、自分に自信がない、頑張り屋さん』なのではないでしょうか。演出がうまいんでしょうね。イラついたときには「よっ! この演出家! うまいね!」と彼女のよくできた演出に心の中でかけ声でもしてみるといいかもしれません。ひよこクラブさんは彼女のようなマネはしたくないでしょうけど、私ならば彼女の演出力を観察して、盗める部分は盗みたいような気もします……。

 最後のSNSを追ってしまう問題がいちばん深刻だと思いますが、これは、わかります。すっごいよくわかります。もうきっと誰と@を飛ばし合う仲なのかとか、彼女のFacebookのコメント欄によく書き込んでいるのが誰なのかまで把握しておられることでしょう。彼女の書きそうな、特に面白くもないのにめちゃくちゃ「いいね!」がつく文体を模写できるほどになっておられるかもしれません。

 私の場合は、自分の心の傷をえぐるような存在の男性(ふられたなどの理由により)のSNSを、そんな感じでついつい執拗にチェックしていたことがありました。そして、把握する必要もないのにいつどこにいたとか、最近どんなことに興味を持っているかとか、そんなことまで掌握しておりました。でもある日、気づいたんですよね。自分がそうやって、傷つく快感の中毒になっていることに。よくわからないんですが、気持ちいいことだけじゃなくて、イライラすることや傷つくことにも、ある種の中毒性があるんです。「いつもと同じように」イライラしたり、「いつもと同じように」傷ついたりするようになると、その「いつもと同じ」をやらないと、一日がもの足りない気がしてしまうんです。

 ほんとに芸のない話で恐縮ですが、私はその人については、フォローを外し、ブロックし、Facebookでの友達登録は切って、Twilogやブログのブックマークも外しました。もちろん検索すればすぐに見れてしまうわけですが、検索というハードルが加わることにより、少し状態がましになります。「検索までして見ちゃった」って、自己嫌悪が2割増ぐらいになりますから、抑止力が働くんです。それだけのことが、本当に「どうしてもできない」ことでしょうか。

 呪縛は、自分で断ち切れる部分は断ち切っていかないと、楽になるのは難しいです。でも、必要以上に視界に入れないようにするだけで、ずいぶん呪縛は軽くなります。SNSを見ないようにするだけでも、縄が毛糸になったぐらいには軽くなるんじゃないでしょうか。

 嫌いな人のことをいくら呪っても、その人は不幸になんてなりません。嫌いな人のことは、遠ざけてなるべく考えないようにするしかないですし、嫌いな人のことを忘れるためには、自分が楽しいことに熱中したり、好きな人と過ごす時間を増やしたり、自分の人生を良くするために時間を使うことが大事だと思います。自分の人生が大事になると、嫌いな人はいつのまにか、高速道路の料金所のようにすごいスピードで視界から消えていきます。どうか一度、その経験を味わってみてください。嫌いな人の存在感を、自分の中で軽くすること。それは相手が不幸になる以上に、心がすっきりすることですから。


みなさまの愚痴を、雨宮まみが「穴の底」にてお待ちしております。長文大歓迎!
恋愛相手の愚痴も、職場環境にまつわる愚痴も、誰にも言えない愚痴も、「スポーツジムのおじさんの汗がキモイ…」みたいなしょうもない愚痴も、なんでもござれ。大なり小なり吐き出して気を楽にしませんか?
「どうしたらいいでしょう?」のような相談は受け付けておりません。ごめんなさい。


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雨宮まみ
雨宮まみ(あまみやまみ)
ライター。アダルト雑誌の編集を経て、フリーライターに。女性の自意識との葛藤や生きづらさなどについて幅広く執筆。女性性とうまくつきあえなかった頃を描いた自伝的エッセイ『女子をこじらせて』出版後、「こじらせ女子」がブームとなる。他の著書に対談集『だって、女子だもん!!』(ポット出版)、『ずっと独身でいるつもり?』(KKベストセラーズ)、『女の子よ銃を取れ』(平凡社)、『タカラヅカ・ハンドブック』
(新潮社)など。

「キレイになりたい!」と言えないあなたに。

『女の子よ銃を取れ』

他人の視線にビクビクしたくない、自分らしく堂々としていたい、かわいい、キレイと言われてみたい……そう思っていてもどうすればいいのかわからないし、「キレイ」への道が怖くてたまらない。
キラキラした「キレイになりたい」本を手に取ることすら怖いと感じるくらい、「キレイ」が重荷になっている人のための、自意識や他人の視線、自分の視線を解きほぐす本です。

雨宮さんより一言:
何をしても、何を買ってもうまくいかない、変われないしパッとしない……。そんな悩みは、本当は多くの人が持っています。それ以前に何をすれば、何を買えばいいのかもわからない人だってたくさんいます。この間まではわかっていたのに、急にわからなくなってしまった人も。そんなときに、自分を取り戻し、新しい自分を作り上げるヒントや、気持ちの持ち方の軸のようなものがあればいいなと思って書きました。落ち込んだときのおともにしていただけると嬉しいです。

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