2015.12.17

「おばさんとして生きていくことを受け入れられない」雨宮まみの“穴の底でお待ちしています” 第30回

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穴の底でお待ちしています

誰にも言えない、けれど誰かに言いたい、そんな内緒の悩みやモヤモヤ、しょうもないグチからやりきれないつらさまで、穴を掘ってこっそり叫んでみたい気持ちを発散する、「感情の吹きだまり」……。そんな場所がこのコーナーです。あなたのやるせない気持ちを、安心してブチまけてみませんか? 雨宮まみが聞き手をつとめます。長文の投稿歓迎いたします。

(タイガーバーム/42歳/女性)

雨宮さん、こんにちは。いつもこの連載を楽しみにしています。
私の愚痴を書きます。

私は42歳、未婚です。今年に入ってから、恐るべきスピードで老化が進んでいっています。胸が垂れるとそれにつられて顔も垂れるようで、そうするともう止めようもなく、一気に老けていきました……。

今まではノーメイクでも、男性の視線がこちらに向かってくるのを感じていましたが、今はもう全く感じません。私はその事実を受け止めるのがどうしてもつらいのです。

40代後半、50代になっても男性に見られることなんてありえないのだから、来るべき時が来たのだ……と自分に言い聞かせても、どうしても足掻きたい気持ちがなくなりません。

あまりに急な自分の外見の変化も、今まで当然のように感じてきた(42歳で言うのもあれですけど)若さが失われていくことも、少しばかり誇りに思っていた、男性からの視線がなくなったことも、これからはおばさんとして生きなくてはいけないのだ(未婚で彼もいないのに……)ということも、受け入れたほうが楽だし、いつかは受け入れなければならないことだとわかっていても、受け入れられないのです。

私は30代後半になった頃から、年齢と容姿のバランスが取れたのか、わりと容姿を褒められることが増えました。それまで、女性としてあまり自信がない状態だったのが、そのおかげで少し自信を持てるようになったのですが……。
「お前、いいトシでなに言ってんだ」とわかってはいるのですが。

同年代の友人にもさすがにこんなことは話をできず、ということで「穴の底」に吐き出してみました。とりあえずこうやって書けただけでも、ちょっと楽になったかもしれません。

(※投稿内容を一部、読みやすいように編集させていただきました。)

はい、加湿器フルでかけて! コールドプレスジュース持ってきて! 蛍光灯全部外して白熱灯にしてちょっと光量落として! 真上から照らす系はダメ! あと地下鉄のガラスに映る自分を見たら死ぬから絶対見ちゃダメ! 呪われますよ!

まず、どうして「おばさん」になること、「いいトシ」であることを受け入れなくてはならないのでしょうか。答えはひとつですよね。「みっともない人になりたくない」。いつまでも若作りしてるとか、美人のつもりで気取ってるとか、若い子に張り合って見苦しいとか、そういうことを言われたくないし、痛いおばさんになりたくない。ただでさえ自信をなくしているのに、さらに人からなんか言われてダメージを負いたくないですよね。

「いつかは男性に振り向かれなくなる」。私はそのことを、かなり前から恐れていたように思います。10代、20代前半の頃はそもそも振り向かれることがなかったので、「このまま誰にも振り向かれないまま死んでいくのでは」という恐怖があり、少しは振り向かれるようになってからは「30歳を過ぎたらこんなこともなくなるのでは?」などと考えては、「今のうちに謳歌しておかないと、あとで『あのときもっとチヤホヤされておけばよかった』と後悔するんじゃないか」と思ったりしていました。

相手のことが好きとか嫌いとかの問題では、まったくなかったです。ただ、自分がまだ恋愛やセックスの市場で通用するのかを怯えながら確かめ、自分を査定に出していただけでした。自信がつくと、自分なりに装うことやメイクが楽しくなる部分もあったのに、「もしかしてこういうの、男受け悪いんじゃない?」とときどき怯えた気持ちになっては、化粧品のカウンターに駆け込み「顔色が良く見えて無難なピンクベージュのグロスください!」と叫び出す始末でした。これ、今年の話ですね……。

ただ、加齢ということと、モテということは、近いけれどそれなりに違うことでもあります。佐野洋子さんのエッセイに、老人ばかりの集まりなのに一人だけめちゃくちゃモテている女がいる、という話が出てきます。彼女は真っ赤なワンピースとか着ていて、彼女が集まりにやって来ると、男たちが「俺が送る」「いや俺が送る」とささやかな争いを繰り広げるのだそうです。

あと、私は仕事柄、熟女と呼ばれるAVの女優さんに取材することも多いですが、「なんで私とたいして年齢変わらないのに、こんなに色気があるわけ?」と神様の胸ぐらをつかんでゆさぶりたくなるときがあります。すごいかわいいとか、美人だとか、胸が大きいとか、それらの要素もプロのAV女優さんですからもちろんあるんですけど、そこじゃないんですよね。雰囲気なんです。話してるとき、インタビュー中なのに「ああ、もう訊かなきゃいけないことを訊くのやめて、ただこの人とのんびりした時間を過ごしたい……」って思っちゃうことがあるんです。

そんな例を挙げられても難易度高けーわ、と思われるかもしれませんが、異性に関しては、特に諦める必要はないと思います。

自分の若さが失われていくこと、何もしなくてもピチピチしてた肌が変わっていくこと、気付ば1年に1キロずつ体重が増量していくことなどは、確かにテンションが下がることです。でも、落ち込むのは、純粋にその部分だけでいいと思うんですよね。

「女を捨てる」「女として終わってる」。私の嫌いな言葉です。女に生まれて、女であるがゆえの嫌な目にも遭いました。でも、女に生まれたからには、死ぬまで女なんです。途中で終わったり、捨てたりできるものではないんです。もちろんここでタイガーバームさんがおっしゃる「女」が、「性的に、もしくは恋愛の対象として見られる女」という意味であることはわかっていますし、人に評価されないと自信が持てない気持ちもよくわかります。ですが、誰からも何も言われないうちからこんなに落ち込まなくてもいいと思うし、誰かから何か言われたとしても、そんなものに落ち込んでいたら、そういう些細なことの積み重ねで、びっくりするくらい自分の人生って、台無しにされてしまいますよ。

こういうときに「フランスでは~」などと言っちゃう行為は「フランス逃げ」とか言われますけど、私は北欧ミステリをお勧めします。「ミレニアム」を筆頭に、マルティン・ベックの「笑う警官」(70年代の作品なのに、シリーズ全体で結婚観、育児観、恋愛観がまったく日本と違っていて驚かされます)、「特捜部Q」、「湿地」、「犯罪心理捜査官セバスチャン」……。さまざまな名作がありますが、年齢のいった男女が当たり前に恋愛もセックスもしているし、そうした中で女である苦しみに苛まれる女も出てきます。

北欧ではそうでも、日本ではそうじゃない。そうかもしれません。でも、人は生きていくために、自分を支えてくれる価値観を探し、見つけるべきだと私は思います。何かを盲信するのではなく、自分の中で練り上げて、作り上げていくべきなのだと。そのために、なんでもいいから違う価値観に触れてみてください。

私は39歳で、来年40歳です。タイガーバームさんと、そんなに変わらない年齢です。ごちゃごちゃ言われることも多いし、こういう仕事をしていると、外見だけでなく内面までめたくそに言われたりします。私は、そういうことで自分の人生を台無しにされたくないし、タイガーバームさんにも、自分の人生を他人からの評価で台無しにしてほしくないのです。さぁ、マドンナでも聴いて、元気を出してくださいね。



みなさまの愚痴を、雨宮まみが「穴の底」にてお待ちしております。長文大歓迎!
恋愛相手の愚痴も、職場環境にまつわる愚痴も、誰にも言えない愚痴も、「スポーツジムのおじさんの汗がキモイ…」みたいなしょうもない愚痴も、なんでもござれ。大なり小なり吐き出して気を楽にしませんか?
「どうしたらいいでしょう?」のような相談は受け付けておりません。ごめんなさい。


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雨宮まみ
雨宮まみ(あまみやまみ)
ライター。アダルト雑誌の編集を経て、フリーライターに。女性の自意識との葛藤や生きづらさなどについて幅広く執筆。女性性とうまくつきあえなかった頃を描いた自伝的エッセイ女子をこじらせて (幻冬舎文庫)出版後、「こじらせ女子」がブームとなる。他の著書に対談集『だって、女子だもん!!』(ポット出版)、『ずっと独身でいるつもり?』(KKベストセラーズ)、『女の子よ銃を取れ』(平凡社)、『タカラヅカ・ハンドブック』(新潮社)など。

「キレイになりたい!」と言えないあなたに。

『女の子よ銃を取れ』

他人の視線にビクビクしたくない、自分らしく堂々としていたい、かわいい、キレイと言われてみたい……そう思っていてもどうすればいいのかわからないし、「キレイ」への道が怖くてたまらない。
キラキラした「キレイになりたい」本を手に取ることすら怖いと感じるくらい、「キレイ」が重荷になっている人のための、自意識や他人の視線、自分の視線を解きほぐす本です。

雨宮さんより一言:
何をしても、何を買ってもうまくいかない、変われないしパッとしない……。そんな悩みは、本当は多くの人が持っています。それ以前に何をすれば、何を買えばいいのかもわからない人だってたくさんいます。この間まではわかっていたのに、急にわからなくなってしまった人も。そんなときに、自分を取り戻し、新しい自分を作り上げるヒントや、気持ちの持ち方の軸のようなものがあればいいなと思って書きました。落ち込んだときのおともにしていただけると嬉しいです。

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