2015.08.21

「友人がいない自分が駄目な人間に思えて苦しい」雨宮まみの“穴の底でお待ちしています” 第26回

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穴の底でお待ちしています

誰にも言えない、けれど誰かに言いたい、そんな内緒の悩みやモヤモヤ、しょうもないグチからやりきれないつらさまで、穴を掘ってこっそり叫んでみたい気持ちを発散する、「感情の吹きだまり」……。そんな場所がこのコーナーです。あなたのやるせない気持ちを、安心してブチまけてみませんか? 雨宮まみが聞き手をつとめます。長文の投稿歓迎いたします。

(えん/10代/女性)

私には友人がいません。過去にいたことはあるのですがいろいろあって疎遠になりました。
現在浪人中なのですが、予備校には行っておらず、アルバイトもしていないので会話する他人は家族しかいません。

これまではそのことを特に気にしたことはなかったのですが、今になって趣味のことを話し合える友人が欲しいと思いました。
私はジャニーズが好きで、ついこの間コンサートに行きました。周囲に、楽しそうに好きなアイドルのことを話す人がたくさんいて羨ましくなったのです。

どうすればいいのかと考えて、ツイッターを始めてみました。
始める前は、面白い人がたくさんいるし、この人たちと話せたらいいなあなんて思っていました。

しかし、そんな簡単にいくはずもなく、私が話すことはつまらないことばかりで、面白いと思う人のようにはいきません。
フォローし返されることもなく、どうして興味を持たれるような面白い話ができないのかと自己嫌悪に陥りました。

話をしたいのなら自分から話しかければいいと思うのですが、知らない人間に突然話しかけられたらどう感じるだろうかと考えて怖くなります。
ツイッターを見てみると楽しそうに友人と話している人がたくさんいて、どうして私にはできないのか、何が足りないのか、という劣等感が溢れて気持ち悪くなってきます。

ぐるぐるして、よくわからなくなってきて、私は本当に話をしたいのだろうかという疑問が浮かんできます。こんなくだらないことに頭を悩ませてまで好きなことの話を他人としたいのだろうか、と。
結局、好きを共有したいというよりただの承認欲求な気がしてきて、そんな自分に嫌気がさします。

友人がいない自分がとても駄目な人間に思えて苦しいです。

もうやめようと思うけれど、もう少し続けたら何かあるかもと期待してしまいやめられません。そうしてまたいろいろ考えてしまいます。
アルバイトやなんなりで外に出たほうがいいのではと思いつつも、経験のないことをするのは怖くてできません。

言い訳ばかりしてほとんど動いていない自分にも、浪人中なのにこんなことに頭を悩ませている自分にも飽き飽きします。

(※投稿内容を一部、読みやすいように編集させていただきました。)

はい、若い子は麦茶でいいよね! 飲み飽きてる? でも普通のジュースとかも飲み飽きてるでしょ? カルピスをコーラで割るとおいしいって知ってるかな? 趣味悪いけどドリンクバーでときどきやっちゃうんですよね……。はい、カルピスコーラ、どうぞ。

まず、これだけは最初に言っておきたい。えんさんが今、足を踏み入れたばかりのジャニーズファン、要するにジャニオタの沼って、面白さのレベルがハンパなく高い場所なんですよ。面白さのレベルも高けりゃ熱量とかテンションも高い。専門用語もバンバン出てくる。受験勉強に必要なぐらいの知識量をガツガツと自主的にインプットし続けている、いわばオタクのエリートのような存在、それがジャニオタです。身近にチラホラいるのでお見かけしますが、労力とか手間暇とかお金とかいったいどうなってんだ!? というレベルの人たちがバンバンいます。

私はジャニーズに詳しくないので、内輪でしか通じないネタや世間一般で有名でない人の話はよくわからないですが、それでも、面白レベルの高い世界であることはビンビンに伝わってきます。正直、浪人もしてない大の大人が全力を注ぎ込んで追いかけ、学んでいるつもりもなくひたすら愛ゆえに情報を得て、上司の目を欺くソフトまでインストールしては仕事をする間も惜しんでSNSにいそしんでいる世界に、まだ10代で勉強もしなければならず、お金も時間も制約が大きいえんさんが飛び込んでゆくのは、オリンピックのトラックに間違って陸上部員が出てきちゃったぐらいの力の差があることなのです。やってる競技は同じでも、こう、レベルの差というか、走ってる姿が速すぎて見えないというか……。

その差をえんさんは純粋に「面白さの差」「コミュニケーション能力の差」だと捉えて落ち込んでおられるようですが、ジャニオタの世界なんてレベルが高すぎて、もう多少の徳の積み方では歯が立たないですよ! それ普通ですからね! 私なんて自分の主戦場である宝塚の世界ですら、全然ついていく自信、ないですもん……。濃度の高いファン同士の会話ってスピードがすごいんですよ。ラリーが速いし会話の基礎体力も熱量も知識量も全然違うんです。そこに飛び込んでいって、面白さで注目を浴びることができるのは、神を愛し、その神に愛された者だけなのでは……? と思います。常人ならば、会話の内容を追いかけて理解するだけで精一杯です。

浪人されているえんさんに、あまりSNSのことを言うのもどうかと思いますが(SNSは時間泥棒ですからね)、せっかくツイッターを始められたのでしたら、ジャニーズ系の発言の多いアカウントを幅広くフォローしてみてはいかがでしょう。

中心となっているように見える人、フォロワーが多い人は、十分ジャニーズに詳しく、面白い発言のできる人かもしれません。でも、中にはシンプルに情報を発信する人、自分の意見は最小限にとどめ、主にリツイートなどで情報を発信している人もたくさんいるはずです。「面白い」といっても、その面白さにはさまざまな種類がありますし、発言内容が面白いものでなくても的確な情報を伝えてくれる人もいれば、逆に変な噂を真に受けてしまう人もいるでしょう。たいしたことを書いているわけではないけど、なんとなく感じの良い人や、逆に読んでいて嫌な気持ちになるようなことを書く人もいると思います。

世の中は「面白い人」ばかりではできていませんし、熱量の高い人ばかりでもできていません。面白い人同士の目にも止まらぬ勢いのやりとりは見ていて楽しいですが、ついていけないこともしばしばです。そして、「ついていけない」と感じる人は、自分のほかにも必ずいます。えんさんが「この面白さ、ついていけない」「仲間には入れないのかもしれない」と感じたなら、同じように感じている人が必ずいます。

そして、「そんなに面白いこと言えない」人は、もっとたくさんいます。というか、それが世界の主流です。えんさんのご家族は、毎日なんか面白いこと言ってますか? そうでもないですよね(ものすごく面白いご家族だったらすみません)。でも、親しい関係だと、しょうもないことでよく笑うこともあります。えんさんがコンサートで目撃された、「楽しそうに好きなアイドルのことを話す人」と、それを受け止めている周りの人たちは、そういう関係なのでしょう。逆なんです。「面白い」から友達ができるのではなくて、友達になったからつまらないことでも面白く共有できるんです。そしたら、どっちも「特別に面白いわけではない人間」同士でも、お互いにとっては「面白い人」「話して楽しい人」になります。「面白い」人のツイッターやブログについて「あの人、本当に面白い!」と言い合う友達、という関係だってあります。

いや、そんなことよりも中心人物になって、「面白い」という万人からの承認を得たいんだ、という気持ちもわかります。まぁ、ライターというのはだいたい、そういう欲求をもった人が選びがちな職業ですし、私はまさにそういう人間ですからね……。そういう野心のような承認欲求や、自分でも理由のわからない欲望に突き動かされて、ときには泣くほど苦しんだり、欲しいものが得られないから、自分はダメな人間なのだと思い込んだり、そういうこともありますよね。

承認欲求と友情というのは、本来別の話のはずなのですが、密接なつながりがあります。友達なのに、その友達に認められたくて必死になってしまったり、自分よりもその友達のほうがみんなに人気があれば、嫉妬したり。それ以前に「友達ができない」という悩みを乗り越えるのが難しくて、誰にも認められていないように感じたり。

でも、これは、どこかの時点で経験しておいたほうがいいことのように私には思えます。あの不器用な、自分で自分が何者なのかわかっていないままぐしゃぐしゃにもがいた期間がなければ、今頃どうなっていたか。そのぐしゃぐしゃの期間の自分の無様さを思い出すのも怖いですが、あの期間がないまま今まで来てしまった自分を想像するのはもっと怖いです。

嫉妬や、誰にも相手にされないのではないかという不安、友達がいない悲しさや寂しさは、それを嫌というほど経験しないと、自分がいったいどういう関係を求めているのか、どういう欲望を持っているのか、どうなれば満足できるのか、いい関係を築けるのか、見えてこないものです。見えてこない時期も、失敗が続く時期も苦しいものですが、自分がどんな欲望に突き動かされているのか気づけないほうがよっぽど怖いです。はっきり「承認欲求なのだ」「いや、友情が欲しいだけなのだ」と言えなくてもいい。でも、「何か得体の知れない欲望が自分を振り回している」ということだけ把握できていれば、格闘の末に自分が何を望んでいるのかは見えてくるはずです。

そして、不思議と、等身大の自分というものが見えてくると、人付き合いはぐっと楽になります。私のような年齢になっても、友達付き合いで悩むこともあれば、新しい友達ができることもあります。無理せずに付き合える友達ができるようになるんですよね。昔からこんなだったわけではなく、学生時代はクラス替えのたびに春休みいっぱい毎晩号泣してましたから、思えば遠くへ来たものです。自分も上手な付き合い方を少しは覚えてくるし、同じくらい年齢や経験を重ねた人たちも、上手な付き合い方を知っているので、楽になるんです。失敗した落ち込みから立ち直るのも上手になります。

SNS上でのことで少しだけアドバイスすると、いきなり話しかけても「誰?」状態になるので、面白いと思った発言をふぁぼっていくことから始めましょう。フォロワーが大量にいる人や、発言はするけどいちいち反応はチェックしないという人以外だったら、「この人、自分の発言を面白いと思ってくれてるんだな」と気づくと思います。その上で共有できそうな話題があれば、できるだけ丁寧かつ簡潔に話しかけるといいのではないでしょうか。返答をしなければならない疑問形は、知らない人とやりとりをしたくない人にとっては負担になるので、例えばドラマの話題なら「初めまして! ◯◯さんの話題なので思わず話しかけてしまいました。こういう役らしいですね。私も◯◯さん好きなのですごく楽しみです!」程度の軽さがいいのではないかと思われます。

基本的に、SNSで知らない人から話しかけられても、それは道端で知らない人から話しかけられるようなもの。無視されても「自分が悪い」んじゃなくて、「知らない人とは話したくない」人のほうが多数であると心に刻んでください。SNSに時間を割かないようにしている人も大勢いますから、そういう人にとって、会話は負担なのです。

でも、SNSで自分が好きなものについて発信していると、思わぬところでつながりができたり、普段の生活では知り合わないであろう友達と知り合えることもあります。あまり考えすぎず、人間関係の練習、友達を作る教習所に行くような感覚で、ツイッターを使ってみてください。

友達や、承認欲求の問題は、長い時間をかけて向き合っていかなくてはならないことが多いです。これらのことを考えるとき、自分につらくあたることが「向き合う」ことだと勘違いしがちですが、本当に大事なのは、長い長いその期間を耐えるために「楽しく息抜きをすること」です。そのことをどうか、忘れないでくださいね。



みなさまの愚痴を、雨宮まみが「穴の底」にてお待ちしております。長文大歓迎!
恋愛相手の愚痴も、職場環境にまつわる愚痴も、誰にも言えない愚痴も、「スポーツジムのおじさんの汗がキモイ…」みたいなしょうもない愚痴も、なんでもござれ。大なり小なり吐き出して気を楽にしませんか?
「どうしたらいいでしょう?」のような相談は受け付けておりません。ごめんなさい。


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雨宮まみ
雨宮まみ(あまみやまみ)
ライター。アダルト雑誌の編集を経て、フリーライターに。女性の自意識との葛藤や生きづらさなどについて幅広く執筆。女性性とうまくつきあえなかった頃を描いた自伝的エッセイ『女子をこじらせて』出版後、「こじらせ女子」がブームとなる。他の著書に対談集『だって、女子だもん!!』(ポット出版)、『ずっと独身でいるつもり?』(KKベストセラーズ)、『女の子よ銃を取れ』(平凡社)、『タカラヅカ・ハンドブック』
(新潮社)など。

「キレイになりたい!」と言えないあなたに。

『女の子よ銃を取れ』

他人の視線にビクビクしたくない、自分らしく堂々としていたい、かわいい、キレイと言われてみたい……そう思っていてもどうすればいいのかわからないし、「キレイ」への道が怖くてたまらない。
キラキラした「キレイになりたい」本を手に取ることすら怖いと感じるくらい、「キレイ」が重荷になっている人のための、自意識や他人の視線、自分の視線を解きほぐす本です。

雨宮さんより一言:
何をしても、何を買ってもうまくいかない、変われないしパッとしない……。そんな悩みは、本当は多くの人が持っています。それ以前に何をすれば、何を買えばいいのかもわからない人だってたくさんいます。この間まではわかっていたのに、急にわからなくなってしまった人も。そんなときに、自分を取り戻し、新しい自分を作り上げるヒントや、気持ちの持ち方の軸のようなものがあればいいなと思って書きました。落ち込んだときのおともにしていただけると嬉しいです。

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